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【国際的シンクタンク「サンリス協議会」の報告:貧窮した民の支持得るタリバン】タリバンの復権【JANJAN/IPS】
http://www.asyura2.com/0601/war84/msg/838.html
投稿者 傍観者A 日時 2006 年 9 月 22 日 21:49:10: 9eOOEDmWHxEqI
 

http://www.janjan.jp/world/0609/0609221577/1.php
タリバンの復権 2006/09/22
【ロンドンIPS=サンジャイ・スリ、9月5日】

 「タリバンが再びアフガニスタンの南半分の支配権を握り、日ごとにその勢力を拡大している」と、アフガニスタン状況を注意深く監視している団体が9月4日に発表した報告書で伝えた。

 2001年の同時多発テロから5年が過ぎたのを機に発表された、アフガニスタン復興に関するこの報告書は、治安の悪化するヘルマンド、カンダハル、ヘラート、ナンガハルの各州にわたる広範囲の現地調査に基づいたものだ。

 このサンリス協議会の報告書は、「タリバンの前線基地はアフガニスタンの南部の州を取り込んで国の中ほどに達している」という。サンリス協議会とは、カブール、ロンドン、パリ、ブリュッセルに事務所を持つ国際的なシンクタンクである。

 サンリス協議会は近年、アフガニスタンについて幅広い調査報告を行っており、今回の報告書はさらに「飢餓や貧困といった人道的危機がアフガニスタン南部を襲っている」と指摘し、こうなったのは「米国および英国が麻薬撲滅政策と軍事政策に失敗したからだ」と非難している。

 「その結果として極度の貧困がさらに進行し、地域住民の要請に応えてきたタリバンへの支持が増してしまった」。

 「私たちは人災を目撃している」と、サンリス協議会のエマニュエル・レイナート事務局長はIPSの取材に応じて語った。「現在、カンダハル付近には飢餓に苦しむ人々、毎日のように死んでいく子供たちのいる難民収容所があり、タリバンは明らかにこの状況を利用して人々の信頼を取り戻し、この国の支配権も取り戻そうとしている」。

 「ケシ絶滅作戦は最悪だった」とレイナート事務局長はいう。「農民の生計の糧を直撃するものであり、麻薬撲滅と今回の人災には明白なつながりがある。この状況につけこんだタリバンは、自分たちのいた頃は確かに辛く厳しかったかもしれないが、家族を食べさせることができたのに、今はどうだと言わんばかりだ。地元の人々に対するタリバンの支援や社会福祉はますます増えている」。

 「米国主導の国家再建は、効果の上がらない扇情的な軍事作戦および対麻薬政策によって失敗した」と報告書は述べる。「同時に、支援開発プログラムに対する驚くほどの資金不足も原因であった」。

 この最悪の政策が、米国が戦いに乗り出していたテロリズムを成長させるような環境そのものを創出してしまった可能性があると報告書は指摘する。「米国のアフガニスタン政策は、2001年の侵攻が破壊しようとしたテロリズムの温床を再び作り上げてしまった」とレイナート事務局長はいう。

 「アフガニスタンの国際部隊が5年もこの地に駐留してきたのは、アフガニスタンが二度と国際的なテロリストにとって安全な避難所にならないようにするためだった」と同事務局長はIPSに語った。「けれどもタリバンの復活は今のところテロリズムの復活には至っていない」。

 「現在のところ、目立った外的要素はなく、目にしているのはアフガニスタンのタリバンである」とレイナート事務局長はいい、「分かっているのは、いわゆるネオ・タリバンは基本的にアフガニスタン人であり、地元の人間で、長年南部で戦ってきたパシュトゥン部族の出身だということ。ある意味、南部で内戦が行なわれていると見ることもできる」

 飢餓は怒りに結びつくと報告書は主張する。国際社会からの援助不足でアフガニスタン政府も国連世界食糧計画もアフガニスタンの飢餓の危機に取り組むことができないでいる。「援助資金を求める声が高まっているにもかかわらず、米国主導の国際社会は依然、援助資金の大部分を軍事作戦や治安維持に費やしている」。

 「2001年の同時多発テロから5年が過ぎたが、アフガニスタンはいまだに最貧国のままであり、国の南部の脆弱な地域では飢餓の危機が存在している」とレイナート事務局長はいう。「資金援助において外交政策、軍事、麻薬対策、復興計画が優先されて、この重大な事実はなぜか国際社会に見過ごされてきたようだ」。

 その結果、国際社会はアフガニスタンの人々の心を捉える戦いに負けた、と報告書は述べる。

 さらに「粗末な未登録の難民収容所で飢餓に苦しむ子供たちや麻薬撲滅対策や空爆作戦によって強制退去させられた行き場のない人々」の過酷な状況について報告書は警告する。

 報告書によると、こうした難民収容所には暴動や紛争で家を追われた家族も住んでいる。連合軍の「テロとの戦い」による侵攻や最近の暴動鎮圧作戦で家を破壊されたものもいる。

 「そもそも2001年の時点から、米国主導の国際社会がアフガニスタンに対して優先したものは、アフガニスタンの人々が優先するものと一致しなかった」とレイナート事務局長はいう。「これは昔からの軍事的過ちであり、敵を正確に特定していなかったということだ」。

 報告書によると、軍事費は開発復興費の900%とはるかに上回り、2002年以降、825億ドルがアフガニスタンの軍事作戦に費やされてきた。それに比べて開発に使われたのはわずか73億ドルである。

 一般市民の被害や死者の数の多さも、国際部隊の存在に対する憤りと不信を増幅している。アフガニスタンでは7月だけで一般市民の死傷者は104人に上った。

 報告書は、タリバン復活という事態に直面して、米国と国際社会はただちにアフガニスタンでの取り組み全体を見直さなければならないとしている。

 「緊急の貧困救済が今第一に優先されなければならない」とレイナート事務局長はいう。「まず貧困問題であり、国家の建設や復興はそれからの話になる」。

 「タリバンの復活は急速に進展している」とレイナート氏はIPSに語った。「タリバンが真に力を持ってしまったら和解することはできない。タリバンが力をつける根本の原因に取り組まなければならない。それが貧困であり、対麻薬政策である。そこにタリバンの取り入る隙を断ち、5年前のように孤立したテロリストの小集団で、テロを利用しようとする小さな存在にしなければならない。現在のタリバンはもはや小集団ではない。開発政策の失敗のせいで拡大してしまっている」。

 レイナート氏は「一年後には、アフガニスタン政府の権威は弱まり、国をまとめられなくなる状況となる可能性もある」という。(原文へ)

翻訳=加藤律子(Diplomatt)/IPS Japan角田美波

関連サイト:
サンリス協議会報告書
http://www.senliscouncil.net/modules/publications/014_publication

IPS関連ヘッドラインサマリー:
NATOはタリバンを制圧できるか
軍事作戦だけでなく再建/開発計画を
タリバンの命令で閉鎖される学校

(IPSJapan)

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