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□タイ南部で吹き荒れるテロ攻撃 マハティール氏が調停に乗り出す [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2613069/detail
タイ南部で吹き荒れるテロ攻撃 マハティール氏が調停に乗り出す
【アルジャジーラ特約17日】イスラム教徒が多く住むタイ南部で今、爆弾テロや狙撃事件が吹き荒れている。これに対しイスラム教国のマレーシアが事態の調停に名乗りを上げたが、テロ事件が収まる気配はまだなく、タイ南部住民の間の不安感は高まるばかりだ。
マレーシアの元首相、マハティール氏はこのほど、タイ南部開発和平共同計画を発表、タイ政府と協力して同南部問題の解決に乗り出す姿勢を示した。
マハティール氏は2005年11月から、自身が主宰する財団「プルダナ・リーダーシップ財団」と共に、タイ南部で活動する反政府勢力指導者約60人と会い、同計画実施に向けた方策を探ってきた。
同氏の子息でマハティール氏と同計画推進に取り組むムクリス・マハティール氏はアルジャジーラの取材に対し、「反政府勢力が『独立勢力』と呼ばれているのは誤りだ。(話し合いを通じて)同勢力が分離独立にそれほど興味を示していないことが分かった」と指摘した。
また、ムクリス氏によると、同勢力はそれとは逆に、分離独立が非現実的で、タイ政府との交渉を優先させる考えとみられる。
マハティール氏らの会談にはパッタニー独立統一戦線、パッタニー統一解放機構、パッタニー・ムジャヒディン運動の指導者らが参加した。
ムクリス氏はこれら3組織が最近の爆弾テロなどに参加していないとの見方を示すとともに、3組織と和平に向けた交渉を継続することが解決への突破口を開くと強調した。
さらにムクリス氏は「3組織は交渉の席に就こうとしている。分離独立も望んではいない。これらのことからわれわれが和平に向けて仲介する余地はある」と述べた。
ムクリス氏は「交渉を通じて具体的な成果が生まれ、タイ政府が真しな姿勢をみせれば、3組織以外の勢力もこの交渉に参加することになるだろう」との楽観的な見通しを明らかにした。
具体的な成果に関して、ムクリス氏は南部地域でマレー語教育を導入および宗教学校を増設することが挙げられると述べた。
タイではイスラム教徒の人口は全人口の約4%で、その要求は他の地域と同等の経済開発および政府サービスの実施だ。
南部地区はタイ国内で最も貧しい地域とされ、そこに注ぎ込まれる援助資金は地方自治体の組織的な汚職構造に飲み込まれて、雲散霧消しているのが実態だ。
ムクリス氏はこの汚職構造の改善が必要と指摘、さらに、「そうすれば、援助資金が行き渡り、住民たちは開発を実感できるようになるだろう。住民の心をつかむ方策が必要だ」と述べた。
とはいえ、このマハティール計画が実現されるには、いくつかの障害が待ち受けているのも確かだ。
第1が、この計画にマレーシア政府からの確約と支持を取り付けること。マハティール氏とその後継者、アブドラ首相との確執が最近、メディアなどで報じられているからだ。
首相側近筋によると、アブドラ首相が同計画に支持を表明しても、もし、同計画が首尾よく成果を生んだ折には、その功績をマハティール氏が独り占めしかねないとの懸念が出ているという。
これに対しムクリス氏は「そのような心配は不要だ。父の関心はこの地域に和平を維持することだからだ」と述べ、政府側の不安を一蹴している。
第2が、タイの現政権からいかに同計画への支持を取り付けるかだ。
同計画は当初、先のクーデターで倒されたタクシン前政権に提案されたからだ。タクシン政権は南部イスラム勢力との交渉が、その存在を事実上認めることにつながるため、消極的姿勢をみせていた。
南部の3組織は同計画に署名し、それをタクシン政権に送ったが、同政権はそれへの対応を明確にしなかった。
クーデター後、暫定政権側は同和平交渉を開始させる意向を示し、このためムクリス氏は和平計画が再び動き出すとの期待を表明している。
と同時にムクリス氏は本格的な和平が南部で達成されるには、まだ多くの課題が残されているとも指摘する。同氏は「反政府活動だけではなく、犯罪行為、麻薬問題もある。密輸そして政治的および個人的な報復もある」と話す。
それだけに、政治的暴力事件が解決されれば、その影響が広がり他にも及び、タイ南部で起きる他の暴力事件の終息にもつながるという。
最後にムクリス氏は「今が問題の解決、和平実現への好機。それを逃さず、成果を挙げられるよう、がんばる必要がある」と強調している。(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2006年10月23日00時37分