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レバノン惨劇 国連軸に停戦を急げ
子供ら約四十人を含め六十人以上が死亡したイスラエルのレバノン空爆に国際社会が怒る。国連安保理の議長声明の「強い遺憾の意」も生ぬるい。即時停戦が遅れれば惨劇が繰り返されるだけだ。
レバノン南部カナの空爆現場。がれきと化した避難所から、手足のちぎれた子供、女性らの遺体が運び出される。あまりの無残さに「虐殺だ」(国連事務次長)の声や、これまでイスラム教シーア派組織ヒズボラをまず非難してきたヨルダンのアブドラ国王も「国際法違反」と激しく批判した。
イスラエルは「ヒズボラのロケット弾攻撃拠点を攻撃した。あの建物が標的ではなかった」と釈明するが、数日前の国連レバノン暫定軍施設についても過去何回か標的にした。一九九六年四月にカナの同暫定軍基地攻撃で、市民百人余を殺しており「カナの惨劇」の再来である。
イスラエルの「誤爆」主張は詭弁(きべん)で、誰も信じまい。「市民に紛れ込んだヒズボラに責任がある」という開き直りに、アラブ各国を中心に怒りが噴出したのも当然である。
英国では、米国に同調してイスラエルをいさめないブレア政権の「米追従」を責める世論が急増し、米国の政界OBや中東専門家も、ライス国務長官の対応を批判、と報じられる。
ヒズボラは民衆の信頼厚い政党でもあり、レバノン政権に閣僚も出している。イスラエル軍の度を越す攻撃がある以上、レバノン国民がヒズボラの武装解除を受け入れるとは思いにくい。
イスラエルと米国は、カナ事件調査のため四十八時間の空爆停止で合意したが、相手が攻撃すれば反撃するとしており、どれだけの停戦効果があるか疑問である。
国連安保理の対応も弱い。今回の緊急会合でも、米国の反対で議長声明にイスラエル「非難」の文言は盛りこめず、「暴力終結」要求という表現にとどまったのは残念である。
今後の焦点は、恒久的解決に向けた安保理決議だが、フランスなどは即時停戦した上で国際部隊派遣を、との呼びかけを提案しているのに対し、米国はヒズボラ排除に固執し協議の先行きは不透明である。
戦闘の激化で、レバノン南部では援助物資が届かず、食料、水不足が深刻化しており、カナの空爆はそれに追い打ちをかけた。
これ以上の犠牲をなくすためにも、米国、イスラエルは国連、国際社会が迫る即時停戦へ踏み切るべきだ。戦略を変えなければ、解決に至る道は決して開かれまい。
「東京新聞」社説 (2006/8/1)
http://www.tokyo-np.co.jp/sha/