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□緊張高まるシリア イスラエルが72時間の最後通告説も広がる [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2213042/detail
緊張高まるシリア イスラエルが72時間の最後通告説も広がる
【アルジャジーラ特約17日】シリアの首都ダマスカスでは16日、同国政府が組織した抗議デモ隊数千人が首都の中心部にあふれ出し、シリア国旗とヒズボラ党旗を振ってはレバノン・シーア派の同党指導者、ハッサン・ナスララーに対する支持を叫んだ。
これはイスラエルとヒズボラが11日、交戦を開始してから、シリアで行われた最初の大規模な抗議行動である。
しかしダマスカスの他の地域では、シリアがイスラエルの火力の矢面に立つ役割を間もなく担うというような徴候はほとんどみられなかった。商店やコーヒーショップはいつも通りのにぎわいで、ホテルにはレバノンの市民や外国人旅行客でごったがえし、その中には、ここ3、4日の間にベイルートから逃げて来た人たちも多かった。
レバノンでの戦闘が激しさを増す中で、紛争はまもなく、ヒズボラを支援し、ハマスを含むパレスチナ武装集団を滞在させているシリアに波及するといううわさが立っている。現代世界問題研究所のダマスカス駐在員、アンドルー・テーブラー氏は「シリア・トゥデー」誌の客員編集者でもあるが、ヒズボラとハマスを支援しているシリアが懲罰を受けるのを見たい、というイスラエル人が多いと発言した。
同氏はアルジャジーラに対し、「イスラエルや米国にいる人たちは、シリアが兵器や物資をヒズボラの手に渡るトンネルの役を果たしていると信じています。こうしたことがあるので、イスラエルが発電所や幹線道路のようなシリアのインフラ拠点を攻撃することでシリアへの圧力を強める可能性があるのです」と話した。
ヒズボラのイランとの密接な関係もまた、イスラエルのレバノン爆撃が中東地域の軍事紛争をさらに広げるのではないかという恐れを生じさせている。
イランは国際的に孤立しているものの、多くの人たちが、イランには自国が資金や武器を供給し、訓練している「イスラム聖戦」や親イランのシーア派武装集団などを通じて、混乱を生み出す潜在的な能力があると、考えている。
専門家たちは、シリアの影響力も過少評価すべきではないと警告している。シリア軍は予算を欠き、装備も劣悪で、練度も低いが、シリア政権には、スンニ派のアラブ聖戦信奉者が在イラク米軍と戦うのを支援するなどして、中東における米国の野望をくじく力はあるのだ。
ダマスカス在住の政治分析家であるウムラン・ザービイ弁護士はアルジャジーラに対して、「シリアはレバノンとは違う。弱小国家ではなく、域内に同盟国もあり、イスラエルと米国が今、直面しているよりもっと大きいジレンマに落ち込ませるむこともできる」と語った。
同弁護士はさらに、「イランは米国のイラク経営を永久に失敗させてしまうようなパワーを持っている。エネルギー供給を止め、石油価格を高騰させるという脅しをかけることができる。イスラエルは最強の軍事力を持っているかもしれないが、力は軍事力だけではない」と述べた。
シリア政府はイスラエルの攻撃に対して国を防衛することを公約した。モーセン・ビラル情報相は16日、公式声明を発表して、「シリアに対するいかなる侵略行為も断固として直接的な反撃を受けるであろうし、それは時間にも手段的にも制限されない」と述べた。
バシャール・アル=アサド大統領は、この間、国家の「持てる限りの資源」をレバノンのために使用するだろうと言明した。アラブ世界の支持を獲得するため、シリアはまた、自国をレバノン人とパレスチナ人の唯一の守護者として描き出そうとしている。
国営紙「ティシュリーン」はイスラエルの攻撃ばかりではなく、他のアラブ諸国の「恥ずべき沈黙」を声高に批判した。16日付け同紙社説は、米国の後押しを受けたイスラエルが「中東地域の地図」を引き直そうとしていると述べた。
すでにシリア人労働者2人がイスラエルのレバノン爆撃で死亡した。ベイルート南郊でのイスラエルの空爆の犠牲になったものと、シリア国営通信SANAが15日に報じた。
イスラエル側はこれまで公式にはシリアに脅威を与えてはいない。しかし、アラブ側報道機関は、イスラエルが密かにアサド大統領に対し、最後通告を発したと報じた。
15日付けの汎アラブ紙「アル=ハヤト」は、米国の後押しを受けたイスラエルがシリアに対して、イスラエル兵捕虜2人を解放し、イスラエル北部に対する越境攻撃を中止するようヒズボラに圧力を加えるために、72時間の猶予を与えたと報じた。
米国政府当局者はこの報道について、否定も肯定もしていない。これまでのところ、イランもシリアも今次紛争については静観の姿勢を保ち、さらなるエスカレーションを避けようとしている。
レバノン・シリア国境で発射されたロケット弾1発がシリア国境を超えたが、当初は誤ってシリア領に飛び込んだと信じられていた。しかし、数分後、イスラエル、シリア双方はレバノンに属する目標に命中したことを確認した。
シリア当局者はイスラエルの攻撃を挑発することを注意深く避けようとしているようだが、隣国レバノンにおける戦闘を注視している一般のシリア国民は、懸念と反感の間で気持ちが揺れ動くのを感じている。
ダマスカスの南25キロにある典型的なシリアの町で巡礼地でもあるサイイダ・ザイナブでは、約150人が15日夜、抗議集会に集まり、黄色いヒズボラ党旗や旗を振り、支援を叫んだ。
同日、レバノン沖でヒズボラがイスラエル艦船1隻に大損害を与えたというテレビニュースが流れると、幾つかの自動車行列がダマスカスを走り回り、警笛を鳴らしたり、ドラムを叩いたりした。
しかし、事態をより深刻に見守る人も多い。シリアの赤半月社のアブドゥル・ラーマン・アッタル総裁はアルジャジーラに対し、国中が警戒心を高めています。最悪の事態に備えねばなりません」と語った。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)
2006年07月18日15時43分