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http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060813/mng_____kok_____005.shtml
先月二十二日、米ミシガン州バトルクリークのアパートに住む男(58)が訪ねてきた知人(38)を玄関先で、50口径のライフルを発砲し、殺害した。「ハンマーで襲われそうになった」と話すと、警察は男を逮捕することもなく、帰宅させた−。
「住居に入ってきた者から脅威を感じれば、殺害しても正当防衛が成立する」。ミシガン州では、この事件の二日前、こんな内容の改正正当防衛法にグランホルム知事(民主党)が署名し、成立したばかりだった。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、同様の州法は昨年十月にフロリダ州で施行され、現在、全米十五州で成立、八州で導入が検討されている。
従来の正当防衛法では「退却の義務」が原則で、「襲われそうになったら逃げる。それでも追いかけてきて、生命に危険を感じた場合」、正当防衛が成立していた。
ところが、新法では「わが家」は「お城」であり、「退却の義務」はないという「キャッスル・ドクトリン(居城原理)」を適用。その場に居る法的権利がある住居などでは、脅威を感じれば、銃など殺傷能力のある武器で反撃しても、正当防衛が成立することになった。ミシガンの法律では「住居」には前庭はもちろん、裏庭やガレージ、納屋なども含まれた。
フロリダ州法では、正当防衛を主張する場合、憎しみや悪意など動機面で明確な証拠がない場合、加害者を逮捕して調べることまで禁止する。
◆13件で10人死傷
同州中部地方の地元紙オーランド・センティネルは、今年一月から五月までの五カ月間、同地方で起きた発砲事件を検証した。それによると、少なくとも正当防衛を主張する事件が十三件発生し、六人が死亡、四人以上が負傷していた。
このうち、被害者の中で凶器を所持していたのは一人だけだったが、五件で正当防衛が成立し、発砲者が罪に問われたのは三件のみ。残る五件は捜査中だった。
▽車を盗もうとした少年(15)に対し、所有者の夫が発砲。少年は足の裏を負傷した。目撃者は「少年は逃げようとしていた」と証言したが、加害者は「少年に脅威を感じた」と主張し、正当防衛が成立。一方、少年は窃盗未遂で有罪。少年の母親は「逃げた息子に発砲しておきながら、息子に恐怖を感じたなんて信じられない」と憤る。
▽前庭に入ってきた男性(23)を銃で殺害。殺害された男性は隣家の知人で凶器は持っていなかった。周囲は「人のいいやつで、ただ握手がしたかっただけ」と証言しているが、加害者は「殴ると脅された」として、無罪。
◆背景に圧力団体
この法律の背後には、最強の圧力団体として知られる全米ライフル協会(NRA)の存在がある。NRAの政治組織「立法活動機関(ILA)」が州議会に強く働きかけている。フロリダ州はNRAの影響力が強く、まず、同州で新法の流れをつくり、他州に広めるのがILAの戦略だ。
こうしたNRAの活動に対し、銃規制を求める団体や検察当局は「殺人を合法化させる動きだ」と強く批判している。