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2006年06月25日20時37分
http://www.asahi.com/international/update/0625/007.html?ref=rss
メキシコで7月2日に投開票される大統領選挙が、激しい競り合いとなっている。中道右派で企業の競争力強化を訴える与党・国民行動党(PAN)のカルデロン元エネルギー相(43)と、中道左派で貧困対策を重視する野党・革命民主党(PRD)のロペスオブラドール前メキシコ市長(52)の事実上の一騎打ちだ。貧富の格差が広がるなか、中南米の「左傾化」の波に乗ってPRD初の大統領が誕生するのかに注目が集まっている。
選挙戦が始まった今年1月以降、世論調査ではロペスオブラドール候補がトップを独走してきた。だが、与党側が同候補を「反米」ベネズエラのチャベス大統領と結びつけるネガティブ広告を流し始め、4月には形勢が一時逆転。しかし、23日付有力紙2紙の世論調査では、ロペスオブラドール候補の支持率が36%と回復し、カルデロン候補の34%とほぼ並んだ。
メキシコでは29年以降、制度的革命党(PRI)が一党支配を続けてきた。だが97年に下院で初めて過半数を割り、00年の大統領選では71年ぶりの政権交代が実現、北部財界やカトリック勢力に支えられたフォックス現政権が誕生した。
フォックス路線の継承を訴えるカルデロン候補は下院議員やPAN党首を務め、理論派の政治家と見られている。雇用を最優先課題とし、企業の競争力を高めるために企業や個人の所得にかかる税率の引き下げを公約、上・中流層から支持を集めている。
ロペスオブラドール候補はPRI党員だったが、88年に民主化を求めてPRDに参加。党首を務め、昨年までのメキシコ市長時代には交通網の整備などで成果を上げた。貧困対策も進めて庶民の支持が厚く、今回も医療や教育の「無料化」を公約している。
PRIからは今回、守旧派とされるマドラソ前党首(53)が出馬したが、党内で争う開明派がPAN支持に流れるなど割れており、ずっと3位に付けている。
北米自由貿易協定(NAFTA)に基づき、08年から農産物輸入が完全自由化される問題について、ロペスオブラドール候補は農民保護の観点から再検討する立場を打ち出している。
しかし、輸出の9割、輸入の6割を米国が占めるなど経済は対米依存を急速に深めており、「反米路線はあり得ない」(地元紙記者)状況だ。