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シバレイのたたかう!ジャーナリスト宣言。
ちょいカゲキなフリージャーナリスト 志葉 玲 が斬る、社会問題・国際情勢
【北朝鮮ミサイル問題】「危機」の時こそパニクる前にまず事実を確認すべし。
<北朝鮮ミサイル>北朝鮮保有の弾道ミサイルの解説
グラフィックは、北朝鮮が保有する弾道ミサイルの種類と概要。現在までに、北朝鮮は4種類の弾道ミサイルを保有しているものと思われる。
グラフィック中のミサイルは、実戦配備されているスカッド(Scud B、Scud C、左)。スカッドBの最大積載量は1000kg、射程距離は300km、スカッドCの最大積載量は700kg、射程距離は500km。
同じく実戦配備されているノドン1(Rodong-1、左から2つ目)は、最大積載量1000kg、射程距離1300km。最大積載量1000kg、射程距離2500kmのテポドン−1(Taepodong−1、右から2つ目)と、最大積載量不明、射程距離6700kmのテポドン−2(Taepodong−2、右)。
テポドンの実戦配備は確認されておらず、いまだ実験段階にあると見られている。(c)AFP
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昨日未明、W杯ドイツ対イタリア戦をみていたら、「北朝鮮が日本海にミサイル発射」とのテロップが。「アホや、アホすぎる。そんなことやったら、むしろ日米のタカ派が喜ぶだけじゃん」私は思わず口に出してそう言った。朝になると、当然どこのチャンネルでもこの事件に大きく時間を割いて扱っていた。NHKにいたっては、阪神大震災以来はじめて朝の連ドラをとばして、ミサイル発射事件を報道。これらのニュースを観ていると、まるでこれから戦争が始まるんじゃないんか、という気すらしてくる。でも、ちょっと待って欲しい。こういう時こそ冷静になることが大切だ。だんだん情報が明らかになる中で、日本のメディアの加熱報道こそ、テポドンよりも怖いんじゃないか、という気がしてきた。
続き)
■攻撃されたのは日本ではない
報道ではどこも「北朝鮮のミサイルが日本海に落下」というように、「日本海」という言葉を使っている。しかし、この言葉がクセモノで、日本海は、日本の領海だけではなく、北朝鮮、韓国、中国、ロシアもそれぞれ面している海なのである。で、今回北朝鮮のミサイルが落ちたのは、ロシア沿岸近く。つまり、今回のミサイル発射は日本の領海への攻撃ではないということだ。しかし、報道の中で「日本海へミサイルが~」というと、「日本が攻撃された!」という誤解を視聴者や読者に与えかねないのである。
*落下点の見取り図 By 読売新聞
*日本が主張する領海
*沿海地方近海落下に衝撃=北朝鮮ミサイル、サミットの重要議題に−ロシア
■北朝鮮の狙いは米国との交渉
攻撃の矛先が日本ではないならば、北朝鮮はどこに対しミサイル発射をしたのか。思うに、北朝鮮の狙いは米国だろう。というのも、ミサイルが落下した近くにはロシアの軍港ウラジオストクがあるが、ちょうど米艦隊が共同演習のために、この軍港に立ち寄っていたのである。しかも、昨日はアメリカ時間で7月4日、つまり米国の建国記念日だったのだ。
では何故、北朝鮮はわざわざ米国を刺激するようなマネをしたのか。これに関しては英紙ガーディアンが面白い分析*をしている。同紙によると、米国が北朝鮮の支配階級が利用しているマカオの金融機関に対し圧力をかけたことで、マネーロンダリング(資金洗浄)がやりにくくなった。これにより、北朝鮮の支配階級が困窮し、ヘンな髪型のショーグン様が米国の交渉の場に出そうとつい「やりすぎた」とのこと。なるほど、さもありなんである。
*"Kim Jong-il overplays his hand"
■むしろ米国と日本が暴走するかも
奇妙なことに、日本のメディアは「日本海」という言葉ばかり使い、ミサイルの落下点がロシア沿岸であり、日本の領海ではないことをほとんど伝えない。そして、特に根拠もなく「これは日本への攻撃だ!」と危機感を煽り立てる「専門家」「解説者」のヒトビトがやたら目立つ。これでは戦争を煽っているも同然である。
誤解がないようにハッキリさせて置くが、私は今回の件に関して、北朝鮮を擁護するつもりはサラサラない。いかなる理由があれ、批難されて当然の行為である。それに、あのヘンな髪型のショーグン様の独裁の元で苦しむ北朝鮮の普通の人々に深く同情するし、あんな体制はさっさと崩壊した方がいいとも思っている。
だが、実際のところ北朝鮮の体制の唯一最大の目的はヘンな髪型のショーグン様をお守りすることである。所詮、日本と米国相手に本気で戦争するつもりはないだろう。もし、戦争が始まるとすれば、むしろ暴走しかねないのは米国と日本だ。米国はありもしない大量破壊兵器を口実にイラクへ侵略戦争をおっぱじめた前歴があるし、日本は日本で、メディアがあたかも日本本土が攻撃されたかのように、感情的に騒ぎたてる。このまま不安と恐怖があおり続けられれば、「日本の防衛のため、北朝鮮を先制攻撃しろ」という意見が、世論の支持を得ることにもなりかねない。そうすれば、避けられる戦争も避けられないものになってしまう。
■ミサイル発射にパニクって誰が得をするのか?
危機の時ほど、冷静さが必要だ。ここでビビりまくって誰が笑うのか。もちろん、あのヘンな髪型のショーグン様だ。ここで逆上して誰が喜ぶのか。それは好戦的なタカ派の政治家達や、軍需産業だ。世界の紛争地を歩いてきて私が痛感するのは、どんな大義名分を掲げようが、戦争で最も理不尽に苦しむのは、最も罪のない普通の人々だ。そして、戦争が起こした張本人達は最後まで安全なところに隠れ、のうのうと私腹を肥やしていることが多い。繰り返すが、危機の時ほどパニックは厳禁だ。冷静に情報を収集し状況を理解して、何がベストの選択なのか、考えることが必要なのである。
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登録日:2006年 07月 06日 12:34:34
http://www.actiblog.com/shiba/9573#extend
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<コメント>
ま、そんなとこでしょ。ニポンはとっくの昔に「ノドン」の射程内に入ってるのだから、いまさらあたるかどうかもわからない「鉄砲ドン!」で大騒ぎするのがおかしいのよね。
金欠病の金ちゃんが勝つか、沈没寸前の巨大戦艦ヤブーザルが勝つか見物するしかないでしょ。
どっちの肩をもっても危険な賭けだわな。