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□メード虐待でサウジ出身の学生に長期刑 被告は終始無罪を主張 [ベリタ通信]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2399363/detail
メード虐待でサウジ出身の学生に長期刑 被告は終始無罪を主張
中東のサウジアラビア出身で、米国の大学で言語学を学んでいた男性がこのほど、米コロラド州の裁判所で、インドネシア出身のメードを性的に虐待し、給料を支払わなかった罪で、禁固28年以上の有罪判決を受けた。男性は終始、無罪を主張し、検察側の訴追は、彼がイスラム教徒であるために行われたもので、無罪だと主張した。しかし、裁判所は被告の主張を退けた。この事件では、サウジアラビア政府が被告の訴訟費用を負担したと伝えられるなど、アラブ世界では関心を呼んでいたという。(ベリタ通信=江口惇)
米メディアによると、この男性は、ホマイダン・アルツルキ被告(37)。同被告は、2000年にサウジアラビアからインドネシア出身のメード(24)を、5人の子どもや妻の世話をするメードとして米コロラド州に連れてきた。
被告は、コロラド州には家族とともに14年前に来ていたという。コロラド大学で学んだ後、同大学院の博士課程に進み、言語学を専攻していた。
検察側の主張によると、同被告はメードにつき150ドルの給料を払う約束をした。しかし、給料を全額払わないばかりか、週7日間働かせた。メードの申し立てによって、被告が逮捕され、監禁や給料の窃盗などの罪に問われた。
メードの証言では、彼女は地下の床の上でマットレスを敷いて寝たという。給料は1日2ドルだった。性的な虐待も受けたとしている。
これに対し、同被告は裁判で、「犯してもいない罪で謝罪することはできない。伝統的なイスラム教徒の行動を攻撃するのが、検察の訴追の狙いだった」と指摘した。検察側は、被告の宗教や人種が、訴追の要因になってはいないと反論した。伝統的なイスラム教徒の行動が何を意味するのかは明らかにされていない。
被告はことし6月、陪審団によって有罪の評決を下された。8月末に量刑言い渡しがあり、メードを事実上、奴隷のように扱っていたとして、28年以上の刑を宣告された。
被告の親類の話では、被告は、2001年の米同時多発テロの後、テロリストとしてマークされた。これは立件されなかったが、被告は、その後米連邦捜査局(FBI)の係官から、荷物をまとめて米国を出国しなければ、投獄されることになると警告されたという。
メードは当初、性的な虐待を否定していたが、その後認めた。このため、被告らは、メードの証言は、FBIが強制的に言わせたものとして信憑性に疑問を投げかけた。その上で、被告は裁判所に対し「宗教や出自が有罪の根拠とならない公正な裁判を望む」と主張していた。
この事件は、サウジアラビアから来ている留学生に大きな動揺を与えた。ある学生は、被告は留学生の相談に乗るなど真面目な人物だと述べていた。仮に有罪判決が出れば、それはイスラム教徒を攻撃することを意味し、米国の大学での留学を再検討せざるを得ないとの声も上がっていた。
コロラド州の地元紙によると、サウジアラビア政府は、被告が逮捕された後、40万ドルの保釈金を支払ったという。同国政府が、この事件の多大な関心を寄せていたことを示唆するものだ。しかし、ワシントンのサウジアラビア大使館は、この問題でのコメントを拒否している。
2006年09月03日00時08分