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[コメント]レバノン情勢に関して、まったく日本政府の姿が見えてこない。イスラエルの過剰な攻撃を批判するわけでもないし、ヒズボラのロケット弾攻撃停止を求めることもない。今のレバノン情勢はイスラエルとヒズボラだけなく、背後ではシリアやイランが関与し、アメリカのイスラエル支援という代理戦争の様相でもある。そうなると、日本はないも言えないという構図が出来ているようだ。まさに日本の政治家と外務官僚の無能さを証明している。
むろん日本がイスラエルとヒズボラの間に割っては入れというわけではない。今のレバノン情勢で最も効果的で早い停戦を確立する方法を見つけ、その停戦案を強く支持をして国際世論を高めるのである。具体的にはイスラエル寄りと言われる米仏の決議案を、アラブ連盟の修正を認めるように声明をだすことである。実は米仏の安保理決議案は、アラブ連盟などの修正要求を受け入れて、修正して可決するように仕組まれている。いわゆるアラブ連盟やレバノン政府の顔を立てるというものである。その方が今後の国際部隊の展開に有利になるからだ。
日本政府はそのあたりの情報収集や情勢判断を行い、あえてイスラエル寄りに作られた決議案の修正を求める者を応援するのである。汚いように思えるかも知れないが、これが国際外交で日本の国益を拡大する方策である。
イスラエルが最も恐れているのは、レバノン南部に大兵力を貼り付けたまま、長期の消耗戦に引きずり込まれることである。以前、イスラエル外務省の現役の局長から、第3次中東戦争(6日戦争)後の”消耗戦争”の話しを聞いたことがある。言うまでもなく6日戦争(67年)は短期間に、イスラエル軍の圧倒的な勝利で終わった。しかしその後、新しく占領したシナイ半島やゴラン高原で消耗戦が始まるのである。それはやがて73年の第4次中東戦争になっていくが、局長の口からは”消耗戦”の苦しみが正直に語られた。そこには第4中東戦争を正当化する目的があったかもしれないが、今のイスラエルではこの消耗戦の苦しみは政治や軍のトップクラスが身に染みて認識していることと思う。
だから国際部隊とレバノン軍がレバノン南部に展開し、イスラエルが南部から撤退することはイスラエルにとっても本心は助かることなのである。
ヒズボラは今回のイスラエル軍の戦闘で弱体化することはない。むしろレバノン政府やアラブ連盟の支持や同情を受けて、影響力を拡大することが必至である。ブッシュ大統領のようにこの機会にヒズボラを攻撃して、出来るだけ損害を与えたいと考えることが軍事的に無理なのである。イスラエルもそのあたりをことは承知していて、レバノン南部の一般市民に強い恐怖心を与え、そのことでヒズボラの活動を抑制したいだけである。だから一般人の犠牲も多くなる。ちなみにこれはナチス・ドイツ軍の治安作戦と同じである。当時、レジスタン(反ナチ武装組織)にドイツ兵が1人殺されれば、20人の地元農民や市民を銃殺して恐怖で治安を維持する方法である。ユダヤ人の国であるイスラエルが、ナチス軍と同じ方法をとるとは残念である。
それより日本政府はレバノン和平でもっと鮮明に姿を見せて欲しい。いつもアメリカの後ろに隠れてばかりいないで、国連安保理の常任理事国入りを目指すだけの存在感を示して欲しい。
(小生のコメント)
今に始まったことじゃ無いが、なるほどその通りに思います。