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東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本
谷口誠著
(新赤版919)
■著者からのメッセージ
21世紀初頭の世界に、EU(欧州連合)、NAFTA(北米自由貿易地域)などの地域統合が進展する中、東アジアにもようやく地域統合への機運が生まれてきました。日本はこれまで東アジアの地域統合には消極的でしたが、私は日本こそ、現在東アジアの地域統合のイニシアティブをとっているASEAN(東南アジア諸国連合)や、中国、韓国との協力のもと、「東アジア経済共同体」さらに「東アジア共同体」の成立に向け、積極的な役割を果たすべきだと考えてきました。
東アジアにおける地域統合形成のための経済的可能性はきわめて高いにもかかわらず、政治面における課題は多い。私は本著において、東アジア地域統合への経済的可能性の分析に多くのスペースを割くと同時に、いかにして政治面における課題を克服するかにも多くの分析と提案を行いました。特に地域統合の形成には不可欠の「共同体意識」の醸成のために、東アジアの最先進国である日本が貢献すべき分野は多く、人材養成をはじめ、環境、エネルギー、農業、通貨等の問題において具体的提案を行いました。
私は、日本が東アジアの地域統合の中核として歩むことが、日本の発展と、東アジア、さらにアジアの安定と発展につながるものと確信しています。本著が日本のみならず、中国やその他のアジアの読者にとり、東アジアの地域統合の重要性を理解する上での一助となれば、望外の幸です。
■著者紹介
谷口 誠(たにぐち・まこと)
1930年大阪生まれ
1956年一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了
1958年英国ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジ卒業
1959年外務省入省
国連局経済課長、在NY日本政府国連代表部特命全権大使、OECD事務次長(日本人初代)、事務総長特別顧問、早稲田大学現代中国総合研究所長などを経て、現在、同研究所顧問、東洋英和女学院大学大学院客員教授
専攻―南北問題、国際経済
著書―『南北問題 ―解決への道』(サイマル出版会、1993年)
『21世紀の南北問題 ―グローバル化時代の挑戦』(早稲田大学出版部、2001年)
■目次
はしがき
第一章 なぜ、いま東アジアに地域統合が必要か
1 グローバリゼーション下の地域化
2 GATT/WTOの機能麻痺
3 地域化の流れに乗り遅れた日本
4 なぜ東アジアの地域統合が遅れたのか
第二章 動き出した東アジアの地域統合
1 ASEANの役割の拡大
2 地域統合化へのきっかけとなったアジア通貨危機
3 中国の地域統合への積極的な動き
4 中国に次いで積極的な韓国の動き
5 やっと動き出した日本の対応
6 「東アジア・コミュニティ」構想の問題点
第三章 地域統合への障害は何か
1 「東アジア共同体」は幻想か
2 「共同体意識」を醸成するには
3 新しい日中関係を構築するには
4 対アジア外交の意識改革をするには
5 「東アジア共同体」への現実的アプローチ
第四章 「東アジア経済共同体」の可能性
1 東アジア経済の大きな潜在力
2 日・中・韓の連携こそがカギ
第五章 「東アジア経済共同体」の経済的メリット
1 東アジアの協調的分業体制の確立
2 日本経済を活性化するには
3 日本に期待される役割
第六章 「東アジア経済共同体」の成立のために
1 日本はより積極的で具体的な貢献を
2 環境分野での地域協力
3 エネルギー分野での地域協力
4 農業分野における地域協力 ―「東アジア共通農業政策」
5 アジアの通貨・金融協力 ―「アジア共通通貨圏」への道
第七章 さらに「東アジア共同体」をめざして
主要参考文献
■岩波新書にはこんな本もあります
人民元・ドル・円 田村秀男著 新赤版899
現代中国 グローバル化のなかで 興梠一郎著 新赤版797
世界経済入門 第三版 西川 潤著 新赤版894
外務省 薬師寺克行著 新赤版848
人びとのアジア 中村尚司著 新赤版360
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0411/sin_k202.html