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アメリカは中国の核ミサイルから日本を守ってくれない No.92【2006年5月3日】
▼ 麻生外相と額賀長官がワシントン入り 在日米軍再編の最終合意へ
【ワシントン=大谷次郎】麻生太郎外相と額賀福志郎防衛庁長官は30日午後(日本時間1日未明)、在日米軍再編の最終合意に向けた日米安全保障協議委員会(2プラス2)に出席するため、それぞれワシントン入りした。
額賀長官は到着後、記者団に対し、「抑止力を維持しながら全体的な負担軽減につながった。日米関係の新しい次元に立ち、アジア、世界の中でどういう役割を果たすかを考えるきっかけになった」と最終合意の意義を強調。麻生外相も宿泊先のホテルで「何か起きたときに日米安保条約が有効に作動するために細部を詰めておくことが必要だ」と語った。
額賀氏は、ローレス米国防副次官が米軍再編の日本側負担が260億ドル(約3兆円)にのぼると試算したことについて、「合理的な積算のうえに積みあがっていくもので、最初に200億ドルがあるわけではない」と述べ、2プラス2で具体的な負担協議は行わない考えを示した。
麻生、額賀両氏は1日午前(日本時間1日夜)、米国国務省でライス国務長官、ラムズフェルド国防長官との2プラス2に臨む。沖縄の普天間飛行場のキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への移設や、海兵隊約8000人のグアム移転、米陸軍統合作戦司令部のキャンプ座間(神奈川県)への新設などを盛り込んだ最終報告書について合意する。 (05/01 産経 )
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(貼り付け終了)
http://www.sankei.co.jp/news/060501/sei053.htm
■中国はソ連の「核の傘」を拒否した
アメリカが海兵隊等の実戦部隊約8000人を沖縄から、グアム或いはフィリピンに移転するにつけて、日本に対して260億ドル(約3兆円)を要求してきている。中国の軍事力が急速に強化されているゆえに、とりあえず米軍としては、宇宙衛星とリンクした最新の核ミサイルの脅威からある程度の距離を置く必要があり、米軍の防衛ラインが、沖縄からフィリピン・グアム、そしてハワイにまで引き下げられる再編の流れがついに始まったのである。
中国政府は、朝鮮戦争(1950〜53)が終わって直ぐに、自主的な核抑止力を真剣に検討しはじめている。なぜなら朝鮮戦争の最中、マッカーサーは、中国を核攻撃することを提唱していたし、アイゼンハワーも、「停戦に応じなければ、アメリカは核を使う用意がある」と中国を脅して、朝鮮戦争の停戦交渉を有利にしたのである。「アメリカはいつでも中国を核攻撃できる」というメッセージは、中国共産党指導者に自主的な核の必要性を抱かせた。
広島・長崎で女子供を30万人を無差別に虐殺し、2006年現在も、中東で真っ先に核武装したイスラエルの国益を最優先するネオコンたちの中には、「イスラエルの脅威となりかねないイランの核開発プログラムを中止させるために、アメリカは、イランに対して先制核攻撃する用意がある」と主張するものが相当数いる。
そんな風なアメリカに負けない冷酷かつ共産主義独裁国家である中国が、「自前の核抑止力を持たなければ、われわれは米ソ両覇権国に蹂躙されてしまう」と見抜いて、自前の核抑止力を獲得することを、国防政策の最優先課題としたのは、さすがに現実主義者である。1958年以降、ソ連は「中国はソ連の『核の傘』に依存していればよい。中国が自前の核抑止力を持つ必要性はまったくない」と主張し続けてきた。
もちろんソ連の言う「核の傘」はインチキなのである。もしアメリカが中国を先制攻撃した場合、ソ連が中国のために、核ミサイルをアメリカに撃ち込むなんてことは、絶対にありえない。アメリカもソ連も、同盟国を守るために核ミサイルの打ち合いをするような正義感は持ち合わせてはいない。そんなことが起こり得るのは、ハリウッド映画の中だけである。ソ連が中国を守ってやるという「核の傘」は、あくまで中国をソ連の属国にしておくための政治的トリックにすぎないのだ。
■中国人はたとえズボンをはかなくとも、核兵器をつくってみせる
前の虎の穴会員コラムでも書いているが、国際社会で発言権を持てるのは、核武装国だけである。これは現実世界での冷徹な真実である。1950年代当時の中国は貧しく、限られた予算を使って米ソの軍事力に対抗するには、核兵器に投資した方が、はるかに高い投資効果を手にすることが可能となると判断した。ある程度の核兵器製造に成功すれば、米ソからの先制攻撃を確実に抑止できるからだ。
もちろんケ小平も「もし自前の核兵器を持たなかったなら、中国が今日の国際的地位を得ることはなかっただろう」と述べている。また世界大戦をアメリカの同盟国として戦った英仏両政府が、アメリカのいう「核の傘」の提供を信用せず、自前の核抑止力を持つことを決心したのも、米ソの両覇権国の提供する「核の傘」が、実のところ、属国にするためのインチキな軍事コンセプトであることを、鋭く見抜いていた故なのだ。
国際政治アナリストの伊藤貫氏の著作「中国の核が世界を制す」によると、中国が最初の原爆実験を行なう前年の1963年、中国政府のスポークスマンは、「たとえ百年かかっても、中国は原爆をつくる努力をする。中国はソ連指導者の指揮棒に向かって頭を下げることはしない。アメリカ帝国主義の核恫喝(ニュークリア・ブラックメール)の前で土下座することもない」と述べ、外交部長の陳毅は、「中国人はたとえズボンをはかなくとも、核兵器をつくってみせる」と断言したと伝えている。
また中国分析者である平松茂雄氏も、「毛沢東時代に、中国がひたすら核兵器開発に専心したことは、中国にとっては『賢明な』選択であったといえる。もし中国が通常戦力の近代化に力を入れたとしても、おそらく大したものは出来上がっていなかったであろうから、中国は三流国家として世界から相手にされなかったであろう。中国が大国として発言力を持つようになった背景には、核兵器を保有したことがある。米国やソ連の思うがままにはならない。米国やソ連が無視できない地位にまで中国を引き上げる力を核兵器が持っていることを、毛沢東は見抜いていたのである」と評価している。
■「日本には自前の核抑止力を持たせない」という米中密約
そんなわけで1972年2月、ニクソンとキッシンジャーが、極貧の共産中国を大国として扱い、米中政府間で、「日本に、独立した外交政策・軍事政策を実行する能力を与えない。日本人には、自主的な核抑止力を持たせない」という米中密約を結ぶことが可能となったのも、中国が核武装した独立国だったからといえる。
アメリカの民主党は、基本的には「米中両国が共同で日本を抑えつけておくことが、アメリカのアジア政策の基盤である」と考えている。親日派の共和党ですら、本心では、アメリカの覇権外交に都合のいいように日本を利用していたいだけなのである。アメリカは、世界中に50カ国以上の同盟国をもつ世界覇権国家だから、同盟国を守ってやるというよりは、本音では、どちらかと言えばアメリカの覇権利益に都合のいいように同盟国を利用するのが目的なのである。
シカゴ大学のミアシャイマー教授は、日本が中国の支配下に入ることを、もし拒否したいのならば、日本は自前の核抑止力を持たざるを得ないと分析している。なぜなら、アメリカ政府が2020年以降も、日本の領土や領海のために、世界最大の軍事力を持つ巨大な中国軍と正面衝突することなんて絶対に考えられないからだ。アメリカは一応民主国家だから、そんなリスクの高い核戦争にアメリカ本土のいくつもの都市が巻き込まれることに、アメリカ国民が賛成するわけがないし、まずアメリカの国益にならない。
今後中国の軍事力はますます巨大化していくから、アメリカが中国と本格的な戦争をするということは、ほとんど考えられなくなる。アメリカが戦争できるのは、あくまで大量破壊兵器の持たない弱小国だけである。それが分かってしまえば、「東アジア地域において、日本だけは非武装のままにしておきたい」といったようなわがままなインチキ覇権コンセプトは、今後いっさい通らないのだ。
■アメリカの「核の傘」というウソ
私たち日本民族はいま、アメリカの「核の傘」という安全保障のウソに気づく時がきた。ハーバード大学のサミュエル・ハンティントンも、「中国は核保有国であり、アメリカ本土を直撃できる核弾頭を数100発所有している。中国は40分以内に、数千万のアメリカ市民を消滅させてしまう実力を持っている。日本や台湾を守るために、核武装国である中国と戦争したりする愚行だけは、絶対に避けねばならない」と説いている。
そんな流れのなかで、今回の米軍の再編が起こっているのである。アメリカは明らかに中国の軍事力を恐れて、沖縄から防衛ラインをフィリピンからグァム・ハワイへと引き下げたと思われる。そして私たちの念願であった沖縄基地等から撤退に協力してやるのだから、その費用260億ドルは、当然日本が払うべきだろうと言ってきているのである。まったく分けのわからんヤクザのような要求である。
だとしたら、日本の国土と日本の命綱であるシーレーンは、日本自らが自力で守っていくしかなくなる。もちろん中国もアメリカも本格的な「核戦争」を始めるなんてことはありえない。ありえるのは、あくまで心理的な核恫喝(ニュークリア・ブラックメール)合戦なのだ。さまざまな謀略が飛び交い、最終的に恫喝に屈したほうが、この戦争ゲームに負けたことになる。
■日本はGDPの1.2%程度で核抑止力体制を持てる
そんなわけだから、日本政府は、「核廃絶の平和ごっこ」を続けているよりは、小型駆逐艦や小型潜水艦に搭載する核弾頭つき巡航ミサイル等を約300基配備して、万が一日本が核攻撃を受けた場合に、報復核攻撃を実施できるようにしておくべきだと思う。そのために必要な予算は、伊藤貫氏によると、毎年約1兆円で、日本のGDPの1.2%程度の軍事予算で、核による「相互確証破壊」という核抑止力体制を持つことができる、という分析である。
また伊藤貫氏によると、GDPの1.2%程度の国防予算というのは、世界諸国の軍事支出の半分以下の水準であるという。だとしたら、このレベルでは中国の言う「軍事大国化」とは何の関係もなく、ごく普通の国家に必要な「核抑止力体制」ということになる。
2020年前後の東アジア地域において、陰謀めいた核恫喝ゲームがクライマックスを迎えると思われる。その頃アメリカは、おそらく東アジア地域を支配する力を失っている。それ故に私たち日本国民は、左翼や右翼のプロパガンダに惑わされない「洞察力」と「直観力」を、真剣勝負で身に着けなければならない。
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/060503.htm