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□トルコを悩ますクルド人問題 武力衝突が一段と激化 [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2291044/detail
トルコを悩ますクルド人問題 武力衝突が一段と激化
【アルジャジーラ特約6日】トルコ南東部のクルド人地域で今、治安部隊とクルド人の反政府勢力が衝突する事件が相次ぎ、最近では治安部隊側に16人もの犠牲者が出た。
これらを受けてトルコ政府は、クルド人の非合法組織「クルド労働者党」(PKK)がイラクとの国境地帯に持つ拠点を攻撃するため、国軍部隊を派遣する姿勢をみせている。
と同時にトルコのレジュプ・タイップ・エルドアン首相はこのほど、クルド人問題に関し、「米政府はイスラエルで起きたテロ事件と、この国で起きた同事件とを同等にみていない」と指摘、米政府の「2重基準」を批判した。
また、トルコ国会は臨時国会を招集、クルド人地域に戒厳令の一歩手前の措置となる「緊急事態令」を交付する問題を協議した。同地域の面積は全国土の4分の1を占め、住民のほとんどはクルド人で、その人口は約1300万人と推定されている。
国会での対クルド人強硬姿勢は民族主義的な政党だけでなく、一般国民からも支持を集めている。
「クルド人も間違いなくトルコ国民なのだが、クルド人の中にそれを嫌う者たちがいる」とアルジャジーラネットの取材に指摘するのは、働く女性であるヤセミンさん(26)。
ヤセミンさんはさらに、「クルド人は自分たちだけの土地を欲しがっている。でもこの国から土地を手に入れたければ、クルド人たちはトルコ国民と戦い、土地を力ずくで奪取せねばならない」と警告した。
▽クルド人に困難な同化の壁
トルコ国内のクルド人の中には、同国に住み、働き続けたいと望む者たちもいるが、そうしたクルド人を取り巻く環境は相当に厳しい。
クルド人も絡むイラク問題をめぐり、同化を望むトルコ系クルド人の多くは、米政府とトルコ政府が解決策を見出せないでいることに大きな苛立ちを感じている。と同時に、彼らは自分たちの存在が無視され、2等市民のように扱われていると考えている。
「クルド音楽を聴いていると、国家の敵とか、分離主義者と思われてしまう」とため息をつくのはトルコ系クルド人でアハメトと名乗る青年(26)。「精神に大きくのしかかっている。学校でクルド語を話すのは禁止はされていないが、休み時間でもクルド語を使えば、先生は私に罰を与えただろう」とも話す。
さらに「トルコを愛していますが、こんな状況では自分の言語、クルド語を勇気を出して話すことはできない。自分というものを見失いそうだ」と続ける。
「アハメド」はもちろん、本名ではない。本当の名前を出して話しができない状況があるからだ。「トルコは本当に良い国だ。トルコ人との間に何の問題もない。でも、ここ数年、トルコ人は民族主義的傾向を強めている。左派系の者たちにさえ、その傾向が表れているほどだ。トルコ政府も誤りを正してほしい。クルド人問題があるとすれば、その原因は政府の政策に問題があるからだ」と指摘する。
▽地域の不安定要因の可能性も
イラク情勢が日々悪化し、中東での紛争が深刻化する中、トルコ国内には今、同国軍がイラク領内のクルド人を越境攻撃すれば、地域にもうひとつの不安定要因を加えることになるとの意見が強い。
クルド人問題を専門とするトルコ人弁護士のタヒル・エクジ氏はアルジャジーラネットの取材に対し、「米国はトルコに越境攻撃を認めるかもしれないが、過去の例を見ても、そうした軍事行動が効果を挙げることはない。反対に国境の両側にいるクルド人たちを団結させ、問題は一層深刻化するだけだ」と指摘する。
確かに、トルコ国内の一部には現在、同国南東部での反政府活動に行動を起こすよう求める声もあるが、エクジ氏は「トルコが米国の承認なしにイラクへ派兵する可能性はない」とみている。
同氏によると、エルドアン・トルコ首相の強硬発言は、来年の大統領選挙を見据えたものという。地元メディアは同首相が大統領選に意欲を燃やしていると報じている。
また、クルド人居住区であるディヤルバクル市で同市長顧問を務めるシヤル・オズソイ氏は「民族主義者たちは集票のために分離主義反対を常に唱えている。クルド人問題がそうした民族主義者たちの政治の具とされ、かつねじ曲げられている。選挙の季節に入れば、その傾向が強くなる」と批判する。
▽無策の米国に怒り
PKKは1999年、その指導者アブドラ・アジャラン党首が治安当局に逮捕された後、停戦を一方的に宣言した。しかし、政府側は同停戦を今もって受け入れていない。
このためオズソイ氏は「政府はPKKの停戦宣言(99年)から2004年まで、何の対策も講じてこなかった。これが最近の武装闘争を招いているのだ」との見方を示した上で、「当時、政府が広範囲な恩赦を決めていれば、PKKはその時点で武装解除に応じ、クルド人問題に解決への窓口ができたはずだ」と残念がる。
イスタンブールの大学で教鞭をとるハサン・ウネル教授も、公正発展党(AKP)が政権を握った02年には、PKKは実力、影響力をなくしていたと指摘するとともに、「当時のPKKはトルコ軍に攻撃を加える兵力や補給態勢もなかった」と語っている。
トルコ南東部で起きている反政府活動について、ウネル教授は「最近のイラク情勢に加え、トルコ政府がクルド人問題で米国を引き込めていないためだ」と分析している。
ウネル教授はさらに、「米国がトルコの軍事行動に反対し続けるなら、クルド人問題はさらに拡大する。米政府は03年のイラク戦争開始とともに、クルド人問題にも対処しているとしているが、実際には米政府は何もしていない」と述べ、米側の無策ぶりを厳しく批判する。
その上で、同教授は「このままだとトルコは反米姿勢を強めることになる。米政府はトルコ、クルド人のいずれかの選択を迫られている。米国はトルコがあくまでもPKKとは対決していく姿勢であることを理解すべきだ」とも警告している。
当然のこと、クルド人問題を武力ではなく、話し合いで解決すべきとの意見もある。エクジ氏は「クルド人問題が起きて以降、トルコ人は主権が脅威に直面していると懸念し続けている。だが、トルコ、クルド両民族は共存が可能だ」と指摘する。
とはいえ、そうした中でもクルド人地域では犠牲者が増え続けている。ディヤルバクルでレストランを経営するクルド系のハサン氏は「この街は今、不気味な静けさに包まれている。誰もが次に何が起こるのかと不安がっている」と話す。
この沈黙が間もなく破れるとの見方も出ている。エクジ氏は「クルド人の文化、政治分野での要求に民主的な解決策をとらなければ、そうし要求がさらに過激化する恐れがある」と警告する。
また、クルド系の青年アフメトさんも「新聞を読んで涙を流した。どうしてこのような事態が起きるのか、解決策はないのだろうかと思い悩んでいる。暴力は肯定しないが、クルド人にとり、PKKが存在しなければ、何もできないことも確かなのだ」と、苦しい胸の内を話している。(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2006年08月07日12時42分