★阿修羅♪ > 戦争82 > 607.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060717-00000000-maip-int
【ベイルート高橋宗男】イスラエル軍の攻撃が全土に拡大しつつあるレバノンで、市民は戦時体制の準備を急ピッチで進めている。食料や燃料など生活必需物資の備蓄に加え、これまで被害を受けてこなかった地域でも、空爆から身を守るための防空ごうを整備。上空を飛来するイスラエル機のジェット音が不気味に響く中、市民の緊張感は増すばかりだ。
ベイルートから北に約20キロ。地中海岸のキリスト教徒地区の高台にドゥバイエ・パレスチナ難民キャンプはある。1950年代半ばにキリスト教徒の難民向けに建設されたキャンプだが、現在居住する500世帯の半数はレバノン人だ。
「仕事も何もかも、すべて止まってしまった」。レバノン人の観光学校講師、エリアスさん(24)が言う。イスラエル軍の攻撃はレバノン南部、ベイルートにとどまらず、全土に及び始めた。比較的、安全とみられたこの地区でも戦時体制への備えが進む。
パン、チーズ、肉、ガソリン−−。父母と兄の家族4人で暮らすエリアスさんは指を折りながら、買いためた物資を説明し、「1週間分しかない。まだまだ必要だ」とため息をついた。
レバノンのキリスト教マロン派の実力者、ミシェル・アウン元将軍は昨年の総選挙で、反シリア派連合に対抗するため、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラなど親シリア派と政治的な関係を強化した。エリアスさんは「我々市民も政治とは無関係ではいられない」と、あからさまなヒズボラ批判を避けつつ、「今回はシリアやイランの代理戦争だ。レバノンはいつも他の国に翻弄(ほんろう)され、同じことが繰り返される」とぼやいた。
キャンプの入り口に住むパレスチナ人、ジュブランさん(68)一家8人はオーストラリアに市民権を申請中という。
ジュブランさんは48年にレバノンに逃れ、ドゥバイエ・キャンプに流れ着いた。24年間、湾岸諸国で出稼ぎし、子供を育てた。「レバノンではゴミの収集ぐらいしか仕事はない。私たちはいつまでたっても難民だ。車の運転免許すら取れず、何の権利も与えられない。戦争が何かを変えてくれるのか」。紛争と戦争に翻弄され続けるジュブランさんからは、イスラエル、レバノン双方への恨みが口をついた。
(毎日新聞) - 7月17日10時30分更新