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□レバノン危機の解決にシリア・カード ヒズボラ、イラン、欧州にコネを持つ [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2248631/detail
レバノン危機の解決にシリア・カード ヒズボラ、イラン、欧州にコネを持つ
【アルジャジーラ特約26日】レバノン問題の軍事的解決が見えない状況下で、一部の専門家は、シリアの外交的重要性が増していると考えている。
米国とイスラエルは、シリア、イラン両国がレバノン・シーア派の外部支援者であり、イスラエルとヒズボラの交戦の根源だと非難しているが、米国政府はシリア政府に対して、ヒズボラに対する影響力を行使するよう圧力をかける決定的な段階には足を踏み入れていない。
そうした中で、シリア政権が外交的に優位に立っているとする見方である。
ダマスカスの「独立戦略・資料センター」理事で政治専門家のイマド・ファオジ・チュエイビ氏は「シリアを組み込んだ包括的な交渉にならないと、レバノン危機はどんどん延びるばかりだ。そうなってしまえば、戦闘はもっと広がるだろう。しかし、イスラエルはこれまでのところ、そのように動かないと思うし、中東全域ににとって損害は非常に大きいだろう」と語った。
多くの専門家は、イスラエルが戦闘をシリア領内まで広げることには二の足を踏んでいるとみている。そのような戦略はイスラエルの軍事的資源のさらなる動員を必要とし、シリアとイランを含むシリアの同盟国を地域戦争に巻き込むことになるからである。
一方、イスラエルがヒズボラを追ってレバノン南部深く地上進攻するにつれて、シリアは戦略的に重要なべカー峡谷でイスラエルの攻勢に対して防戦する意志を隠していない。
シリアのビラル情報相は23日、マドリッドでスペインの有力政治家と会談した後、「もしイスラエルがレバノン領内に入り込んだら、それはダマスカスまで20キロの近さまで来たことになる。わが国はどうするのか。武器をしまって傍観するのか。絶対に違う。シリアが紛争に介入することに間違いない」と語った。
イスラエルにとって軍事的な選択がかなりの賭けになることから、これに代えて、米国政府はヨルダン、エジプト、サウジアラビアなどの西側と親しい諸国に対して、シリア政府の意思決定に影響力を行使するようテコ入れするかもしれない。
ダマスカスに本部を置く現代世界問題研究所の研究員で「シリア。トゥデー」誌の編集顧問を務めるアンドルー・テーブラー氏は、このアプローチには幾つかの利点があると指摘し、アルジャジーラニ対して、「シリアには最近、湾岸諸国からの巨額の投資がありますし、投資を持続させたいと思っています。これが意味するのは、特にサウジアラビアがシリア政府に対してある程度の影響力を持っているということです。ヨルダンとエジプトも話を聞いてもらえるのは確かですが、サウジほどの影響力はないでしょう」と語った。
テーブラー氏によると、シリアの経済改革路線は西側、特に欧州連合(EU)によって支援されているが、その一方、その政治路線はここ数カ月、イランと緊密な関係に入っており、シリアは両陣営の上にうまく立っているという。
多くの専門家たちは今や、こう信じている。レバノン危機により永続的な解決策を見出し、過去の「現状維持」に逆戻りするのを避けたいというライス米国務長官の願望を実現するには、橋渡し役としてのシリアがどんな交渉にも非常に重要であるというのだ。
シリアのファイサル・メクダッド副外相は、シリアはすでに話し合いを始めたいという希望を表明していると述べている。同副外相は先週、英国のスカイ・ニューズ・テレビで、「わが国は敬意と相互の利益に基づき、指示を与えるなどということなしで、(米国との)対話を望んでおり、もし米国がこの問題だけではなく、全体的な問題解決を助ける用意があるなら、われわれにも助力の用意がある」と語った。
シリアと米国の国交再開ということになれば、過去1年半にわたって強い圧力と国際的な調査の対象になっていたアサド政権にとってもっけの幸いである。ベイルートでの大規模なデモと国際的な強い圧力に直面して、同政権は29年に及ぶレバノン駐留軍を撤退させたのであった。
さらに、2005年後半、ハリリ・レバノン首相暗殺事件に関する国連の調査が相次ぎ、シリアはますます信用を失った。米国政府は大使を召喚し、ハリリ爆殺事件に関与した疑いがあるシリア高官の金融資産を凍結し、一連の経済制裁を課したのである。
これこそ米国がシリアとの直接対話をする用意がないと言明し続け理由であり、シリアの報道機関がそれを繰り返し問題にしている。
国営日刊新聞社の英語部門、「シリア・タイムズ」のモハメド・アガ編集主幹は、シリアが常に対話を求めているとして、「米国の方が長い間、われわれを無視してきたのだが、もう永久に無視できないだろう」とアルジャジーラに話した。
「米国とイスラエルは銃口を向けて自分たちの解決策を押し付けようとしている。両国が地域を再分割し、レアノンをイスラエルの保護領にしようとする広範な計画の一環だ。両国は個別に取引しようとしているが、シリアは常に包括的な和平合意を望んでいる」。
シリア、イラン両国ともローマで26日に開催された国際会議には直接参加を求められなかったが、ダマスカスの政治専門家、チュエイビ氏は大した問題ではないとして、「シリアをはずせば何の変化も起きない。こんな国際会議は政治的なストリップショー以外の何物でもないさ。シリアは参加を求められなければならないし、シリアはこれほど強い立場にあって、カードを捨てるつもりはない」と語った。
国連の仲介あるいは裏道を使って、シリアが国際会議の討議の場に出てくるようなことになれば、専門家の読みはこうだ。まず、ヒズボラとの停戦が仲介者の間で決まる含みをもった合意が成立、第2段階では、長く未解決の問題についての幅拾い交渉の一環として、捕虜の交換が行われる。
シリア当局者は公式には、その希望が実現しないとしても、地域にとって包括的な和平交渉が必要だと強調し続けるだろう。 ビアル情報相は先の23日の発言で、「もし、この問題が解決されたとして、他の問題はどうだろうか。今も続いているイスラエルのアラブ領域、すなわちレバノン、パレスチナ、シリア領内の占領問題はどうするのか」と述べている。
同情報相はこうも語った。「中東地域で未解決のままになっているすべての問題について包括的に交渉しないでおいて、中東危機に解決などあるはずがない。わが国はそう考えている」。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)
2006年07月27日15時39分