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5月23日付「しんぶん赤旗」の文化欄を読んでいて驚いた。アメリカ在住の芥川賞作家・米谷ふみ子さんが要旨次のようなことを書いておられる。
今年のピュリツァー賞受賞者の中にNYTimes記者のジェイムズ・ライズンが入っている。受賞理由は米国政府の電話盗聴をはじめて発表した勇気ある業績に対してということである。
このライズン記者は実は7年前の1999年3月6日付で、ジェフ・ガース記者とNYTimesにスクープ「史上最悪スパイ事件 ロスアラモスへの侵害」という記事を書いている。実はこれがトンデモナイ捏造記事であったのだ。
告発されたロスアラモス核研究所に勤めていた台湾系アメリカ人、ウェン・ホー・リー博士は、研究所を解雇され大量殺人者と同様、手かせ足かせをはめられて投獄される結果となった(詳しい顛末については「なんや、これ?アメリカと日本」岩波書店参照)。
結論から言うと、両名は詳しく調べもせずこの記事を書いた。LATimesのロバート・シェアーとドローギン記者が事件を追及しNYTimesが捏造記事を書いたことを暴露した。アルバカーキーのパーカー連邦裁判長が「政府は国民全体に泥を塗った。監獄に入れる必要もなかったのだ」とリー博士に謝罪した。
対してNYTimesは謝罪はおろかのらりくらりと言い訳し、捏造者ふたりを記者としてそのまま雇い続けている。
捏造記事といえば、イラク戦争が始まってすぐにジェシカ・リンチという白人女性兵士の英雄譚がメディアで持ちきりになったことを思い出す。話の出所はペンタゴンでこれもNYTimes他の各メディアが記事をでっち上げていった。
ジェシカ・リンチが帰還して正直に、自分は敵と戦って負傷したのではなく運転していたハムビーという軍用車が溝にはまって骨折した、と語った。イラクの病院で彼女が虐待されている所を勇敢なアメリカ部隊が急襲、奪還したことになっているがこれも、彼女が病院で治療中に米軍部隊が進入し、いきなり銃を突きつけ彼女は本当に怖い目にあったと言っている、いう。
以上のことは当人が正直者であったことと、イギリスBBCの取材によって明らかになったものである。
米谷さんはこれらの事実を通して、「どこにジャーナリズムの倫理があるのか未だに私は首を傾げたままである。この社会で解せないことがあると、人種差別が根底にあると私は思っている」と書いておられる。
この度ピュリツァー賞を受賞することとなったライズン記者はこの捏造記事を書いたことで未だに裁判にかかっている。しかもちゃっかり「取材秘匿権」だけはちゃっかり使って真相を明らかにしょうとはしないのだ。
このライズン記者の記事が捏造だと明るみにしたLATimesのロバート・シェア氏はライズンとガースのふたりについて「やはりひとりの人間の一生を壊してしまうようなことを書いた罪は許されないと思う」と語っているそうである。