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〈本の紹介〉 済州四.三
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歴史の真実の扉開いた軌跡
平和の島と形容される済州島。青々とした海原に四方を囲まれたまぶしいほど美しい島である。ここに深い歴史の痛みが刻まれていると誰が想像するだろうか。
本書は韓国民主化運動記念事業会が、58年前に起こった4.3事件の記憶を呼び起こそうと刊行した朝鮮語版「済州四.三」を翻訳出版したもの。
今年4月には同事件58年と関連して現地で遺跡地巡礼と統一決意大会が開かれたのをはじめ、盧武鉉大統領が4.3事件犠牲者慰霊祭に「国家元首」として初めて参加し、公式謝罪した。
長い冷戦によって封印されてきた4.3事件。米軍政下の南朝鮮単独選挙に反対し1948年、武装蜂起した島民に対して、軍隊、警察、反共自警団の討伐作戦で、少なくとも3〜8万人が虐殺された。この事件では武装隊の家族や無関係の女たちも討伐隊の拷問、暴行、虐殺の被害者となった。
そして、朝鮮戦争の勃発。米国の冷戦政策は朝鮮民衆の自主的統一国家建設の念願を踏み躙り、民族分断を固定化させていった。反共イデオロギーに染まった朴正熙軍事政権はじめ歴代の軍事政権によって闇から闇へと抹殺され、封じ込まれてきたのだ。
およそ30年が過ぎた1978年、作家・玄基栄の小説「順伊おばさん」が発表されたことによって、そのおぞましい記憶を蘇らせた。そして、人々の血のにじむ民主化の闘いによって、2000年、済州4.3特別法が制定され、これを通じて真相究明の作業が進むようになった。
03年には解放後初めて大統領の公式謝罪が実現し、今年、大統領の慰霊祭への出席が実現するに至った。
実に半世紀を越えるはるかな歳月が流れる中で、悲惨な歴史に新たな光が当てられるようになった。さらに大統領の謝罪は、朝鮮戦争前後の民間人虐殺事件など過去の国家暴力の実態を明らかにして、わい曲された歴史を正すための道を開いたのであった。
4.3犠牲者慰霊祭に参加し焼香する盧武鉉大統領 [写真=聯合ニュース]
本書は、事件の全貌をその前夜から詳細に明らかにしながら、数多くの集団虐殺の目撃証言を丹念に集め、真相に鋭く迫っている。歴史の真実の扉を開こうとする果てしない情熱とひたむきさがひしひしと伝わってくる書である。
さらに忘れてはならないのは、本書が米国の責任を厳しく追及している点だ。当時の李承晩政権の焦土化作戦を黙認し、ジェノサイドを許した米国の罪を徹底的に追及している。
米軍はいまもイラクやアフガンで現地のかいらい政権を隠れみのにして4.3事件と同じような「反文明的、反人間的蛮行」を重ねている。
計り知れない犠牲を克服した人間の良心によって、朝鮮半島の小さな島で起きた奇跡。
いま、世界に向かって平和と人権の尊さを発信する平和運動の砦に変わった島の軌跡を、本書を通じて多くの人々に知ってほしい。(民主化運動記念事業会 許榮善著)(粉)
※注文はコリアブックセンターまで TEL 03・3813・9725
[朝鮮新報 2006.11.18]
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2006/06/0606j1118-00003.htm
<コメント>
個人的には子供の頃から済州島で、なにか酷いことが行われたという噂はありましたが、済州島4.3事件として全体の概要を知ってのは、1990年代のことでした。
諸説ありますが、済州島民の1/3くらいが殺害されたようです。その尖兵になったのが、北で弾圧されて南に逃亡したキリスト教徒でした。
日本にも数万人の難民が逃避してきましたが、ニポンは朝鮮戦争で裏も表もウハウハ設けている時期ですので、なんらの対策も打たなかったようです。