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平常心装うベイルート市民 内戦の記憶蘇る中で望みを捨てず [アルジャジーラ]
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投稿者 white 日時 2006 年 8 月 10 日 16:31:05: QYBiAyr6jr5Ac
 

□平常心装うベイルート市民 内戦の記憶蘇る中で望みを捨てず [アルジャジーラ]

 http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2304061/detail

平常心装うベイルート市民 内戦の記憶蘇る中で望みを捨てず

【アルジャジーラ特約9日】(ベイルートにてクリスチャン・ヘンダーソン記者)

 ベイルートの東郊、ゲマイゼのあるカフェで。そこには戦争が今も続いているのを示すような雰囲気は微塵もない。着飾った客たちが食べ物や飲み物についておしゃべりし、コーヒーを啜(すす)りながら、新聞を読んでいる。

 だが、南の郊外を襲ったイスラエル空爆のごう音が窓を揺るがし、その穏やかさは突然、壊されてしまった。人々は互いに見交わし、まるで何事もなかったかのように、それぞれの話に戻っていく。皮肉な笑いを顔に浮かべて、給仕人は「何でもありませんよ。ドアーが閉まったんですよ・・・それはでかいドアでね」と言った。

 戦争の1カ月。レバノン人はなるべく普段通りに過ごそうと大いに努めてきたのだが、多くの人が、国を危うくしている紛争が無いふりをするのが段々、難しくなったと言う。

 グラフィックデザイナーのナザ・メレビさんは、西ベイルートの海浜クラブの日光浴ラウンジに体を伸ばしながら、「みんな、普段の生活を保とうとしていますよ。僕の友だちは毎日、浜に来るようにして、数時間は働いてますよ」と言う。

 このクラブにはまだ来客があるのだが、黒い油泥が浜辺を汚している。ベイルートの南にある発電所からの油の漏出が原因だ。

 メレビさんは「もし普段通りの生活を続けようとしなかったら、気分が悪くなるというものです。せいぜい普通の生活が送れているふりでもしなければね。これが(戦争と)戦うやり方、対処法ですよ」と話した。

 しかし、1000人にも及ぶレバノン人が死に、この国のインフラの多くが破壊されるに至って、レバノン国民の多くは希望を失いつつある。

 出版社を経営するラミ・ラジェさん(28)は「疲れ、落ち込み、もうたくさんだと感じ、心配もしてます。わかりますか。良くない感情が積もり重なっていくんです」と話す。

 ベイルートは正常なら、アラブ世界で最も活気にあふれた都市の一つだが、少しは正常さが残っているといっても、不気味なほどの平穏さが市街に覆いかぶさり、住民の多くには暮らしがますます難しくなっている。

 戦乱は経済をほとんど休眠状態にしてしまった。休業した企業は従業員に対して、7月の給料を全額支払い、8月分も半額を保証したが、戦争がこれ以上続けば、従業員を雇っておくことができなくなる企業が多い。

 燃料の供給はどんどん減り、車を持つ人が7ドル分の配給が待つので、ガソリンスタンドの外には長い車の列ができる。

 エコノミストたちは、この戦乱が経済に与えた被害額はこれまでで約50億ドルと推計する。レバノン政府によれば、イスラエルの攻撃は91万5000人以上に家を失わせ、約7000戸の住宅を破壊した。工場の破壊は175カ所で、橋、陸橋の破壊は150カ所以上。

 内戦が終わってから復興された物の多くはたった1カ月で破壊された。この国では一夜のうちにほとんどすべてを失うことがあることを証明したようなもの、とレバノンの人たちは言うのだ。レバノンには将来があるのだろうかと、多くの人々が自問している。

 ラジェさんは「未来は非常に暗いと思います・・・あなただって期待できるとは思えないでしょう。もし、このままの状態が続くのなら、私は出て行きますよ。それが唯一の選択です」と語った。

 多くの人にとって、今次の戦乱は内戦の暗い思い出を呼び戻し、トラウマとストレスが心にぶり返した。

 心理学者のマルワン・ガルジェディンさんは「レバノンでは、たくさんの人が、特に内戦の後、ウツやPTSD(心的外傷後ストレス障害)になりました。これは時間をかけて直さなければならなかったのです。しかし、今度は、PTSDが残っていたので、多くの人たちがもっと早く症状を示しています」と語る。「そういう訳で、多くの人たちが回復の過程にあると思っていたので良くないことは確かですが、一方では、多くの人がすでに経験を持っているのが救いでもあります」と。

 イスラエルのレバノン攻撃は過去40年間にこの国を襲った破滅的な事態では最も新しいというだけだ。レバノンはまだ、昨年のハリリ前首相の暗殺事件でめまいを起こした状態にあり、多くの人々は、自分たちの国が不安定と戦争に付きまとわれる運命にあるのではないかと恐れている。

 だが、この国は最後には過去の失敗を学び、このような事が2度と起きないようにするための方策を取るだろうと希望を抱く人たちもいる。

 映画製作者のヴァルタン・アヴァキアンさん(29)は「国として私たちはローラーコースターに乗り続け、同じ場所を上がったり降りたりしながら、回って来ているように感じています」と話した。

 アヴァキアンさんは「同じ事を何度も何度も繰り返して、民族国家というコンセプトも作れずにいるなんて、嫌な気分ですよ。今度こそ最後だと想いたいですね」と言いながら、こう締めくくった。

 「これが希望にすぎないとしてもね」。

(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)


2006年08月10日15時11分


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投稿者 white 日時 2006 年 8 月 09 日 17:58:44: QYBiAyr6jr5Ac

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