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深シバレイのたたかう!ジャーナリスト宣言。
刻化するフィリピンでの「超法規的処刑」 〜日本の経済協力プロジェクトも影響か?〜
プロテスタント司祭の殺害事件めぐり抗議デモ - フィリピン
【マニラ/フィリピン 8日 AFP】フィリピンのキリスト教プロテスタントのAlbeto Ramento司教が10月3日に殺害された事件をめぐり、マニラ(Manila)で8日、正義と真実、平和を求めるデモ行進が行われた。
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(c)AFP/Jay DIRECTO
先日、某NGOのスタッフとしてフィリピンで活躍中の友人に2年ぶりくらいに会って話を聞いた。「対テロ戦争」が始まって以来、どこもそうだが、現地の政権や有力者に都合の悪い人物・団体を弾圧したりすることが正当化されている。フィリピンでも、01年のアロヨ政権以来、人権活動家や、キリスト教会関係者、農民・労働者団体の指導者、弁護士、ジャーナリストなどが次々に暗殺され、野党の議員すら犠牲になっているという。
軍や治安当局者による暗殺が起きていることは、フィリピン政府も認めており、フィリピン警察はこれまで、122人* が「超法規的処刑」の犠牲者となっていると発表している。これをうけて、今年5月に特別捜査班が、7月には元最高裁判事による調査委員会が設立された。だが、「対テロ」を名目に、人権弾圧政策を推し進めてきたのは、アロヨ大統領その人であるだけに、フィリピン政府が十分な対応をする否かは、今後も注視していく必要があるだろう。
* 現地の政治団体や人権団体などは「犠牲者は700人以上」と主張している。
続き)
■日本の「経済援助」とも関係アリ?
こうした「超法規的処刑」には、日本も全く無関係という訳でもなく、国際協力銀行*が7億ドルを融資して建設された「サンロケ多目的ダム」による地元の被害を訴えていたホセ・ドトンさんも今年5月に何者かに殺害されたのだ。実は2001年に私もサンロケダムの問題について、現地取材を行ったことがあるのだが(関連記事)、あの時にお世話になった地元先住民族のNGOリーダーも、その地域の暗殺の「標的リスト」のトップに位置づけられているなど、非常に危険な状態にあるようだ。
*1ODA(政府開発援助)や海外での日系企業のプロジェクトへの融資を行う、全額政府出資の特殊銀行。
■携帯メールを見るのにも神経を使う
再会した友人は日本人なので殺害される可能性は(多分)低いと思うが、それでも携帯電話のメールでのやり取りにも神経を尖らすという。うかつに警察などの治安当局に見られた場合、フィリピン人の仲間に危険が及ぶからだ。イラクで米軍やイラク治安当局がやっているような、荒っぽい家宅捜索や、身柄の不当拘束も頻繁にあるというから驚きだ。以前、取材に行った時も、NGOのオフィスが荒らされるということはあったが、今ほど露骨ではなかった。
■危機感の薄い外務省
先月末30日、参議員会館で、野党議員やNGO関係者と、外務省などの役人との間で会合が持たれた。日本の対外経済協力の理念を示すODA大綱には、
「紛争時より復興・開発に至るあらゆる段階において、尊厳ある人生を可能ならしめるよう、個人の保護と能力強化のための協力を行う」
「ODAの実施が開発途上国の環境や社会面に与える影響などに十分注意を払う」
と明記されている。だが、サンロケダム被害者団体のリーダー達が殺害されたり、脅迫や嫌がらせを受けたりする状況は、ODA大綱に反するのではないか、と野党議員やNGO関係者は指摘したのである。これに対し、外務省側は「現地捜査機関の捜査を待たないと・・・」「現地の当局にも伝えるが、内政不干渉の原則からあまり口を出すのは・・・」と歯切れの悪い答えを繰り返すばかり。そもそも、暗殺の標的のリストまであることを知らないなど、認識が甘すぎると言えるだろう。
■「最大の支援国」としての責任
もし、日本の外務省が本気でフィリピン政府に対し、人権侵害の停止を働きかければ、かなり効果があるだろう。なぜならば、フィリピンへの経済協力のために日本が投じた額は、諸外国の中でもダントツのトップだからだ。例えば、03年実績で見ると、対フィリピン経済協力全体の7億380万ドルのうち、日本からは5億2880万ドル。つまり全体の対フィリピン経済の7割以上が日本によるものなのだ。確かに、過度に内政に立ち入ることは良くないにしても、日本の経済協力によるプロジェクトに関する問題に関しては、日本が口出しする権利があるし、それは支援をした側としての責任でもある。日本の国民の税金や、年金を運用している以上、対外経済協力を、単なる「官製ビジネス」にするのではなく、「現地の人々の幸せと日比友好のため」というタテマエも忘れるべきではないだろう。
お願い:フィリピンでの「超法規的処刑」増加については、国際的な人権団体アムネスティ・インターナショナルも懸念を表明しており、日本支部のサイトからも、フィリピン政府に向けた署名ができます。本ブログの読者皆様も、 もしよろしければ、ご協力くださいませ。
*署名用ページ
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登録日:2006年 11月 02日 14:49:33
http://www.actiblog.com/shiba/19195