★阿修羅♪ > 戦争81 > 150.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2006/06/post_8312.html(机の上の空 大沼安史の個人新聞)から転載。
2006-06-09
〔いんさいど世界〕 「ザルカウィ殺害」のミステリー 「空爆前に米軍がアジトを包囲、銃撃」 村民が目撃証言 NYT紙が報道 ブッシュ政権 「口封じ」と「政治ショー」に利用か?
「ザルカウィ容疑者殺害」が「大ニュース」として流れ、日本の新聞各紙の9日付け朝刊の紙面を飾った。
大きな扱い、派手な見出し。
テロとの戦い「勝利」と称賛―米大統領
「一歩前進だ」小泉首相
「聖戦士」支持失う
これは「朝日」の記事についた見出しの例である。
まるで世界が「テロとの戦い」に勝利したかのような、あの大本営発表を思わせる報道ぶり。
日本の新聞にとって、過去の「大本営発表」は、いまや「ホワイトハウス発表」にとってかわったらしい。
「朝日」の報道によると、現地時間7日午後6時15分ごろ、イラク中部バクバの北約8キロにある民家に、米軍の戦闘機2機(大沼注・F16と米軍が発表)が精密誘導爆弾(同・500ポンド爆弾)2発を投下。
その結果、ザルカウィ容疑者の死亡が確認された。
この報道は、イラク駐留米軍の「発表」通りで、その限りでは「誤りはない」が、米軍が発表した「攻撃は空爆だけ(地上戦はなかった)」に対して、実は疑問の声が上がっていることに触れていない。
米紙ニューヨーク・タイムズ(下記⇒参照)によれば、現場近くに住む、モハメド・イスマエルというイラク人村民が一部始終を目撃していたのだ。
同紙に対するイスマエルさんの証言によると、当日午後5時半ごろ、3台の車両が問題の民家に向かって走っていった。
それから1時間後、村は米軍のハムビー装甲車両とイラク政府軍兵士、イラク人警察官による占領下に置かれ、上空をヘリやジェットが飛ぶようになった。
イスマエルさんの話では、民家の内部と取り囲む米軍との間で「なんらかの銃撃戦」が起きたように見えた。
それから間もなくして、2機の軍機が爆弾を投下した。
「村中が足元で揺れました」とイスマエルさん。
爆撃後、米軍とイラク人警察官らは近くの別の民家の攻撃を始めた。
以上が、ニューヨーク・タイムズ紙が掲載したイスマエルさんの目撃証言である。
この証言によれば、米軍の「ザルカウィがそこにいるとの情報を得たので、すかさず空爆した」との説明は虚偽の発表ということになる。
F16の空爆前に、米軍はすでに現地に到着し攻撃を始めていたからだ。
ここでひとつ、重大な疑惑、不可解な謎が浮かんで来る。
米軍はなぜ、空爆しかしていない、ザルカウィは空爆で死んだのだ、と言い張る必要があるのか?
考えうるひとつの答えは、誘導爆弾のピンポイント攻撃によって、ひとたまりもなくザラカウィは死んだ、という「真実」をでっち上げるためだ。
本来なら「生け捕り」して尋問し、これまでの「犯罪行為」を追及すべきなのに、米軍はザルカウィを確実に殺す「死体化」にこだわったわけである。
(しかも、奇妙なことに、爆撃の現場から、きれいな死に顔のザラカウィが発見されている。ピンポイントの爆撃を浴びながら、この死に顔!)
ここで、次の疑問が浮かぶ。
それは、アジトを包囲していたのに、米軍はどうして「生け捕り」しようとしなかったのか、という疑いである。
これに対する答えは、たぶん「口封じ」であるだろう。
米軍にはザルカウィに喋られては困る事情があったのだ。
だから一緒に行動していた「女性と子どもを含む身元不明の4人」ともども消し去った。
(空爆は「全員死亡」を納得させるものでもある!)
かりに生け捕りにされていたら、ザルカウィは、きっとこういって叫んだことだろう。
香田さんという日本人なんか知らない、ニコラス・バーグなんてユダヤ系アメリカ人の首だっておれは斬っていない、おれはただ金で動いていただけだ、おれなんてヨルダンのけちなゴロツキだよ、そんなおれに「メソポタミアのアルカイダ」をつくれるかよ。
米軍はこんなふうに喋られるのがいやだったのだ。
つまり、このチンケなヨルダン人の流れ者が、情報機関の操り人形だったことがバレるのを恐れた……。
それにしても、今回のザルカウィ必殺爆撃暗殺は、ブッシュ政権にとって、タイミングがよすぎるほどよすぎた。
「ハデサ事件」などで米軍、ブッシュ政権に対する国際的・国内的非難が湧き上がり、「イラク戦争」の正当性に対する疑念が広がりだしたその矢先の、この「テロの黒幕を殺害」の発表。
日本のマスコミは、「政治ショー」を仕組んだホワイトハウスの尻馬に乗って、浮かれ騒いでばかりいてはならない。
☆ 大沼訳・新刊案内: 『世界一 素敵な学校 〜 サドベリー・バレー物語』(ダニエル・グリーンバーグ著、緑風出版)
Posted by 大沼安史 at 12:33 午後