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韓中との首脳会談再開を急ぐ安倍新首相(06/10/2) 河信基/Ha Shingi.net
http://www8.ocn.ne.jp/~hashingi/page351.htm#dialogue16
安倍新首相にとって、盧武鉉韓国大統領との会談実現は喫緊の課題だ。
新政権への世論調査での支持率は60%台から70%台、戦後三番目の高率とまずまずであったが、多くがとりあえず門出を祝う日本的なご祝儀で、小泉政権出帆時の高揚感はない。
実績も経験もなく、“対北朝鮮強硬派”というタカ派イメージに乗って誕生した新政権に戸惑う人が少なくないだけに、早期に結果を出さないと、支持率急降下、補欠選挙惨敗、党内分裂激化で短命に終わる可能性もある。
内政は目に見える効果が出るまで時間がかかるだけに、手っ取り早いのは外交である。
外交が意外と票になることを身をもって知っている安倍氏は、小泉政権で断絶した韓国、中国との首脳会談を再開させ、「主張する外交」とアジア外交建て直しをアピールして政権に弾みをつけたいところだ。
密かに期待をかけたのが、約1年5カ月間途絶えている日中首脳会談再開で、10月中の安倍首相の訪中を実現させようと、9月25,26日と日中総合政策対話を行ったが、判断が甘すぎた。
谷内正太郎外務事務次官が中国の戴秉国外務次官らに、安倍首相が靖国神社参拝への意思や事実関係を明言しない「あいまい戦術」を取っていることを説明し、理解を求めた。
だが、逆に中国側から、「政治的障害」を取り除く必要があると参拝自粛を明白にするよう踏み絵を突きつけられてしまった。
今後も協議を継続していく方針だが、見通しは全く立っていない。
そこで、これも昨年11月以来途絶えている日韓を先に行い、日中へとつなげていく作戦にウェートを移し、韓国にラブコールを送った。
28日の、安倍氏と盧大統領との電話会談がそれである。
首相就任を祝う盧大統領からの祝電への返礼という名分で、日本側が申し入れ、約20分間行われた。
しかし、これも微妙だ。
安倍氏は「できるだけ早く意見交換したい」と求め、盧大統領は快諾した。
だが、「国民の支持が高いということは、難しい問題も解決できる基盤もあるということだ」と、やんわりと注文をつけることを忘れなかった。
安倍氏は好感触を得たと判断したようだ。
「安倍首相は10月8日にも韓国を訪れ、盧武鉉大統領との首脳会談を行う方針を固めた」(朝日新聞9/30)と報じられた。
http://www.asahi.com/politics/update/0930/005.html
安倍氏は、「首脳会談をしないで困るのは韓国の方だ。黙っていても歩み寄ってくる」と判断していた節がある。
色々と評判の良くないブレーンから、猿智恵、いや、入れ智恵をされていたのであろう。
ところが、一向に韓国、中国から声がかからないので、焦りだしたと見られる。
次期国連事務総長に立候補している潘基文韓国外相への支持をカードに用いる動きもあった。
麻生外相などは先月29日の記者会見で、「日韓首脳会談が仮にできれば、そこで言うのもいい」と露骨に述べている。
ところが、潘外相は9月29日の次期国連事務総長の第3回投票で賛成13票、反対1票、棄権1票を獲得して、第1回、第2回に続き1位となった。ほぼ流れが固まってしまったので、そのカードも使えなくなった。
なお、潘外相に一貫して反対票を投じているのはどこか、が韓国では話題になっている。
米国のボルトン大使とする見方が多いが、欧州には、「日本ではないか」との声もある。「アジアから選出されるのが望ましい」と原則論を繰り返し、韓国支持を避けてきたからだ。
麻生発言をみると、反対1票は日本票である可能性が高い。
安倍氏が日韓首脳会談にかけているのは間違いないが、韓国側の反応はシビアだ。
韓国大統領府は9月29日、開催時期について「10月中旬前を念頭において協議中で、中秋(中秋)の名節に支障のない日程で行うのが政府の立場」としつつも、「靖国参拝を含む歴史認識問題に対して誠意ある立場を表した場合、首脳会談を行うことができる」とさらに具体的な注文をつけた。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=80390&servcode=200§code=200
小泉政権の後継者である安倍新政権への、韓国、中国の視線は想像以上に厳しいと言うことである。
日韓首脳会談は、11月18、19両日にベトナム・ハノイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までずれ込み、それも挨拶程度のごく儀礼的な会談に終わる可能性もある。
中国も、しばらくは様子見を決め込むのではないか。
韓国、中国が示し合わせて安倍イジメをしているわけではないが、靖国参拝を否定も肯定もしない「あいまい戦術」が通じないことだけは確かである。
それは、小泉流はぐらかし戦術の二番煎じのようなもので、所信表明演説で公約した「主張する外交」とも矛盾する。
やたら借り物のカタカナを乱発する安倍氏の言葉には、黒を白と言い換える小泉氏のようなインパクトがないから、国内でも、早晩、認識不足と言行不一致をつかれ、立ち往生してしまうだろう。
安倍首相には27日夜、ブッシュ大統領から電話がかかり、11月中旬にハノイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際に初の首脳会談を行うことで合意したが、隣人からじゃけんにされ、遠くにしか友人がいないのはいかにも寂しい。
小泉前首相には「米国との同盟関係さえ強固にしていれば、中国はついてくる。韓国もついてくる」という、アジア軽視思想があった。北東アジアという町会で孤立した頑固者が、遠い町会のボスに応援を頼むようないじけた考えである。
安倍新政権はそうした考え方を修正しないと、地域社会での孤立から脱却するのは難しいだろう。