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2006年04月29日
北朝鮮拉致問題 横田めぐみさんのもうひとつのDNA鑑定
北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの母親、早紀江さんと、めぐみさんの弟、拓也さんはブッシュ米大統領とホワイトハウスの大統領執務室で面会した。
そこで、おもうのはやはり、日本政府がこえなければならない、いや修正しなければならないハードルの存在だ。
複数の警察庁幹部、外務省幹部と断片的に会食した。話題のひとつは、横田めぐみさんにかんする話だった。
やはりというか、そうだったのか・・・・という話がでてきたのでこちらも、断片的ながら記述することにする。もしかするとうちのブログが情報操作につかわれるかもしれない・・・という断り書きをいれながらだけど。
やや旧聞にぞくするが、横田めぐみさんのDNA鑑定に関して、日本政府は「本人のものでない」と断定した。
これに関しては、複数のブログが記述しているので、グーグルあたりで、「横田めぐみ DNA鑑定」と記述して検索してほしい。
簡単に整理すると、
横田めぐみさんの夫である金チョルジン氏からめぐみさんの「遺骨」が渡された。政府はこの遺骨を警視庁科学捜査研究所と東京歯科大学、帝京大学医学部法医学教室の吉井富夫講師(当時)に鑑定を依頼した。
「遺骨」は1200度の高熱で焼かれていたため、警視庁科学捜査研究所と東京歯科大学は鑑定不能。
一方、帝京大学医学部法医学教室の鑑定では「別人の二人のDNAが発見された。めぐみさんのものではない」との鑑定結果を発表する。
これをうけて当時の細田官房長官が「めぐみさんのものではない」との鑑定結果を発表。それに対して北朝鮮側が反発し、日朝協議は中断した。
それを機に「家族会」からは経済制裁の声が高まり、世論も「偽遺骨を渡すなんてけしからん」と憤り、「(遺骨が出ない以上)めぐみさんは生きているに違いない」と即時送還を求める声が高まった。
・・・・・ということになる。
ま、この流れから今回のブッシュ米大統領との面会へたどりついたとみることもできる。
問題は、このDNA鑑定なのだ。
これもすでに旧聞にぞくするのだが、一部のマスコミではすでにとりあげられたが、全般には無視された情報がある。
英科学専門誌『ネイチャー』が鑑定を担当した吉井講師にインタビューし、「DNA is burning issue as Japan and Korea clash over kidnaps(DNAは日本と朝鮮が拉致問題をめぐって衝突する焦眉の問題)」(05/2/2)なるタイトルの記事を掲載したのだ。
そこで、吉井氏は「以前、火葬された標本を鑑定した経験はまったくない。自分が行った鑑定は確定的(not conclusive) なものではなく、サンプルが汚染されていた可能性がある。遺骨は何でも吸い取る硬いスポンジのようなものだ。それを扱った誰かの汗や油がしみ込んでいたら、どんなにうまく処理してもそれらを除去することは不可能だ」と、「遺骨は別人であった」とする細田発表を根底から覆す証言をしているのである。
参考:http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v434/n7031/index.html#editorial
『ネイチャー』がわざわざ吉井講師にインタビューしたのは、無論、北朝鮮の肩を持つためではない。内外の法医学界が一般的に困難とする1200度もの高熱処理された骨の鑑定に、吉井氏がどうやって成功したのかを確かめる科学的関心からであったからだとされる。
しかし、吉井氏はそれに十分な回答ができず、逆に、鑑定の不備を認める結果になった。
さらに、米誌『タイム』(05/4/4)も、
「吉井氏が用いた遺伝子重合酵素法(nested PCR)という分析法は(外部の物質による)汚染の危険性が高く、米国の専門的な法医学研究所では使われていない。北朝鮮側は日本政府発表の遺骨鑑定結果に強く反論したが、日本側はその主張に耳を傾けなかった」
と疑問をていしている。
実はうちだけでなくて、複数のマスコミが、この吉井富夫氏への取材を何度もこころみたが、すべてていよく断られている。
2005年3月19日号の『週刊現代』は吉井氏に取材したところ「政府からも、警察からも、大学からも、この件についてはコメントするなと止められている。だから話せない」と含みのある返事が返ってきた、という。
その記事によると、細田博之官房長官は記者会見で、ネイチャー記事発表後に吉井氏から改めて話を聞いたとしながら、
「ネイチャーの記事は捏造されたものだ。吉井講師は『自分が言っていないことを書かれた』と言っていた」と語った。
一国の政府首脳から公然と言いがかりに等しいことを言われてネイチャー誌が黙っているはずがなく、記事を書いた同誌のデイビッド・シラノスキー記者が「捏造なんてするわけがない。結果的に北朝鮮にとって有利な印象の記事になったかもしれないが、私は火葬された骨をどうやってDNA鑑定するのかに科学的な関心があり、吉井氏に電話して取材を申し込んだ。彼は私の質問に対し、科学者として論理的に答えてくれた」と反論した・・・・という。
また、一部の大手新聞社が取材に成功したようだが、その記事はいまだにみていない。ちなみに、吉井富夫氏は、現在、帝京大学医学部法医学教室ではなくて、警視庁科学捜査研究所所の法医科長に栄転されている。
この辺の事情については、一部ではバイアスがかかっているという批判さらされたこともあるが、河信基/Ha Shingi.netのブログが詳細に記述している。また彼のブログは、多くのマスコミ関係者の重要参考ブログであることも追記しておく。
http://www8.ocn.ne.jp/~hashingi/index.html
さて、問題は、横田めぐみさんのDNA鑑定に関して警視庁科学捜査研究所、東京歯科大学、帝京大学医学部法医学教室の3つが鑑定したと一般にはしられている。
しかし、この鑑定は当初から、
「火葬されている上、量が少なく、個人特定が可能なDNA鑑定は困難な状態。警察当局はDNA以外の技術も使って鑑定を進める方針で、結論が出るまでには時間がかかりそうだ。
警察当局は既にめぐみさんのへその緒などを鑑定しており、遺骨からDNAが検出できれば、対照して真偽を判断できるが、遺骨が高温で長時間焼かれたものだと細胞が壊れ、検出は不能。DNA以外でも骨盤が残っていれば性別、関節部分の減り方などから年齢を推定することは可能だが、個人の特定はできないという」(共同通信)
といわれていたものだ。
この困難といわれているDNA鑑定を、3つだけに依頼していたのだろうか?という疑問は実は、当時からあった。さらに、当初、警察当局がいっていた「DNA以外の技術」というのも「どういう技術があるのか?」というのもおおいなる疑問だった。
結論にはいる。
今回、うちが入手した情報は、
「実は、横田めぐみさんの鑑定は、公になっている3つだけの鑑定でなくて、公になっていないもう1つの鑑定があった」という話なのだ。具体的な鑑定先の名前もきいているけれど、これは今回は伏せておく。というか、現在、取材を申し込んでいる(経験的にいって、取材拒否にあうとおもうが)。
3つの鑑定では、「鑑定不能、鑑定不能、別人の可能性が高い」の3つの結果がでた。
しかし、もう一つの鑑定では「本人の可能性を否定できない」という鑑定結果がでていたというのだ。
さて、ここから性急に、政府の「政治的な鑑定」という断定はしたくない。また、うちが、情報操作のための情報をつかまされた可能性も完全に否定する気もない。
問題は、上記した「4つ目の鑑定」に関して、某大手新聞社の敏腕記者がすでに取材をすませているのに、なぜ、それが記事にならないのか?ということも指摘したい。
さらに、これについて取材している複数の記者がいることもおさえている。なぜ、記事にならないのか?
「横田めぐみさんが死亡」していてはそれほど、日本政府の外交戦略上マイナスになるというのだろうか?
やや政治的な判断をすれば、横田めぐみさんの夫のDNA鑑定の結果(これは、2つの鑑定をへて2つとも本人と断定している)もすでにでている。韓国も真相解明に側面支援を約束した。さらに今回、横田めぐみさんの家族と米国ブッシュ大統領との会見も実現した。
事態は動いているし、動いた。
ここは日本政府として、責任をもってもうひとつのハードルをこえていいのではないだろうか?
この「遺骨DNA」問題は、日朝交渉で若干の進展があったことがわかっている。
日朝包括並行協議の内容はほとんどつてられなかったが、その後若干あきらかにった部分によると、10時間以上にわたる拉致問題に関する協議では率直に、かなり突っ込んだやり取りがあったらしいのだ。
2月11日の共同通信によると、拉致問題協議の北朝鮮代表である金哲虎・外務省アジア局副局長は「(日本の)鑑定結果への疑問が解消されない限り前に進まない」とし、「『遺骨』を別人とした鑑定問題に決着をつけることを、日本側の生存者帰国、真相究明、実行犯引き渡し要求に対処する『条件』として提示した」。
北朝鮮側は『ネイチャー』記事を出して日本側に善処を求め、「日本側の主張は死亡者を生き返らせて連れてこいということだ。鑑定を担当した吉井氏と朝鮮の鑑定家たちが面談し、鑑定結果に対する検証作業が実現されねばならない」(朝鮮新報2/14「宋日昊大使 本紙単独インタビュー」)と具体的な提案をした模様だ。
宋・朝日国交正常化交渉担当大使は「拉致という行為自体が悪いことだと承知しているからこそ良心的、道徳的に行動した」(同)と、「拉致問題は解決済み」とする従来の姿勢から軟化している。 北朝鮮側の提案に対して「日本側は回答を留保した。『拉致は解決済み』としている北朝鮮側が日本に対し、鑑定を誤りと認めない限り拉致問題の再調査などに応じないとの考えを示したと受け止めた」(共同通信)という。
これだけでは「遺骨」再鑑定でどこまで合意できたかつまびらかではないが、確実に進展していることは間違いない。
あとは、いつ、日本政府がこのハードルをこえることができるかだ。
参考:
*「朝日新聞」2005年4月3日付「宋日昊日本担当副局長、第三者による遺骨の再鑑定を求める」
*「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」:2005年6月2日 拉致被害者に関するDNA鑑定と疑惑
*第162回国会 外務委員会 第4号平成17年3月30日(水曜日)
*朝鮮新報 2005.1.27 朝鮮中央通信社備忘録 日本は反朝鮮謀略劇の責任から絶対に逃れられない