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毎日【広がる「9.11陰謀論」独国民、米に懐疑心】2003年10月21日
日本の大手紙でも911陰謀論を報じていた証拠として再録する。
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毎日新聞 2003年10月21日・7面
第3部・不信の連鎖
イラク占領半年
(1)
広がる「9.11陰謀論」
独国民、米に懐疑心
「米同時多発テロは米中央情報局(CIA)が仕掛けた陰謀だ」。ドイツでは今、元閣僚やジャーナリストが書いた「陰謀論」の本が急速に売上数を伸ばしている。荒唐無稽な論理であり、ドイツ社会の主流な考えではむろんない。だが、そこにはイラク戦争の背景をめぐる米欧関係の亀裂が顔をのぞかせており、独政府も当惑を隠せない。
80年代に独の研究技術相だったアンドレアス・フォン・ビュロー氏の著書「CIAと米同時多発テロ」は、今年7月に出版されると、9月にはノンフィクション部門のベストセラー3位まで上昇し、9万部以上を売り上げた。同じような陰謀論を説くジャーナリスト、ゲルハルト・ビズネフスキー氏の「9.11作戦」も5万部売れた。
2人の議論は、米同時多発テロの未解明な部分を指摘し、それを米諜報機関の陰謀に結び付けているのが特徴だ。
ビュロー氏は、航空燃料の燃焼温度では世界貿易センターを支える特殊鋼は溶けない▽鉄鋼が手薄な場所に旅客機が正確に衝突した――などを挙げ、旅客機は遠隔操作のダミーで、衝突と同時に仕掛けられていた爆弾が爆発し、ビルが崩壊したと推定する。「不可解なテロが戦争の口実にされる事態は避けるべきで、疑問を明らかにしようと考えた」(同氏)。
また、ビズネフスキー氏も乗っ取られた飛行機はダミーで、本物は安全に着陸していたとの見方を示す。米軍が60年代のキューバ危機で本物とダミーの旅客機を同時に1キューバ方面に飛ばしてダミーを爆破し、キューバ攻撃の口実にする計画を立てていたとされることが推論の根拠だ。ベルリンの書店でビズネフスキー氏の著書を手に取った医師のバーンハート・パルモフスキーさん(50)は「読めば読むほど疑問は膨らむ。こうした陰謀論は公共の場で議論すべきだ」と話した。
この種の陰謀論はドイツより先にフランスで昨年話題になった。
左翼活動家のティエリ・メイサン氏が、同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏を「CIAの工作員」と決めつけ、同時多発テロを米国の謀略として描いた本を出した。これはイラク戦争に反対論が強いフランスでの特異な現象とみられていた。
しかし、シュレーダー政権がイラクとの開戦に反対したドイツにも陰謀論は飛び火した。アクセル・チェルディック・ベルリン自由大学教授(コミュニケーション論)は「米政権がイラク戦争前に大量破壊兵器の危険性を主張したにもかかわらす、何も発見されなかったことで、疑問がより深まった」と言う。
週刊誌ツァイトが今年4月に実施した世論調査は、米国による「テロとの戦い」にドイツ人が強い懐疑心を持っていることを示した。同時多発テロについて「マスコミが真実を伝えているか」との問いに、7割近くが「伝えていない」と回答。「米政府が(同時多発テロを)指示したか」との問いには、5人に1人が「支持した」と答えた。
独政府は戦後イラクへの派兵を見送り、復興資金も欧州連合(EU)拠出の自国負担分以外は出さないなど、冷めた姿勢が目立つ。そうした中、今月初めの記者会見で陰謀論の米独関係の影響を問われたフィッシャー外相が「理解できない。米独関係に影響はまったくない」と声を荒らげる一幕があった。とっぴで立証不能な「米国真犯人」説に大半のドイツ人は支持を与えていないが、政治的に無視できない状況も生まれつつある。
陰謀論はいつの時代にもある。9.11に絡むものも珍しくはない。だが、それがここにきて欧州で読まれているのはなぜなのか。「イラク戦争の経過から、国民が抱いていたブッシュ米政権への疑問がある程度まで真実と証明された」(チェルディック教授)からだとすれば、イラク戦争の米欧の相互不信の闇の深さがうかがえる。【ベルリン斎藤義彦】
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国連安保理のイラク新決議が採択されたが、欧州で独自の復興資金拠出を表明したのは英国とスペインだけ。独仏などの消極姿勢で23日からのイラク復興支援国会議(マドリード)の成否を危ぶむ声もある。欧州、そしてアジアに広がる米国不信の根を探った。=つづく
【写真】「陰謀論」関連の書籍が平積みされた書店のノンフィクションコーナー=ベルリン市内で、斎藤義彦写す
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