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http://www.sankei.co.jp/news/060723/morning/23int003.htm
平成18(2006)年7月23日[日]
対ヒズボラ アラブ足並み乱れ
【カイロ=加納洋人】イスラエル軍のレバノンへの軍事攻勢に関し、アラブ諸国のイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する姿勢が分かれ、イスラエル非難で結束できない状況になっている。アラブ連盟の緊急外相会議でサウジアラビアが異例のヒズボラ非難を行う一方、シリアはヒズボラを擁護して対立。中東地域のシーア派とスンニ派の対立や、イランの影響力拡大への懸念を背景に、アラブ諸国の足並みの乱れが顕著になっている。
「アラブ諸国は、イスラエルの軍事攻勢を強く非難することに興味を失ってしまったようだ」
20日発行のエジプトの英字紙アハラム・ウィークリーはアラブ諸国の現状を、こう論評した。
イスラエル軍の攻撃激化を受け、アラブ連盟(加盟22カ国・機構)は15日、緊急外相会議を開いたが、ヒズボラへの対応をめぐり議論が紛糾。意見がまとまらないまま、国連安保理に事態解決のげたをあずける形で閉幕した。
外相会議では、サウジがヒズボラの行動を「不適切で無責任だ。中東情勢を数年前に逆戻りさせる」と非難する一方、シリアは「イスラエル闘争の正当な権利を行使したまでだ」と擁護した。サウジの立場をエジプトやヨルダン、クウェートなどが支持し、イエメンやアルジェリアなどがシリアに同調。会議は、さらに中間派の計3グループに分かれ紛糾した。
サウジが「対イスラエル抵抗組織」のヒズボラに異例の非難を行った背景には、シーア派大国イランの影響力が地域に拡大することへの警戒感がある。03年の旧フセイン政権崩壊後、イラクでシーア派主導の政権が発足し、スンニ派が多数派のサウジでは、国内のシーア派が権利拡大などを要求することに警戒感を強めていた。
サウジに同調したエジプトやヨルダンもスンニ派が多数を占める国だ。ヒズボラはイランとの関係が深いことから、アラブ諸国の間からは、イランの核開発問題から世界の注目をそむけるためにヒズボラは今回の事件を起こしたのであって、「アラブの大義」のための行動ではないという批判も出ている。アラブ対イスラエルの構図に、宗派対立の構図が持ち込まれた格好だ。アラブ連盟は現在、緊急首脳会議の開催を検討中だが、各国の思惑の違いから、開催のめどは立っていない。