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桜井ジャーナル:マスコミが報道しない事実 ―見えない「帝国」の闇 【非公式情報】
2006/07/03
中東の不安定要因 [ パワーポリティックス非公式情報 ]
イスラエル軍がガザ地区に侵攻、橋や発電施設などを破壊したうえ、パレスチナの立法評議会議員を次々に拘束、その数は全体の約3分の1に達するともいう。作戦の目的は6月25日に誘拐された同軍の兵士を救出することにあると説明しているが、ここにきて自治政府の首相暗殺の可能性を口にするようになり、首相のオフィスをミサイル攻撃した。実行犯だとされているハマスの幹部は誘拐に関与していないと主張しているが、イスラエル側はシリアにいるハマスの幹部が拉致の責任者だとして、シリアの首都ダマスカスを攻撃するとも脅している。実現できなかったネオコンのシリア侵攻をイスラエルが実行するつもりなのかもしれない。
国連のコフィ・アナン事務総長、ロシアのミハイル・カミーニン外相、アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官らと同じように、29日に開催されるG-8の外相会議に出席する予外相たちもイスラエルに自重を求めている。
この「誘拐事件」が起こる前、イスラエルは苦しい立場にあった。G-8の金融財政担当大臣の会議が開催された9日、ガザ地区の海岸へ遊びにきていたフダ・ガリの家族を含む7名以上が殺害されたのだが、事件を調査したアメリカの専門家がイスラエル側の主張する「地雷説」を否定、M109 155mm自走榴弾砲による攻撃があった可能性が高いとする見解を公表、アナン国連事務総長もイスラエル軍の調査に疑問を表明していたのだ。
アメリカ人専門家の推測が正しいならば、行楽にきていた民間人をイスラエル軍は爆殺してしまったことになる。9日の時点でイスラエルは軍事的に何らかのアクションを起こそうとしていたのかもしれないが、いきなりつまずいてしまった形だ。さらに、ラフィク・ハリリ元レバノン首相の暗殺事件でも「シリア犯行説」が大きく揺らぎだすなど、イスラエルにとって悪い風向きになっていた。
ところで、ハマスとイスラエルとの関係は入り組んでいる。両者は不倶戴天の敵とされているが、そう単純ではない。ハマスの創設にイスラエルは重要な役割を果たしているのである。
ハマスという名前の組織が誕生したのは1987年のことだが、受胎したのは1970年代後半のことである。イスラエルはPLOの勢力を弱める目的でPLOのライバルを育てることにした。目をつけられたのがシェイク・アーマド・ヤシン。反アラファトという点でリクードとヤシンの思惑は一致していた。
イスラム協会の軍事組織として姿を現し、イスラエルに対する武装闘争を始めたのがハマス。リクードは自分たちを攻撃するモンスターを作り上げてしまったようにも見えるのだが、ハマスの内部にイスラエルとつながっている勢力が存在していても不思議ではない。
イスラエルが「パレスチナ過激派」を利用することは過去にもあった。その一例が1985年の「アキレ・ラウロ号事件」である。「パレスチナ過激派による残虐行為」として知られている事件だが、イスラエルの情報機関の中枢にいたアリ・ベン-メナシェによると、黒幕はイスラエルの情報機関だった。(拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』の中でこの事件の背景を説明していある)
勿論、今回の誘拐騒動を仕組んだのはイスラエルだと言っているわけではない。過去にそうしたこともあったというだけの話。
さて、毎年30億ドル以上の資金がアメリカから提供されているイスラエルは数百発の核弾頭を保有していると言われている。現在、そのイスラエルを動かしているシオニストは1970年代の後半あたりからアメリカのカルト教団(キリスト教原理主義者)と手を組んできた。新約聖書のヨハネの黙示録を信じて「最終戦争」、つまり核戦争を待ち望んでいるアメリカのカルトと2500年前の神話に基づいて「約束の地」の支配を主張するシオニストは、現世界における最大の不安定要素と言えるだろう。
Last updated 2006/07/03 11:28:16 AM
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