★阿修羅♪ > 戦争81 > 729.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
2006年07月03日23時35分
http://www.asahi.com/international/update/0703/012.html
70年代のカンボジアで国民の大虐殺に関与したポル・ポト政権の元幹部らを裁く特別法廷の裁判官や検察官が3日、首都プノンペンで宣誓式に臨んだ。政権崩壊から四半世紀を経て、幹部の責任追及と真相究明が司法の場で実現する。だが、訴追対象になる元幹部らはいずれも高齢で、裁判は時間との戦いになりそうだ。
先月29日、ポル・ポト派のタ・モク元参謀総長がプノンペンの病院に入院した。同氏は99年に拘束され、拘置所に収監されている。弁護士によると、高血圧や胃の痛みで1週間ほど食事もできない状態が続いたためという。
同氏は特別法廷に訴追される可能性が高い。弁護士は「タ・モク氏も自ら法廷で主張することを望んでいる」と話す一方で、「法廷に耐えるには体が弱くなりすぎた」とも述べた。関係者は「病状をたてに抵抗する可能性もある」と指摘する。
ポル・ポト元首相は98年に死亡し、さらに数人の幹部が世を去った。先月中旬には、病気や飢餓による大量死の実情を知るとみられる元保健相も死去した。
生存している幹部は拘束中のタ・モク氏ら2人を除き、タイ国境に近いパイリンなどで自由に暮らす。いずれも90年代後半に投降し、拘束をまぬがれた。
このうちヌオン・チア元人民代表議会議長、キュー・サムファン元幹部会議長、イエン・サリ元副首相らは、最高幹部として訴追される可能性が高い。訴追対象は「上級指導者や責任者」とされており、最終的に「5〜10人程度になる」との見方が有力だ。
検察官は10日から調査を始め、捜査判事による証拠収集などを経て、最終的に被告が起訴されるのに半年程度かかるとされる。
法廷での審理は来年からの見通しだが、最高幹部らは罪状を否認し、争うとみられている。ヌオン・チア氏は今年3月、AFP通信に「私は人民のためになることしかやっていない」と述べた。二審まで争った場合、裁判が終結するのは09年夏になる予定だ。
最高幹部はみな70歳代後半を超える。虐殺の資料を集め、裁判にも協力する「カンボジア資料センター」のヨク・チャン所長は「裁きを受けないまま死んでしまう可能性もある。重要な証人も高齢化が進んでおり、時間との競争だ」と危機感を募らせる。
裁判の遅れは、90年代まで続いた内戦や、法廷のあり方をめぐる政府と国連との対立が原因だった。ようやく合意した特別法廷には、外国人13人を含む計30人の司法官が加わる。日本からも検事の野口元郎氏(45)が二審の裁判官に選ばれ、王宮で催された宣誓式に参加した。
野口氏は「この裁判は20世紀が積み残した最大の懸案だ。時間はたってしまっているが、今からでも正義を実現する必要がある」と話した。