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□北部イラクで新たな民族的緊張 クルド政権のイラク国旗の掲揚中止が引き金に [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2469401/detail
北部イラクで新たな民族的緊張 クルド政権のイラク国旗の掲揚中止が引き金に
【アルジャジーラ特約17日】クルド自治政府のマスード・バルザーニ議長が政府機関ビルでイラク国旗の掲揚を禁止する決定を行ったことがイラク国内に新たな緊張をもたらしている。以下は、ナビール・ジルキ記者の北部イラク・ルポである。
北部イラクの都市モスルの街路を見わたすと、「アラー・アクバル(神は偉大なり)」という言葉を付け加えたイラク国旗数百本がはためいている。政治専門家がアラブ人の不服従行動と呼んでいる動きである。
クルド人の最高指導者、バルザーニ自治政府議長は最近、クルド人地域の自治政府機関の建物の上にクルドの旗と一緒に掲揚されていた赤・白・黒のイラク国旗を降ろす決定をした。この決定はイラクの多様な民族共同体の間のさらなる緊張を生んだのである。
クルド人の指導者たちは、サダム・フセイン元大統領が宗教的な意味合いを付与したイラク国旗は抑圧と独裁政治の時代を表すものだと主張してきた。そして、イラク軍によって数千人に上るクルド人が殺害されたアンファル作戦を指摘する。
バルザーニ議長は先に、「現在の旗はイラク国旗ではなく、バース党の旗であって、化学兵器による攻撃、沼沢地の汚水、蜂起の鎮圧、集団埋葬地の旗である」と述べた。
しかし、アラブ人が多数を占める一方で、大きなクルド人の共同体もある都市、モスルでは、どちらの旗を掲揚するかという議論が持ち上がり、愛国的熱情を押し上げ、宗派間や民族間の闘争が増える結果になっている。
多くの市民は今や、イラク国旗に宗教的章句を付け加えた記章をピンで留めている。
モスル在住の政治専門家、アハマド・ファクリー氏によると、モスル市住民、特にティグリス川左岸の居住者は今の国旗以外の旗はすべて拒否し、もし、そのような旗が強制されるなら闘いも辞さないという。
ファクリー氏は「この人たちは、現在の国旗がイラク国民の団結の唯一のシンボルとして残っているのだと考えています。イラク国民の多くは、今、国旗を変更することが重大問題だとは思っていません。むしろ、どうやって暴力を収め、占領を終わらせ、安定をもたらすかに集中しようとしているのです」と話した。
多くのイラク人を怒らせるのは、この国旗がイラク・イラン戦争の間に死んだ兵士や民間人の柩を覆ったという事実があるからである。モスルの男子校の教師であるイブラヒム・モハマッドさんは「私の兄弟の殉教の死を忘れよといわれても・・・彼はイランとの戦争で、ムハマラ(ホラムシャハールとして知られるイランの国境都市)で戦ったんです。この国のために戦った人たちの犠牲のことを海に流してしまえと言うのですか」と話した。
民族間の暴力が多く見られるようになって、モスルのアラブ人が多く居住する地域にいたクルド人たちは自分たちの家を離れざるを得なくなっている。
モスル北部のカディシャにいたクルド人の2家族は、見知らぬ武装分子が殺すと脅したため逃げ出した。標的にされるのを恐れて匿名で話してくれた関係者は「クルドの武装要員が両家族の近所を4時間にわたって取り囲み、家族が攻撃されたり、いやがらせされたりしないで安全に離れられるようにしました」と語った。
複数のモスル警察当局者は、もしイラク国旗が取り払われるようなことがあったら、見過ごすことはできないとして、この問題に力を入れ始めている。
最近、警察官の訓練を終えたばかりのラドワン・ラホさんは「仲間や私は旗を降ろそうとする連中に対しては、警察を辞めて武器を取る決心をしています」と語った。
モスル市民の多くにとって、国旗の問題はサダム・フセインとその旧政権の問題ではなくなって、アラブ人とイラクの団結の問題になりつつある。
ファクリー氏は「おわかりのように、それはイラク人だけではなく、アラブ人の団結、シリア、エジプト、イラクの団結を代表する旗なのであって、アラブ民族の偉大なイデオロギーを示しています。もしクルド人が自分たちの民族旗を掲揚すると主張するなら、北部のアラブ人たちも同じようにするのを、あなたはご覧になるでしょう」と話した。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)
2006年09月20日13時41分