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http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2006831_3383.html から転載。
2006年8月31日付シャルグ紙1面
【政治部:アクバル・モンタジャビー】「ジミー・カーターはセイエド・モハンマド・ハータミーと会談する用意があることを表明した」。アメリカの有力二紙のうちの一つであるワシントン・ポスト紙は昨日このように伝え、この会談が実現されるならば、「アメリカの歴史の一ページ」に加わりうる「事件」として報じた。これまで入ってきた情報によると、イランとアメリカの両元大統領は、来週会談を行う可能性がある。
イラン改革派の一人であるハータミー前大統領は、現在《文化・文明間の対話国際協会》を主宰している。同氏は《イスラーム・アメリカ関係評議会》の会議に出席、さらにシャフリーヴァル17日(金曜日)〔9月8日〕にはワシントン・ナショナル・カシードラルで講演を行う予定となっている。
他方アメリカの民主党に属するジミー・カーター米元大統領は、現在アトランタにあるカーター・センターを主宰している。この会談が実現すれば、イラン・米両国の非政府関係者による会談としては、最高級のものとなる。ハータミー前大統領はアフマディーネジャード現政権に影響力を有しておらず、またジミー・カーター元大統領も現在のジョージ・ブッシュ政権に影響力を行使する立場にはない。他方、両者とも「対話」を旨とする協会の主宰者として活躍している。
革命から27年間、イラン・米両国の公式筋はこれまで、稀な、しかも非定期的なケースを除いて、両国の問題について話し合いのテーブルに就くことはできなかった。イラン・イラク戦争のとき、イランとアメリカはマクファーレン米安全保障会議元補佐官を通じて、初めての接触が行われた。イラン側からは、匿名の人物が同元補佐官と会うために赴いたが、しかしこの会談は事前に暴露され、またイマーム〔ホメイニー〕の反対もあって、会談は直前になってキャンセルとなった。〔訳注:本件に関しては、富田健次著『アーヤトッラーたちのイラン』(第三書館)のpp.210-214.に詳しい〕
この事件の後、両国間の関係は険悪化したこともあって、両国関係の緊張緩和と改善へ向けた動きが、双方から現れることはなかった。しかし、セイエド・モハンマド・ハータミー師の大統領就任後、国連の場で大きな出来事が起きた。当時の民主党のビル・クリントン大統領が、イラン大統領と会談する用意があることを暗にほのめかしたのである。クリントン大統領は当時のオルブライト国務長官とともに、国連でのハータミー大統領の演説に参加し、演説が終了するまでその場にとどまった。しかし結局、会談は実現せず、ハータミー大統領は世界の首脳らとの記念写真の撮影に参加することも辞退したのであった。
米・アフガニスタン戦争の勃発に伴い、アメリカがアフガニスタンの国内情勢に関する情報を必要としていたこともあって、イラン・米両国の政府関係者はジュネーブで話し合いの場をもった。協議に参加した人物の名、及び肩書きは明らかになっていないが、イラン側が強調したところによると、協議はアフガニスタン問題に関して、またイラン側からアメリカへの「信頼醸成」を目的に行われたという。
他方、イランの核問題が浮上し、アメリカが同問題に関心の焦点を合わせ、さらにアメリカによるイランへの攻撃の噂が流れると、アメリカの上院議員数名がイラン側の国会議員らと意見交換の場を持つ用意があることを表明した。しかし、これも実現しなかった。ハータミー政権は一度、イラン・米両国の国会議員が意見交換を行うことに何ら障害はないと公式に表明したが、国内で反対の声が上がったため、ハータミー政権の政府報道官を務めていたアブドッラー・ラマザーンザーデは突如ハータミー大統領の前言を撤回し、両国市民の間の対話には何ら障害はないと言い換えたのであった。
ともあれ、カーター元大統領との会談に関して要請が行われたのか否かについて、ハータミー師及び彼の側近らから、いまのところ正式な発表は行われていない。しかしワシントン・ポスト紙は、「最初にイラン側が会談を提案した。カーター・センターの事務局は現在、ハータミー師とその側近らに会談の適切なタイミングを伝えるべく、スケジュールを調整しているところである」と報じている。ジミー・カーター元大統領の補佐官であるフィル・ワイズ氏は、「われわれにとって問題のある人物と話し合うことは、話し合いをしなかったり、問題のない人と話し合うよりも良いことだ」と語っている。
他方、ホワイトハウスは昨日、「ハータミー師の訪問は非政府組織の招待によるものであり、彼は現在イラン政府とは関わりがない」と表明した。その一方で、ある米上院議員は、ハータミー師がアメリカを訪問することに異を唱え、「ライス国務長官はハータミー師にビザを与えるべきではない。もしビザの発給が不可避であれば、ハータミー師に対してアメリカを訪問する一般のイラン人と同様に、指紋の押捺を求めるべきだ」と主張した。
ホワイトハウスはもちろん、この主張に応ぜず、ハータミー師へのビザの発給は無事行われた。他方、ハータミー師は、もし指紋の押捺を求められるならば、すぐにでもアメリカを発つつもりだと警告している。
ハータミー師は予定されている講演のほか、ヴァージニア大学やシカゴにあるイスラーム団体を訪れることを予定している。同師はまた、アメリカの建国者の一人で、アメリカ憲法の起草に貢献したトーマス・ジェファーソンの家を個人的に訪問することも予定している。
あるホワイト・ハウスの高官は、「ハータミー師が誰と会おうと、自由である。彼がジミー・カーター元大統領と会うことで、政治的な観点からさまざまな憶測が惹起されるとしても、である」と語った。
〔後略〕
URL: http://www.sharghnewspaper.com/850609/html/index.htm
(翻訳者:斎藤正道)