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http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/09/post_338c.html から転載。
09/12/2006
ブルックリンから世界のために
9/11テロ事件から5年が経過した。あの事件で2,973人の犠牲者を出したアメリカ合衆国は、アフガニスタンとイラクに戦争を仕掛け、その結果として2,974人以上の米国人が米軍兵士としてすでに戦死している(http://hiddennews.cocolog-nifty.com/briefing/2006/09/52974_8e14.html)。
英インディペンデント紙は9月10日付け報道(http://news.independent.co.uk/world/politics/article1433404.ece)でこう伝えている:「テロリストによる犠牲者を含め、『テロとの戦争』を直接原因として、現在までに少なくとも6万2,006人が死亡し、450万人が難民となり、アメリカ合衆国は地球上のあらゆる貧困国家の債務を完済できるほどの金額を戦争費用として支出している。」
同紙の発表した独自集計結果をみれば、5年間の『テロとの戦い』というものが何だったのか、少しは理解しやすくなるかもしれない。:
2001年9月から2006年9月9日までの期間で、アフガニスタンでは4,541人〜5,308人の市民が死亡し、連合軍兵士385人が戦死。イラクでは、5万100人の市民が死亡し、連合軍兵士2,899人が戦死。この間に、世界中で4,081人がテロで死亡している。
アフガニスタンの難民キャンプで死亡した市民数は8,000人から2万人と推定され、220万人が難民としてアフガニスタンから脱出し、15万3,200人が国内で避難している。
イラクでは88万8,700人が国外に避難し、国内では130万人が避難中。また、中流家庭の40%がイラクを離れたとみられている。
アメリカ合衆国がテロとの戦争に費やした費用は、2006年7月の時点で4,370億ドル(約51兆7億1,600万円) 。貧困対策団体「Make Poverty History」によれば、地球上の貧困国家の借金総額は3,750億ドル。
イギリス政府はイラクとアフガニスタンに45億ポンド(約9,798億円)を支出している。
地球上のほとんどの人々は、これらの数字に悲劇を感じるはずだ。しかしアメリカ国内の一部の人々には、こうした数字に米国経済の活況を感じているかもしれない。例えば、米国内の軍事関連企業上位34社の経営者の1人あたりの平均報酬額は、9/11テロ以前には360万ドル(約4億2,331万円)だったのが、9/11テロ以降には720万ドル(8億4,664万円)に上昇している(http://www.faireconomy.org/press/2006/ee06_ceos_pocket_the_spoils_preview.html)。これら軍事企業のCEO達34人が9/11テロから昨年までに懐に入れた報酬総額は9億8,400万ドル(約1,157億2,900万円)で、これはイラク国民100万人分の年収よりも多い金額ということだ。
『テロとの戦い』は既存の軍事産業を儲けさせただけでは収まらない。9/11テロ以前、米国政府から合衆国本土防衛業務を受注する企業は9社だった。それが2003年度には3,512社になり、現在では3万3,890社に膨れ上がったという(http://observer.guardian.co.uk/world/story/0,,1868912,00.html)。新市場の誕生である。2000年から現在までの6年間に、合衆国政府が本土防衛業務を外注した金額は1,300億ドル(約15兆2,925億8,600万円)、それが2015年には、年間費用として1,700億ドル(約20兆22億3100万円)を支出する計画であるという。(ここまで読んできた読者は、ハリケーン・カトリーナ大災害の被災地復興が進まないのはなぜ? ― http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/08/1_1ed1.html ― と思われることだろう。ハリケーン災害対策もテロ対策も、同じ国土安全保障省の管轄下なのだが・・・。)
「世界にとってアメリカ合衆国こそが脅威」とのヨーロッパ各国の評価(http://www.angus-reid.com/polls/index.cfm/fuseaction/viewItem/itemID/13028)は、決して大袈裟ではない。つい先日も、米議会はクラスター爆弾の製造継続を承認しているし(http://www.rawstory.com/news/2006/Senate_votes_to_continue_use_of_0906.html)、今月始めに行われた最新世論調査によれば(http://www.angus-reid.com/polls/index.cfm/fuseaction/viewItem/itemID/13081)米国民の46%が「サダム・フセインは9/11テロを個人的に支援していた」と今でも誤解している(http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/07/post_c00c.html)。しかし、多様性がこの国の本質であるとすれば、以下のクリスチャンサイエンスモニター紙の記事(全文翻訳して掲載)は、そのパワーをうまく伝えていると思う。ブルックリン!!
9/11が生んだ絆−イスラム教徒とユダヤ教徒が結束するブルックリン
by アレクサンドラ・マークス:クリスチャン・サイエンス・モニター2006年9月11日付記事(http://www.csmonitor.com/2006/0911/p12s01-ussc.html)
<写真=省略>
ブルックリンに架かる橋:ラビ・ロバート・カプラン氏(左)とイスラム教徒のモハンマド・ラビ氏。二人は人民組織協議会(Council of People's Organizations:COPO)の活動を通じてブルックリンの地域社会づくりに貢献している。
ニューヨーク:911テロ直後、ブルックリンのコニーアイランド・アベニューは火薬庫になる可能性があった。ユダヤ教徒とイスラム教徒住民が最も密集して暮らす地域であり、それぞれニューヨークで最大のイスラム教寺院と正統派ユダヤ教会が3ブロック離れて存在している。
FBI捜査官と移民局調査員が大勢押し寄せた。イスラム系住民が消えた。政府に拘束された住民もいる。英語も合衆国法制度も理解できない住民は恐れおののき、帰宅するよりも友人やご近所同士で暮らすようになった。
二人の男性−1人はユダヤ教徒、もう1人はイスラム教徒で、全くの赤の他人同士の二人が、互いの共同体を理解し、地域を支配し始めた恐怖を収束させ、あらゆる過激主義と戦うことで本当の安全確保が実現できると決心した。
二人は自らの生き方を転換し、それぞれの家族がアメリカにやって来る動機となった価値感と、各自の信仰を支える霊的価値感を確認すべく献身することになった。やがて二人は親友になり、政治運動家になり、地域協力の促進者になった。
「この国の美しさとはそこです。異なる人種や宗教を超えて人々が集まり、共に働くことができるんです。」現在、人民組織協議会(Council of People's Organizations:COPO)の議長となったモハンマド・ラビ氏は言う。
実業家からイスラム活動家へ
ラビ氏は優れた実業家だった。父親や兄弟と共に、コニーアイランド・アベニューで5軒のお店を経営していた。911テロ事件後、ラビ氏は拘束された人たちの家族を支援した。彼はパキスタン人組織協議会(Council of Pakistani Organizations:COPO)を設立し、近所の人に兄弟、父、従兄弟達が何処に行ったのか捜索し、弁護士の要求や保釈金、法手続きの方法を教えた。同時に、ラビ氏は捜査当局者達に接触し、捜査機関がいかに地域社会に損害を与えているかを知らせようとした。
ラビ・ボブの登場
自分の仕事と新たな無報酬活動に明け暮れていた或る夜、友人とCOPO事務所に居たところへ、1人のヤムルカ(ユダヤ教徒が使用する帽子)をかぶった男性がやって来て、自己紹介を始めた。地元ではラビ・ボブという呼び名で知られるラビ・ロバート・カプラン氏は、入り口の看板を見て、隣人達と知り合う時期が来たと決心したのだった。
「リスクを恐れず一歩踏み出すべきです。解決よりも衝突のほうがはるかに起きやすいですからね」ニューヨーク・ユダヤ地域関係協議会に所属する路上の指導者、ラビ・カプラン氏は言う。
二人はすぐに意気投合し、協力することにした。二人は宗教を超えてお互いの共同体に影響する課題についてリストアップした。宗教差別、医療、女性問題と家庭内暴力、教育、そしていわゆるアメリカン・ドリームの実現。二人は共同作業を「我ら皆ブルックリン人(We Are All Brooklyn)」と名づけ、活動を開始した。
10代の青少年のために、彼等は『若者の橋NY(Youth Bridge-NY)』という組織を立ち上げた。異なる地域から民族、人種、宗教的背景を超えて共同作業を行い、リーダーシップ技術を学ぶ活動である。津波被災者、パキスタン地震被災者、ハリケーン・カトリーナ被災者のために、彼等は支援物資を集めた。毎年、彼等は平和行進を組織して、ブルックリンを練り歩く。『エイブラハムの子供達・・・平和のために歩こう』という横断幕を掲げて、数百人がシナゴーグからモスクまで行進するのだ。
「自分が何者であるかは私の魂が告げています。このような連合を率いるからといって、私があなたみたいになるべきとか、あなたが私みたいになるべきということではないのです。」カプラン氏は言う。「ただ、より良い世界を目指すために、私達は力を合わせるべきなのです。」
(以上)