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□唯一残ったシリアへの退避路を行く イスラエル軍が主要路を破壊 [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2310554/detail
唯一残ったシリアへの退避路を行く イスラエル軍が主要路を破壊
【アルジャジーラ特約10日】レバノンの首都ベイルート、その中心部、チャールズ・ヘル立体交差点下にある市最大のバス・タクシーターミナルが、イスラエル軍によるレバノン攻撃以降、大きく様相を変えている。
「戦争」以前、同ターミナルはベイルートからシリアの首都ダマスカスやヨルダンへ向かう乗客を拾うバス、タクシーで込み合っていた。
しかし、イスラエル軍の攻撃が激化、ダマスカスへ通じる主要路が同軍の砲撃で破壊されて以来、シリアへ避難しようと同ターミナルにやって来る客はめっきり減り、客待ちのタクシーも少なくなっている。
その中の1人、タクシー運転手のトニ・ダウドさんは1980年代の米国産シボレーでシリア行きの客待ちをしている。「状況が大きく変わってしまった。これまでなら、ベイルートとダマスカスの間を1日で往復していた。交通事情にもよるが、片道2時間半が普通だった。それが今では片道が倍の5時間もかかる。その代わり、運賃もかつての10ドルから50ドルにしているがね」と話す。
ダウドさんのタクシーに乗り、レバノン北部と接するシリア国境を目指した。
▽主要路をことごとく破壊
イスラエル軍は空爆により、レバノンの主要路をほぼ全面的に破壊した。このため、レバノン国民が隣国シリアに避難しようと思えば、それには2つの方法しか残されていない。
第1が外国人を避難させるために運航されているシリア行き船舶に乗ること。第2は、車で海岸沿いの道路を使ってシリアに向かうことだ。
ベイルートとダマスカスを結ぶ高速道路は”開戦”直後に標的となってイスラエル軍のロケット弾で破壊された。同軍は破壊の理由を、「この高速道路がシリアからヒズボラ(レバノンのイスラム教シーア派民兵組織)への武器補給ルートに使われているからだと説明した。
しかし、イスラエル軍はベカー高原に通じる道路など、それほど重要ではない道路へも砲撃を加え、破壊している。”開戦”当初の段階では、こうした道路を使って、数万人のレバノン人がシリアに避難したが、今では、道路を使えず、避難は不可能になっている。
▽トリポリ沖に流出油
これに対し、海岸沿いの道路もイスラエル軍の砲撃を受けてはいるが、まだ何とか通行は可能な状態だ。
今月5日、イスラエル軍はキリスト教地区の港町、ジュニエを通過する自動車道路のうち、ベイルート方面行きの車線に砲撃を加え、破壊した。ここに差し掛かると、車両はのろのろ運転を余儀なくされる。
とはいえ、自動車道は通行不能ではなく、破壊を免れた車線を交互に使いながら、車の流れを維持している。
一車線の道路をさらに北へ進み、破壊されて無残な姿をさらす橋の下を通ってから、自動車道に再び戻ると、レバノン第2の都市、トリポリに入る。ベイルートからは北へ85キロの位置にある。
トリポリはイスラエル軍の空爆をまだそれほど受けておらず、平静さを保っているが、それでも港に続く海面には同軍による燃料基地爆撃で流出した重油が漂っているのが見られた。
▽国境に響く両替の声
トリポリを離れてから、内陸部に向かい、緑豊かな風景の中を進む。オリーブ、多用な果実の木々が道路の両側に植えられている。子どもたちが古びたトラクターの脇を通りながら、1頭の牛を追っている。
のんびりとした光景だが、それは表面上のことで、車の行く手には小さな穴ぼこが口を開け、急ブレーキを余儀なくされた。「ほら、見てごらん。これはイスラエルのロケット弾が落ちた所だ」とダウドさん。あたりを見渡すと、金属片などが散乱していた。
イスラエル軍の砲撃を受ける可能性が高いものの、大型トラックが今でも自動車道を行き来し、これまでは使っていなかったアブブディエの国境検問所に詰めかけ、渋滞の原因となっている。
この国境検問所で耳に入るのは、レバノンからの避難民たちに両替を促す掛け声だ。両替商たちはシリア紙幣の束を振りかざしながら、これからシリアで暮らすことになる避難民たちを誘っている。
しかし、実際にはこうした避難民たちは着の身着のままでレバノンを後にしてきているのだ。それだけでなく、避難民たちがいつ、祖国に戻れるかも分かっていない。(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2006年08月12日03時42分