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□無辜の市民を殺害したくなかった カナダに逃げ込む米脱走兵 [ベリタ通信]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2297617/detail
無辜の市民を殺害したくなかった カナダに逃げ込む米脱走兵
バグダッドに駐留していたダリル・アンダーソン一等兵（２４）は当初、対イラク戦争を支持していた。しかし、無辜の市民を巻き添えにしかねない戦争の実態に疑問を感じるようになった。ある日、上官が、検問所に向かってくる車に発砲を命じた。アンダーソン一等兵は、「敵」かどうかも分からないまま、発砲することをためらい、結局発砲しなかった。しかし、これは正解だった。運転していたのは、二人の子どもを含む家族連れだった。一歩間違えば、市民を殺害するところだった。このことが、その後米軍基地を脱走し、カナダに逃げ込むきっかけになった。彼のようにカナダに脱走した兵士は、現在約２００人いるという。（ベリタ通信＝江口惇）
米メディアによると、３０年以上も前のベトナム戦争当時は、反戦ムードの高まりもあって、反戦組織の支援を受けた左派系の学生らを含め５万人がカナダに逃げ込んだ。当時は徴兵制が敷かれていたが、カナダへの逃走は、国家への裏切りであると批判された。一方、カナダは伝統的に平和志向が強く、脱走兵の受け入れに好意的だった。
現在、対テロ戦争の真っ只中にいる米軍は、ベトナム戦争以降、徴兵制を廃止し、志願制を採用している。このためか、強制的に狩り出された徴兵制の時代に比べ、カナダへ逃げる兵士の数は、大幅に減っている。しかし、対イラク戦争が混迷を深める中で、２００４年ごろから、カナダに脱走する兵士がポツリポツリと出ているという。
カナダには、米兵の支援組織は出来上がっており、脱走兵に対して、法律上の相談にのっている。
アンダーソン上等兵は、上官の命令を無視した後、上官から「ともかく、発砲すべきだった」と注意されたという。しかし、同上等兵は、無辜の市民を殺害しなかったことは正しかったと確信し、以後本当に必要な時以外は発砲しないとことを心に誓った。
今度は数日後、戦車に乗っている最中、攻撃を受けた。弾の破片が体に食い込んだ。思わず、銃を発砲しようとしたが、安全装置がロックされ、作動しなかった。目の前を歩いていたのは子どもだった。仮に銃が作動していれば、危うく無関係の子どもを撃つところだった。このままでは、いつか民間人を犠牲にするとの思いを強くした。
名誉負傷章を受け、２００４年にクリスマス休暇中に、母親にイラクの経験を話した。その後親子で話し合い、カナダに脱走することを決めたという。
カナダにいる脱走兵は、平和主義者のほか、イラクとテロ戦争との関連に疑問を持っている者など、その背景は様々だ。
ライアン・ジョンソン上等兵（２２）は家族でカナダに来たが、カナダで定住できなければ、スウェーデンに行くことを検討している。
元々、戦争に行く気はなかったので、軍の新兵募集者に、自動車関連の仕事に就きたいと念を押していた。募集者も了解していると話していたが、これはうそだった。イラク派遣が決まってしまい、このためカナダ行きを決行したという。
カナダに逃げ込んだ兵士の身元は、米連邦捜査局（ＦＢＩ）に指名手配リストに加えられる。帰国すれば、処罰の対象にもなるという。
2006年08月09日00時07分
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