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「758」 副島隆彦の『ダヴィンチ・コード』論。“秘密結社”とは何か。それはロッジの思想(在家の平信徒の思想)である。今話題の小説・映画『ダヴィンチ・コード』が描く欧米の秘密結社なるものの本性、正体を副島隆彦が、徹底的に解明する。2006.5.19
副島隆彦です。今日は、2006年5月19日です。
映画『ダヴィンチ・コード』が、5月20日に、世界同時公開で、一斉に上映される。私も20日の夜に見に行く。だから、以下に書かれる『ダヴィンチ・コード』論は、2003年に原書が出版された、この本の日本語翻訳書(角川書店、2004年5月刊)を使って、私が、小説『ダヴィンチ・コード』 ‘ The DaVinci Code ‘ by Dan Brown , first published by Doubleday , a division of Random House ,Inc, NY , in 2003 を全面的に、読み破り、解読(デコード decode)したものである。
まず、これから2回に分けて掲載する、私の『ダヴィンチ・コード』論の概要を以下に要約する。
<全体の要約 summary>
このミステリー小説(アメリカでは、ディテクテイヴストーリー=探偵小説という)の形を借りて、ヨーロッパに11世紀(1099年創始、第一回十字軍の時)に創始された、秘密結社・シオン修道会=テンプル騎士団の秘密が、学術書並の正確さで、暴かれ、満天下(世界中に)公表された。この本に書かれている諸事実は、真実であろう。なぜなら専門の古文書学者、文献学者たちからの公然たる反論が、3年経っても世界基準で、出てこないからである。この『ダヴィンチ・コード』を巡る盗作疑惑と裁判の結果については、後述する。これらの近代学問(サイエンス)的にも重要な欧米の「秘密結社(ザ・シークレット・ソサエティ)なるものの、発生の秘密、本性、正体、出自(しゅつじ)、そしてその思想の原理 を明らかにする仕事が、こうして一般向けのミステリー小説とその正確な映画化によって、世界中に暴かれたことは、慶賀すべきことである。
まず、冒頭で、私、副島隆彦による、「秘密結社」なるものの、最高度定義(ジ・ハイエスト・デフィニション)を行っておく。以下の定義が、日本人による、秘密結社そしてローマ・カトリック教団(リーマ法王)体制への、これまで誰によっても為されたことのない最高度の理解の公開となるだろう。副島隆彦によって、欧米キリスト教社会の、真の恥部(ちぶ)と本性が、大きく解明されたのである。
ここで私が使う、秘密結社とは、1776年に、ドイツの神学者・アダム・ヴァイスハウプト Adam Weishaupt が、公然と創始した、イルミナティ( Illuminati 光明会、こうみょうかい)と、以後、全欧州で、その下部団体に組み込まれることになったフリーメーソンリー( Free Masonry 自由な移動石工組合)を中心に考える。したがって、以後は、イルミナティ=フリーメーソンリーと書く。
イルミナティ=フリーメーソンリー が、1776年に出現するが、その7百年まえに胎動し誕生したのが、十字軍( Crusaders クルーセイダーズ 、 各国の王や貴族たちがローマ法王の命令のもと、聖地イエルサレムの奪還・占領のために出征した。今の国際平和維持活動=国際軍事行動、反抗国家への軍事鎮圧・強制執行と同じ)の時に、シオン修道会=テンプル騎士団が、成立した。テンプル騎士団とは、エルサレムのソロモン王の宮殿(神殿、temple テンプル)が在った丘に砦・城を築いて占領した騎士たちから生まれた結社で、ローマ法王から公認された平信徒(および少数の僧侶)の集団である。
そして、このテンプル騎士団が、後に全欧州で、資金の為替(信用流通)の前欧州金融ネットワークを築いて、商業主義で繁栄する。それに怒った、フランス王フィリップ4世が、自分が立てた傀儡(かいらい)の新ローマ法王と共に、秘密の勅令を出して、1307年に、全欧州の都市で、一斉に、テンプル騎士団員を皆殺しにした。この日が、「呪われた金曜日の13日」である。 テンプル騎士団から、巨額の借金(国債の引き受けてもらうこと)をしていた、仏国王フィリップ4世を初め多くの国王、諸侯たちは、これで「国家の借金苦」(累積した財政赤字の返済の苦しみ)から一旦は逃れられた。
一斉の集団皆殺し(マサカ)に遭ったあと、地下に潜った残党の生き残りのThe Order of Templars テンプル騎士団(ジ・オーダー・オブ・テンプラーズ)の 構成員、テンプラーズたちは、このあと密かに、商業活動、金貸し業で、ユダヤ商人として純化して行く。それが、1800年前後の、ドイツ・フランクフルトでのアムシェル・マイヤー・ロスチャイルドの宮廷ユダヤ人(後のプロイセン王家となる、ヴィイルヘルム一世の財政・徴税担当者)となって浮上する。ロスチャイルド財閥の隆盛は、シオン修道会=テンプル騎士団が700年掛けて築いた全欧州の金融ネットワーク(為替=かわせ=による信用制度)を引き継いだのである。
そして、それが、政治・宗教活動場面での、前述した1776年に創始されたイルミナティ=フリーメーソンリーの秘密結社とも重なって、全欧州で、そしてやがて、北アメリカへも商業者、金貸し業者の「カトリックの平信徒、在家衆、氏子(うじこ)の団体」としてはびこってゆく。
彼らは、カトリック(キリスト教の正統と権威化した僧侶集団)から、「金利を取る卑しい強欲・拝金人間ども。お前たちは死んでも神の国にはゆけない」と侮蔑(ぶべつ)され、公然と罵(ののし)られ、蔑(さげす)まれ、一千年にわたって屈辱を味わった。だから、彼らは、カトリックの僧侶たちへの、恨みと憎しみを込めて、「新しい自分たちの神 ルシファー Lucifer 」を作って、ヴァチカン(カトリックの総本山)に対抗、対決をはじめた。
それが諸秘密結社なるものの本性であり、本体である。彼らは、驚くべきことに、それでも、在家、平信徒のまま表面上はその後も長く、キリスト教徒にとどまり、今でも「ロッジの思想」のまま活動した、そしてしている。
それは、日本で言えば、法華講(ほっけこう)のようなものである。法華講とは、日蓮宗の本山の僧侶の集団に対して、平信徒、在家の宗が、「お講(こう)」と称して、自らを組織して、自分たちだけで信者の団体を自治的に組織して、僧侶を敬い、僧侶を呼んで読経をしてもらい講話〔お坊様のありがたいお話し〕を聞く会を定期的に催す。やがて、この法華講のひとつが、巨大な平信徒(ひらしんと)の集団となって、そして遂(つい)には、本山の僧侶(得度して受戒した坊主、ぼうずたち)集団と対決するにいたり、激しく、憎しみ遭うようになる。それは、日蓮正宗(本山、静岡県富士宮市にある、大石寺(たいせきじ)の法華講(ほっけこう)の一つであり、法華講全体の講頭(こうとう、信者の総代表)であった、池田大作氏(いけだだいさく、創価学会名誉会長)が、威張り腐って、自分たちを蔑(さげす)み、罵(ののし)る僧侶集団である本山の坊主たち(日顕=にっけん=上人が代表)に対して、30年ほど前に、決然と反抗をはじめ、激しい憎しみを露わにして永遠の抗争を始め、創価学会(これがロッジの思想である)全体が本山から破門されてもなお、激しく闘いを続けていることと、酷似しているのである。
私は、創価学会を支持するわけではないが、創価学会の会員の皆さんに対する、同じ日本人としての、諸兄の、東アジアの、日本型の Buddhist fundamentalism ブッディスト・ファンダメンタリズム 「仏教系の原理主義」の存在の必然性を理解し、その発生の根拠を共に、これから研究、探索しましょう。副島隆彦がやる、と言ったらやる。創価学会の会員の友人、知人たちと共にやる。そして、その本体を思想的に明らかにする。なお、創価学会を、「仏教系の東アジア型の 宗教原理主義である」という解明作業をやったのは、私の先生の碩学・小室直樹氏であり30年前に英文で書かれた小室先生の論文がある。
私たちは弟子たちと、イルミナティ=フリーメーソンリーの「反キリストの強欲・拝金の思想」をこの間、ずっと勉強したことと、ロスチャイルド・ユダヤ商人の欧州支配と、そして、今回、『ダヴィンチ・コード』から多くのことを勉強して、すべての話が、全てつながって、実に、爽快(そうかい)である。私、副島隆彦が、日本人としては、はじめて、これら人類史の中心に横たわる大きな秘密の基本骨格を、すべて、読み破った。ついにデコード(秘密の解読)をやったぞ、と高らかに宣言したいと思います。学問道場の会員たちと共に、日本で最先端の思想解明作業を続けている私たちの、この大成果を喜びたいと思います。
そして、映画『ダヴィンチ・コード』は、現在の世界を支配するアメリカのロックフェラー・金融ユダヤ人どもが、まず、自分たちを軽蔑し反抗するフランス人への侮蔑と憎しみを込めて、そして、ローマ教会(ヴァチカンの総本山)への憎しみを込めて、作られた映画なのである。こうして、すべての話はつながった。謎は解かれました。
ここまでは、前書きです。これからが、本題です。
まず、再度、まとめとして、以下に、副島隆彦による「秘密結社の定義」を行います。
欧米の「秘密結社」(ザ・シークレット・ソサエティ)とは、カトリック教団の在家(ざいけ)の平信徒の団体のことである。それをlodge (ロッジ)という。そしてロッジが、実社会における金銭欲望の解放、性欲の解放を求めて、僧侶(神父)たちに反抗をはじめた。そして、キリスト教徒でありながら、密かに、自分たちの神を堕天使Luciferと定めて、カトリックの僧侶集団である法王庁(ヴァチカン)に反乱を起こした。ローマ教会にたいして、憎しみを込めて資本主義(カピタリスムス)の真髄である拝金と強欲の思想(reason リーズン=理性、とratio ラチオ=合理性、誰も反対できない経済法則、経済合理性)を、自分たちの真の神だとして、密かに信じ、あるいは公然と掲げて、「ロッジでの友愛会」を組織する。そして、キリスト教の愛(神からの恵み、grace グレイス=恩寵 と神への愛Agape アガペー)の思想を打ち破り、葬り去ろうとして活動する、人類の強欲肯定の思想集団となった。これら「秘密結社」の現代的な展開は、最高度の金力をもつ者たちは、アメリカ・ニューヨークのロックフェラー財閥を総帥とする金融ユダヤ人たちの世界支配であり、アメリカ帝国による、世界各国の属国群のデモクラシー(民主政治)を金(かね)の力でおしつぶし、あやつる悪魔の所業となっている。そして、この諸秘密結社が掲げる、強欲・拝金肯定の思想が、今、世界規模の人類史の基準で、解明され、崩壊を開始したのである。
ここまでが本論の要約です。以下に、副島隆彦の語りおろしによる「本論」の音声データを弟子たちによる文字起こしの文章の形で貼り付けます。
<本論>
『ダヴィンチコード』の映画がもうすぐ公開されます。私は、この映画が公開される少し前にこの原作の小説を読みました。読んで細かく解明作業をやりました。ダン・ブラウン Dan Brown という人の小説です。
彼は、つい最近まで盗作の疑いで訴えられて裁判をやってましたが、イギリスの高等裁判所は、その訴えを退ける判決を下しました。訴えたのは、聖書と古文書の研究家の3人の人文(じんぶん)学者で、彼らが書いた研究書である ’ The Holy Blood and The Holy Grail ‘ by Michael Baigent , Richard Leigh & Henry Lincoln の「聖杯伝説」の研究の成果を、ダン・ブラウンが、盗作した、とする訴因(そいん)であった。裁判官は、小説家としての、ダン・ブラウンの優れた付加価値を認めた。訴えた側の学者たちの本も世界中で、2百万部以上売れて、それで、双方が、収入面でも潤ったということで、win-win game ウイン・ウイン・ゲームということで、争いはめでたく和解したようです。
<秘密結社 総ざらい−−シオン修道会、テンプル騎士団、オパス・デイ>
この『ダヴィンチコード』 ‘The Da Vinci Code’という映画はどういう内容というかというと、ふたつの種類の秘密結社(ザ・シークレット・ソサエティ)が出てきます。その間の闘いということになっています。真ん中には、ローマ・カトリック教会がいます。この小説の最後まで読んでいくと分かるのですが、まずオウパス・デイ Opus Dei というアメリカのニューヨークに今もあるカソリックの、つまりローマン・カソリック教団に属する信者の団体があります。この最高責任者である総長(グランド・マスター)のエマヌエル・アリンガローサ Bishop Aringarosa という人物(架空)が、殺人の指令をした。
そしてその殺された相手が、フランスのパリのルーブル博物館の館長のジャック・ソニエールということになっております。彼が殺されて全裸で、まるでダヴィンチの描いた裸体の円形男性像と同じように横たわっている場面から映画も、小説と同じように始まるでしょう。
なぜこのような殺人事件を起こしたかというと、このソニエール館長の方が所属している秘密の団体が、「シオン修道会」です。 これは、英語ではthe Order of Zion(ジ・オーダー・オブ・ザイオン) あるいはPriory of Sion (プライアリ・オブ・シオン) これをフランス語でいえば、ル・プリウレ・ドゥ・スィオンLe Prieure de Sionです。修道会を、オーダー Order と言います。すなわち「秩序」です。秩序という考え、思想は、愛(グレイス、恩寵、恵み)の思想と共にカソリック・キリスト教が作ったものです。そして、このシオン修道会の総長でありながら、ルーブル美術館の館長をしていたソニエール館長が殺されたのです。
このソニエール館長がシオン修道会の総長であり、秘密結社である。そしてこのシオン修道会は、第1回十字軍のあと、キリスト教徒(現地のイスラム教徒、アラブ人たちからすれば侵略者である者たちが築いた)エルサレム王国で創立された修道会であることになっている。十字軍運動というものは、ヨーロッパで、ちょうど十世紀から十三世紀まで8回くらい続いた、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍のことである。そしてそのときに「テンプル騎士団」、英語でジ・オーダー・オブ・テンプラーズthe Order of Templars、あるいはナイツ・テンプラーズ Knights Templars という団体、結社がつくられます。これはシオン修道会の下部組織であり、ですからこの2つの団体はいっしょだと考えていいのです。薔薇十字団や、マルタ騎士団も似たような団体です。
そしてこのジ・オーダー・オブ・テンプラーズという意味についてですが、日本ではテンプル temple は英語で「お寺」、シュライン shrine は「神社」だと中学校くらいで習うことになっている。しかし、テンプルとシュラインは、日本人はよく分からない。宮殿と神殿の違いとかもからむ。簡単にいうと、このテンプル騎士団の騎士たちは、遠征先のエルサレムでエルサレム王から用地として土地を与えられ、砦というか城をつくった。これがテンプルで、ここからテンプル騎士団の名前が由来している。
このエルサレム王というのは、今で言えば国連の多国籍軍(英語ではアライズ allies、同盟軍)による世界平和維持活動軍、あるいは国連派遣軍の総司令官みたいなものだ。その軍隊が現地に行って砦や、お城をつくってそこに駐留して、そしてイスラムの原住民と戦っていた。散発する反乱軍の独立運動を鎮圧したりする。テンプル騎士団がお城を作ったところが、ソロモン王のつくったエルサレム宮殿があったところだ。これは「神殿」ともいえるのですが、神様を祭っているところが神殿で、王様が住んでいるところが宮殿であるから、やはり宮殿だろう。
そしてシオン修道会。シオンは英語で言えばザイオン Zion であり、「シオンの丘」といってそこにダヴィデ王、英語ではディヴィッド、が都を築いた。そこから「シオン」はイスラエル全体をあらわす言葉になって、それがヨーロッパにいるユダヤ人、アシュケナージユダヤ人(東欧系のユダヤ人、ロスチャイルド家もこっち。それに対して、ロックフェラー系は、大きくは、スファラデウム=スファラデー系のユダヤ人、地中海系)によるシオニズム、ザイオニズム Zionism 運動思想につながるわけだ。
『ダヴィンチ・コード』のあらすじに話を戻しますが、先ほど出てきたオウパス・デイ(オプス・デイ) Opus Dei という今もアメリカ合衆国にあるカソリックの団体が、ローマ・カトリック教団から、破門されそうになる話が、先の殺人事件の原因です。それと、「聖杯(せいはい)伝説」の秘密の解明というのが、この世界的に大ヒットしそうな小説・映画の中心にあります。
Opus Dei というコトバは、ギリシア語、その後の表記ではラテン語で、Dei とは、Deus デウス、ゼウスで、全能の神ゼウス様です。これは、英語で言えば、God , god ゴッドです(大文字で書けば、キリストになったりするから、ややこしいが、そのことは触れない.)。
Opus とは、ベートーヴェンなどの、作品番号のこととして今は使われている作品番号のことだ。だから、オウパス・デイとは、the work of God で、「神の仕事」、神によって為される仕事、すなわち「神の御業(みわざ)」と訳される、カトリック教団内の、新興のやや過激な信者団体(ロッジ)のことである。しかし、「宗派」(sect セクト、ゼクト)ではない。このこことが重要である。
オプス・デイという、主にアメリカ合衆国で大きくなった(欧州各国にも支部はある)このカトリック内のやや過激な信者団体は、わざと苦行を自らに科して、鞭(むち)でたたいて体を痛めたりするような、厳しい肉体的修行を奨励する教団である。金属のとげがたくさん付いたバンドをしめて血だらけのまま過ごすとかが、今もスキャンダルとして騒がれている。カトリックの中でも、復古主義的で、一種の原理主義運動をやっている団体です。
この団体は、1920年代から、ボストンのあたりの、アメリカの金持ち層の間で特異なカソリックの運動として広まったのですが、評判が悪かった。それでも金持ちのパトロンたちが付いていたので、小説にも書いてあったが、10億ドルですから1千億円くらいの寄付金をして、ローマ・カトリックの総本山のバチカンの財政の困難を助けたりしていた。そういう背景がある。
オパス・デイ Opus Dei とは前述したとおり、ラテン語であり、英語では ワーク・オブ・ゴッドthe work of God という意味です。デイDeiというのはゼウスというギリシアの神であったが、キリスト教の神であるゴッドにもなっている。今のキリスト教では神は三位一体、トリニティTrinityですから、天にいる大きな神ゴッドとその子であるキリスト、さらに精霊holy Spiritの三つです。ではゼウスとゴッドはどう違うかということになるが、これは同じだということになっている。ギリシア語でいうゼウスの方が、聖書学者だけでなく、人文(ヒューマニティース、古文書学など)だけでなく、現在のソシアル・サイエンスの研究対象としても、神として扱われています。
このオパス・デイが、この小説では悪役として描かれている。その理由は、あまりにも過激な運動というか、評判の悪い布教活動をやったものですから、日本の創価学会と同じように嫌われているわけです。(同じく、新教=プロテスタント系の、クエーカー教や、現在の、サザン・バプティストの中の新興教団、宗教右派、も同じような扱いを受ける、がその話は今日はしない)。「破門」excommunicationという言葉はこの小説では使っていないが、どうやらバチカンの最高位のカーディナル(枢機卿)2人と宗務長官に、オプスデイの最高責任者が、呼び出だされて、慇懃(いんぎん)に、「お前たちは、ローマ教会とは独立して別の教会をつくりなさい」と申し渡されている。
それに怒り狂った、オパス・デイの頭領で、スペイン人の司教(ビショップ)でもあるこのエマニエル・アリンガローサ総長(グランド・マスター)が、彼の子分であるところの修道僧シラスを使って、ルーブルの館長の他に、シオン修道会の隠れ最高指導者3人も殺すわけだ。なぜ殺したかというと、ある秘密をどうしても探り出したかったからだ。それは、フランスにずっと2千年間残って語り伝えられている、聖杯伝説(せいはいでんせつ)というものに関わってきます。
<聖杯伝説−−聖杯とは、女性の子宮のことであり、マグダラのマリアの血筋のことだったのだ>
聖杯とは、聖なる杯(さかづき)のことで、英語ではホーリィ・グレイル Holy Grail といいますが、これはキリストがゴルゴダの丘で処刑されたときの、そのときの血を受けた杯であると言われている。あるいは、それが、キリストの子供を胎内(子宮)に宿した女性の聖なるお腹のことを指すのです。それが十字軍運動の頃に、さきほどのテンプル騎士団が城をつくったエルサレム宮殿の跡地から掘り出され、密かに、フランスにもたらされたと言われています。
ですから、本当は、このグレイルとは、さかづき(杯)のことなどではなくて、女性の子宮、ウーム womb のことであることがやがて、明らかになる。そこに、マグダラのマリアが出てくる。 キリストが処刑されたときに、ローマ教会の教義では、売春婦だったとされるマグダラのマリア Mary Magdalane (メアリー・マグダレーン)が、イエス・キリストの母親(こっちが、聖母マリア様)と妹と一緒に、遺骸を引き取りにゴルゴダの丘に来た。これは事実だ。マグダラのマリアは実は、その時に、キリストの子どもを懐胎(かいたい)していた。マグダラのマリアは、キリストの妻であり、ふたりは夫婦だったのだ。
これもどうやら、真実だろう。だれも、最早、世界中で、反対しなくなりつつある。そのあとにどうやら、マグダラのマリアは、キリストの信者たちによって、南フランスに連れてこらて、匿(かくま)われたらしい。ということにこの小説ではなっている。そしてこれもおそらく事実(史実)だろう。マリアは、女の子を産んで、その子孫は、血筋がつながって、後に、フランク王国のメロヴィング王朝 Merovingian を興したことになっており、代々その子孫がいる。今もいる、ということらしい。キリストの子孫がフランスに住んでいたことになる。そして、シオン修道会=テンプル騎士団が、その秘密を「聖なる杯」伝説にして今も守っているということらしい。
この小説の大きな枠組みの中では、最後の場面(エピローグ)で、この映画の主人公であるハーヴァード大学教授で宗教象徴学専門のロバート・ラングドンが、よろよろと、よろけながら、今もルーブル宮殿の地下にある、ガラスで出来た大きな三角形とちょうど逆の、逆三角形のピラミッドの前までやってくる。地上には、このガラスの三角形のピラミッドが、ルーブル美術館の中庭にあって、世界中の観光客が見ている。私もかつてこれを見た。この地下が、逆三角形になって、それが、・・・それがどうやら、幾多の戦争で失われた聖杯そのものであるらしい。その真下に3フィートと小説には書いているから1メートルくらいの、小さな、金属でできた小さなピラミッドが、大きなガラスのピラミッドとちょうどピタっとぶつかるような形になっている。本当にルーブル博物館の地下にこれがあるのだ。私は今回、写真でこれを見た。そして、そして、どうやら、ここが、どうやらマグダラのマリアのお墓だということらしい。ああ、びっくりした。私もびっくりした。みんなもびっくりして下さい。・・・これは、本当の話らしい。
この巨大なガラスの逆ピラミッド(聖杯)は、1982年に、フランソワ・ミッテラン社会党の大統領の時に、建設されたものだ。 ミッテランは、社会党(左翼)だから、今の、ジャック・シラク大統領のフランス保守党の、ドゴール主義の反米の、ゴール人(ガリア人)主義者たちとはちがう。・・・ミッテランこそは、シオン修道会=テンプル騎士団の、1980年代の総長(グランド・マスター)ということになる。
ミッテラン大統領 Francois Mitterrand が秘密結社に所属していて、このシオン修道会の結社の総長だったことになる。これはおそらく本当のことでしょう。ですから、この聖杯伝説の真実(すなわち、キリストは妻帯していて、奥さんのマグダラのマリアが子供を生んでいる事実)をあばくことによって、それで、ローマン・カソリックの総本山(ヴァチカン)に対する大きな復讐、仕返しをしてやろうという気持ちになったのが、このアメリカの本部を置くオパス・デイというカソリックの下部団体である団体の指導者たちであった。だからそのために、ローマン・カソリックの存立を揺るがしかねない巨大な秘密を暴き出してやろうとして、修道僧シラスたちを使って盗聴器をしかけ、ルーブル美術館の総長たちを密かに調べさせていたのだ。
この殺されたソニエール館長は、残り3人の枢機卿たちとともにオパス・デイによって殺されてしまうと、秘密の証拠が何も残らなくなってしまう。それを心配して、瀕死の苦しみの中で、ソニエールは、ロバート・ラングドンと、フランスの司法警察の暗号解読官であるソフィー・ヌヴーという女性に、暗号であとを託すわけだ。このソフィーは殺されたソニエール館長の孫娘であって、ということは、最終的にはこの女性がマグダラのマリアとキリストの血をずっと受け継いでいるフランス娘!だということにこの小説ではなる。
なんという物語でしょうか。
これらのことが小説ではたった2,3日の出来事として描かれている。ロンドンのテンプル寺院にも行って、横たわったまま(すなわち、皆殺しに為された)テンプル騎士団の10体の横たわったままの不思議な石像の秘密も解明される。それから、スコットランドのグラスゴーの近郊に今もあるキリスト布教以前の異教徒の教会も出て来て、ここにソフィーの兄弟たちが、暗殺を免れて生き残っていた。
ここで、暗殺部隊を放ったとして、悪役として描かれているのがオプス・デイ Opus Dei であるが、他のアメリカのすべてのカソリックの団体にたいしても、アメリカの主流派のプロテスタント(メソジストが本流)からみた場合の嫌悪感を誘うようにできている映画・小説である。露骨までに、カトリック教団を批判攻撃している小説だということが分かる。と同時に、フランス・カソリックをも串刺しにしている。フランス国は今もカソリックの牙城の国であるのですが、その内部がどうも、ローマ本部のヴァチカン総本山に対して歴史的に反抗的であるということも分かる。アヴィニオン Avignonの遷都と言って、フランス王が、ローマ法王(教皇)を無理やりフランスの南部に連れきた時代もある。これらの背景にはどうもフランス・カソリックはローマン・カソリックの秘密を知っていたからだということを暴いている。
<ハリウッドがこの作品を映画化させた意図−−金融ユダヤ人のカトリック教壇に対する憎しみ>
もっとも、今回、これらの秘密を暴いたのはアメリカのハリウッド映画界である。ハリウッドはユダヤ系資本に牛耳られていて、そのユダヤ資本の親玉であるデイヴィッド・ロックフェラーDavid Rockefeller が、トム・ハンクス Tom Hanksという裏のある自分の子飼いの俳優やロン・ハワードRon Howard監督たちを使って、暴くようにさせたわけです。よっぽど、彼ら金融ユダヤ人たちは、カトリック教団にたいして深い恨みがあるのだろう。
この恨みは骨髄(こつずい)にまで染(し)み込んでいて、金融ユダヤ人として、カトリック・キリスト教団から、長い間、「強欲の金銭崇拝の汚らしい人間ども」として毛虫のように嫌われ、蔑まされたことへの激しい憎悪感情が籠もっている。この憎しみと怒りは、今ももの凄いものであり、イラク戦争で、イスラム教徒・アラブ人たちと、ユダヤ(イスラエル)=アメリカ・キリスト教たちとの血みどろの戦いと、同質の、同レベルのものがある。これを、日本人(東アジア人)である私たちは、分かってあげる必要があるだろう。すなわち、
カトリックの僧侶(お坊さま)たちにしてみれば、「このイルミナティ=フリーメーソンリー系のアメリカにおける石油財閥化しただけの、ロックフェラーどもという、下賤(げせん)なる者ども。金利を取って、金融で、阿漕(あこぎ)な金貸しをやり人間世界を苦しめる者ども」ということになるが、この金融ユダヤ人たちでも、多くは、「隠れユダヤ人」 (closet Jews クローゼット・ジューズ)として、キリスト教徒の振りをして、自分たちの下部の在家の、平信徒集団の中で、今も活動している。そして、密かに、あるいは公然と、エイズズ会のような、教壇内で、宗派(セクト)を名乗らない宗派のロッジ(お講、あるいは氏子=うじこ=))の集団にもなっている。ここで、すさまじい暗闘がくりひろげられ、多くの陰謀が廻らされて来ただろう。それが、ヨーロッパ文明の二千年の歴史なるものの、本性、本体だ。副島隆彦は、今回、この大きな秘密を、読み破りました。解明しました。大きな謎は解けたと言うべきでしょう。
そして、このローマン・カソリックに対する、アメリカの金融財界人ども、とりわけ総帥のデイヴィッド・ロックフェラーの怒り、憎しみがこの映画ににじみ出ています。このことを分かることが、2006年の世界という今の、最先端を彩っているのだと知ることが重要です。
<そもそも秘密結社とは何か−−“悪魔教の集団”との理解では、日本人は本質を死ぬまで理解できない>
ですから、秘密結社、ザ・シークレット・ソサエティ the secret society、と言うものが日本で、私のこの理解によって、大きく解明された、ということになります。秘密結社は、何も、闇の集団で、秘密の儀式を行い、悪魔教(サタニズム)を崇拝する恐ろしい支配者集団だという風に、低脳の考えにしがみついている、いわゆる、アホの「陰謀論を信じる人間たち」を、私は大きく打ち破ろうと思います。
「結社」と訳されているザ・ソサエティはなるものは、普通に訳すと、「社会」であって、日本で使われている社会学とかの「社会」ですが、本当は、ソサエティというのは、人間社会などという意味ではなくて、「結社」のことだ。営利の共同仲間なら、「コンパニー」company だろう。「結社」とは、ドイツ語の ferein フェアアインで、一つの目的の元に集まる、人間の集まり、交際、人間集団という意味です。
ところが日本では秘密結社というと何かおどろおどろしい、悪魔崇拝の、お化け(妖怪)や亡霊、幽霊を信じる集団だと思われている。思われている(=考えられている)というよりも、感じられているというべきでしょう。おそらく、この映画がはやることによって、秘密結社というものが何であるかについて、日本でも小さなブームが起きて、ザワザワと公然と論じられるようになるだろう。しかし日本人ではどうやってみても分からない。いくら、翻訳書で、欧米の陰謀論(コンスピラシー・セオリー)系の文献を国内に導入して、研究しても、実感で分からない。それを、今、日本で始めて、私がそれらの本性、本体を上記のように、解明しました。デコード decode、解読しました。
ですから、私が始めの方に書いた「秘密結社」なるもの定義(太字にした)が、そのまま結論(論理的な帰結)でもあるのですが、秘密結社というものは「在家」(ざいけ)の平信徒の集団のことである。学問道場のこの3月25日の武蔵野公会堂での自力講演会の「『中国ロック本』発刊記念講演会」では、私は、あまり、咀嚼(そしゃく)しないで、真髄だけを、分かりにくく説明した。だから、副島隆彦の本を熱心に読む人たちの中でも、よほどよっぽど感覚の鋭い人でなければ、「 西暦1776年以降の秘密結社、すなわち、イルミナティ=フリーメーソンリーとはなにか」を、分かってくれた人はごく少数だったと思います。
私が、冒頭から、「欧米社会の秘密結社というのは、日本で言えば、創価学会のような、教団の本山から分離独立していゆく運命にある。新興宗教のようなものです。しかし、本山(教団)の僧侶たちとの激しい憎しみあいはずっと続きます。分かりますか」と私がやったものだから、あっけに取られた人が多かったでしょう。
秘密結社というものは、在家のひとたち、平信徒(ひらしんと)のひとたち。日本の神道(神社)の団体でいえば、氏子(うじこ)の集まりのことだ。僧侶、神官といった職業的聖職者たちの集まりではなくて信者の団体ということである。そうした平信徒の団体のことを「ロッジ」 lodgeというのだ。ニューヨークに本部があるオプス・デイもロッジ、一千年前から在るシオン修道会=テンプル騎士団も実はロッジだ。このことははっきりしている。ここが日本の歴史学者、宗教学者、聖書学者でも分からなかった、大きな事実だ。副島隆彦に日本の思想家a Japanese thinker としての業績です。私のこの理解に、どうせ、時間をかけて、すべての知識人、学者、宗教家たちが、いづれ従わなくてはならなくなります。私のこの大きな理解以外にはあり得ないからだ。
ですから、何度でも書くが、ロッジの思想というのは、平信徒の在家の思想である。決して、僧侶、聖職者ではないという、これがいわゆる結社というものであり、ザ・シークレット・ソサエティ、秘密結社とよばれているものの実態である。
ところが、このロッジのなかにも教団化すると、司祭(プリースト priest)あるいは神父Father とよばれる人たちが存在する。もっと大きな組織になると司教、ビショップbishopという高僧クラスまでがいる。
「カトリック教会現勢 2004」によると日本のカトリック教団には、司教は26人いる。さらにそのビショップを束ねるアーキビショップarchbishop、大司教(だいしきょう)というのがいて、大司教ともなると、日本では東京、大阪、長崎の大司教区にそれぞれひとりずつ、3人いる。しかし、この大司教は、どうも世界基準の大司教ではなくて、ノミナル(名前だけ)のものだろう。東アジア圏の大司教は、フィリピンにいる。韓国にも本物はいないだろう。
だから、新興宗教団体のようになってしまう、ロッジ団体のオプス・デイのような信者団体は、さすがに、大司教( だいしきょう、archbishop アーチビショップ)という高僧までは存在しない。だから、最高位でもビショップ(司教)であるから、オプス・デイの総長もアリンガローサ司教なのである。
枢機卿(すうききょう、カーディナルcardinal)という職は、これら司教、大司教の中から選ばれる。日本には現在、白柳誠一(しらいしせいいち)枢機卿と濱尾文郎(はまおふみお)枢機卿の2人がいるが世界基準の枢機卿ではないだろう。ヴァチカンに枢機卿の全員が、700余名集まって、コンクラーベという宗教会議を開いて自分たちの中から、次の法王(Pope ポープ、パパ)を決める。
だから、僧侶たちもこのロッジのなかに入っているのである。今の創価学会の中にも、日蓮正宗の本山から破門される寸前の、隠れ池田大作教徒の僧侶が、密かに数百人は存在するのではないか。だから、ここが分かりづらいところだ。このロッジの思想というのが分からないから、欧米の秘密結社というと何か得たいのしれない、おどろおどろしい闇の集団みたいなイメージになってしまう。いわゆる陰謀論者たちが、訳の分からない朦朧とした頭で、文学作品として小説を楽しむのと同じで、頭のなかでそうやって処理してしまうことになる。だからいけない。今、出回っている『ダヴィンチ・コード』の便乗本もその域を出ない。だから、私は、「学問道場」では、日本人なら誰にでも判るように肺腑(はいふ)をえぐり出すように説明したのです。
本当は、このロッジの思想をもっと徹底的に暴き出せば、秘密結社などというものの本性(ネイチャー)を丸裸にすることができる。私がここにこうやって書いてしまうことによって、日本国内に秘密結社というものの秘密が遂に暴かれてしまったのです。この解明のための知識作業は、『ダヴィンチ・コード』という小説、映画をダシに使って、それらの問題を根底から全体像として暴いてしまうということになる。
『ダヴィンチ・コード』を解読すると称する類いの本がすでに10冊くらい出ているようですが、たとえ翻訳書で、欧米の聖書学者、古文書学者によって書かれたものであっても、そんなものは真実探求のための、いくらの足しにもならない。日本人としての私が暴いた、この大きな真実が一番、奥行きがあり、かつ世界基準で意味を持つはずです。
<テンプル騎士団=最初の国際銀行家が、フランス王によって弾圧される>
1307年に、このシオン修道会=テンプル騎士団が、フランスのフィリップ4世によって大弾圧を受けまして、皆殺しにされた。ヨーロッパ全体で、日を決めてテンプル騎士団を捕まえて皆殺しにした事件があった。
テンプル騎士団は1096年の第1回十字軍のあとで創設されて以来、十字軍の活動とともに組織を拡大していった。ヨーロッパの王族や貴族たちに可愛いがられて、その財産を預かったりして、独自の金融システムを発達させ、国際銀行(インターナショナル・バンク)の萌芽、元祖ともいうべき役割を果たしていた。これが重要なところだ。フィリップ4世はテンプル騎士団を大虐殺することによて、騎士団とは言うが、在家の利益活動集団から、巨額の財産を没収して、借金は踏み倒したわけです。その前年の、1306年にはフランス中のユダヤ人をいっせいに逮捕し、同じく資産を没収しその後に追放するということもしている。それぐらい、金貸し業というのは、ものすごい力を持っている。
全く、同じ頃の日本でも、13,4世紀に、鎌倉幕府や、室町幕府は、借金で困窮する武家集団のために、徳政令(とくせいれい)という、借金証書(証文)の破り捨ての政令を出している。それで、酒屋(さかや)とか土倉(つちくら)と呼ばれた金貸し業者たちを弾圧している。徳政令というのは、そういう借金踏み倒しの制度だ。ただし、そのあと、世の中の経済が数十年間に渡って崩壊し、信用秩序を、政治権力者が上から壊すことによって、世の中の生産活動と流通、物流を阻害することになる。政治と経済(金融)がここで、冷酷にバランスを取り合う。
2008年ぐらいから、アメリカの米ドル紙幣(カレンシー)と米国債の大暴落が起きるだろう。それは、アメリカ政府とFRBが、アメリカの財政赤字を返済する気がなくなって、更にお札と国債を刷り散らして、実質的に踏み倒そうとするからである。
中世の、当時ヨーロッパでいちばん権力を持っていたのは国王の王権である。ローマ法王の神権(ディヴィニティ)よりも強くなり出していた。それでその後はロンドンでもスペインでもイタリアでもテンプル騎士団は大弾圧された。そのあとは残党たちが地下にもぐって、それから500年後に、イルミナティ=フリーメーソンリーとなって出てきたということになる。これは本当のことでしょう。
Philip IV of France (1268 ? November 29, 1314)
フィリップ4世は、弾圧の口実として、これらの結社が行っていたという風評の、入会儀式におけるホモセクシャル行為、幼児虐待、悪魔崇拝といった容疑で起訴することになった。そもそも何の罪もない人々を一般的な裁判形式で裁いても有罪の立証に持ち込むことは難しい。そこで匿名の証言を採用できる「異端審問方式」を用いることで有罪に持ち込んだ。その大弾圧を行なった日は1307年10月13日であり、この日が金曜日だったため、以後「13日の金曜日は不吉である」というジンクスが生まれた。
<イルミナティ、フリーメンソン、ロータリー・クラブ、ライオンズ・クラブ−−これらの本質は同じ>
この年から470年後に、ドイツの宗教学の大学教授の、アダム・ヴァイスハウプト Adam Weishaupt が、イルミナティ(光明会)運動を公然とはじめて、すぐに全欧州に広がって支部ができる。すぐにイルミナティを禁止する法律ができて社会の表面からは姿を消す。大事なことは、イルミナティの下部組織に組み入れられたのがフリーメーソンである。正確には、マゾニック、Masonic マゾ(ツオ)ニックとか、Freemasonry フリーメイソンリー という。
(日本フリーメーソンHP:http://japan-freemasons.org/jp/modules/wfchannel/)
フリーメーソンというのは紀元前17世紀からある。メイソンが、石工(いしく)組合という言葉であることみんなに知られていて、モーツアルトもメーソンだった、とか使われる。メーソンとは古代から、石の切り出し場で働いていて建設業に従事する、もともとは奴隷のことだ。それで、モーゼが出てきて、エジプトのファラオの支配下からイスラエルの民を連れて帰ってきたということになっている。これが、旧約聖書の「出エジプト記」(Exodus エクソダス)である。 しかし、実はこの史実は、バビロン捕囚にあっていたユダヤ人たちの話だろう。だからバビロンは今のバグダッド市の南あたりで、そこから戻ってきたカナーンCanan人たちの話だろう。
このメーソン、石工は、中世以降は、建築職人さんの世界で、これが、「フリー」というのは、職場を求めて自由に移動できたということで、日本でいえばテキヤ系の人たち、行商人や、露天商みたいなひとたちが、全国を仲間のネットワークを頼って、自由に移動してまわったわけで、各地で行った先々で泊めてもらえる権利がある。その泊めてもらえる場所がロッジなわけだ。だから日本のヤクザの系譜であるテキヤも、自分たちの自由移動の商業権益を守るための横のネットワークから生まれた職業防衛のための自治団体である。
日本のヤクザは、このテキヤ系と、沖仲仕(おきなかし、港湾労働者、河川・港湾のクーリー、山口組)系、それに賭博をやることで収入を得る博徒(ばくと)系に分かれている。
昔はベルトコンベアーやクレーン車なんかはないから、河川、港湾とかで荷物を積み下ろしたりするのはすべて人足の仕事であり、そのためにはものすごく多くの人足、肉体労働者を必要とした。それを束ねて行ったのが日本の暴力団(やくざ)のの原型である。神戸の港湾労働者系が山口組で、それに対して大きくは、住吉連合がテキヤ系で、稲川会が、博徒(ばくと)系だろう。
もっと言えば、1560年頃に生きた織田信長のような、今の名古屋(尾張)の長良川、揖斐(いび)川沿いの一体の、広大な湿地帯の河川流域の物流を支配していた沖仲士たちの総領が織田氏であったろう。そこに蜂須賀小六(はちすかころく、のちに四国の大名になる)のような一党がたくさん分かれて、部族のように存在したのだろう。だから戦国大名というのは、“まむしの”斎藤道三(さいとうどうさん)のような、金貸し、油商人の系統か、信長のような、沖中士(川筋かわすじ者)の人足集団の頭領かのどちらかだろう。
今の日本人が思い描いている戦国大名というのはすべてウソだ。本当は、山口組の大幹部たちが毎月の定例会に出席するような感じが、戦国大名たちの真の実像に近いだろう。あのおそろしい風体(ふうたい)だけが、時間を超越して、人類史の真実を示している。どこの国でもそうだ。そして小泉純一郎であっても、まさしく彼こそが、その真実の顔は、皮膚の表面が剥がれた、本当の顔は、ヤクザ者の大親分のもつあの極薄(ごくはく)な化け物のような顔なのである。人殺しでも何でも平気でできる人間たちの集団だ。それを現実政治という。どこの国も、どんな時代もそうだと思います。
だから本当の日本のヤクザの原型のひとつもテキヤ系である。日本のやくざが、小屋がけをして各地の興業主になっていたり、旅籠(はたご)を営んだりするのも、ロッジの思想でだから、ロッジはテキヤ業なのだ。全国を移動してあちこち泊めてもらえる。欧米のフリーメイソンリーという組織と同じだ。ユースホステルや、それから、ライオンズ、ロータリーの思想も、すべて、この「今夜は君を私の家に泊めてあげよう」という思想を原型にしているだろう。
イルミナティ=フリーメイソンには、36階級までの位階がある。グランド・マスターとか、グランド・コマンダーいう最高指導者がいる。創業者のドイツ人、アダム・ヴァイスハウプトに続く、2代目が、これも『中国ロック本』に出てきた重要人物である、アルバート・パイク Albert Pike というアメリカ人で、彼は南北戦争の時の南軍の将軍の一人で、KKK団の創始者でもある。 3代目が、イタリア人の、ジェウジオ・マッツィーニである。 彼は、革命家で、バクーニンや、カール・マルクスと共に、国際共産主義者同盟の一番古い、第一インターナショナル・ロンドン大会の主催者のひとりである。その後、カール・マルクスとケンカ別れしている。 四代目からのあとの、イルミナティ=フリーメーソンリーのグランドマスターの名前は、私にはまだ分かっていない。しかし、実際にいて、今は、8代目ぐらいだろう。 36階位の最高ランクの、グランドマスターは、今は、2,3人いるのではないか。
彼らは決してお坊さんではなく、やはりカトリックの在家の信者たちである。アメリカ大統領や、ヨーロッパの大国の首相とかになった人物は、33階位になると、決まっているらしい。日本の首相クラスだと、下から10番目ぐらいの第10階位ぐらいではないか。一番下の会員が、ライオンズやロータリーの会員たとで、徒弟、とか職工長とかで、第4階位までをしめる。そこから上はよく分からない。 だから、33階位から上で、36階位(最高階位)との間の、34と35階位が重要になってくる。ここは、「13人委員会」「33人委員会」あるいは、ジョン・コールマンが言うところの「300人委員会」となるそうだが、本当にそういうものがあるのかは分からない。おそらく、この34階位か35階位に、デイヴィッド・ロックフェラーとか、ジェイコブ・ロスチャイルド卿とかがいるのだろう。
再度書くが、一番下っ端のほうの4階位あたりまでが、ブルー・ロッジと言われていて、職人や、親方の階級だ。日本でもロータリー・クラブに、経営者とか税理士とかの集まりがあるが、それだ。私、副島隆彦は、全国のリータリークラブでも、講演したので、その雰囲気はよく分かっている。(日本ロータリー公式HP:http://www.rotary.or.jp/)
<「ロッジの思想」がまだ理解できなければ、日本における創価学会と大石寺の関係を見ればいい>
何度でも書く。やはりこのロッジの思想が重要である。ロッジというものを理解したければ、日本でいえば創価学会名誉会長の池田大作氏について考えてみればいい。創価学会というものは、日蓮宗のなかの新しい方である日蓮正宗から今は分裂して分かれてしまっている信者の団体である。本山の僧侶集団との思想的な闘いに今も明け暮れている。『ダヴィンチ・コード』のオプス・デイと全く同じだ。創価学会はいまでは日蓮正宗のお坊さんたちと闘っているけれども、すでに破門されてしまっていて、総本山の富士大石寺から見れば、創価学会はかつては、池田代作氏を法華講(ほっけこう)の総代である講頭(こうとう)とする平信徒の団体である。
大石寺(たいせきじ)にとっては、法華講というのはそこから巨額の寄付金(お布施)が上納されてくるので、それが自分たち教団=本山の資金源となる。ところが本山からみれば、あまりにも増長して自分たち僧侶の言うことを聞かなくなってしまって、両者は大変、仲が悪くなったわけです。それで破門されるわけです。イルミナティ=フリーメーソンの話とまったくいっしょなのです。もっと遡(さかのぼ)ると、シオン修道会=テンプル騎士団の話と同じだ。すべて同じだ。法華講(ロッジ)にも、穏和な団体もたくさんあって、本山の言うことをよく聞いて、お坊さんを本部から呼んでもらって定期的に教えを聞く従順な団体もある。この仕組みは、おそらく他の宗派の大教団も大きくは変わらない。
だから、この構造でみれば、日本人にも秘密結社というものの謎(本性)がすべて解ける。だから、薔薇(ばら)十字団や、マルタ騎士団(十字軍の病院船から始まった看護・医療系の結社)、テンプル騎士団(同じくロジスティクス、補給、兵站の係から始まった)というけれども、11世紀から14世紀くらいまではふつうの法王庁の認可団体だった。それが次第にローマン・カソリックの僧侶たちと憎しみ合いの関係に入っていって、仲が悪くなっていった。言うことを聞かなくなったわけです。それは金銭(金融)経済と産業の発達があったからだ。在家の商業者たちの、お金儲けの行動や、強欲、拝金の思想を、ローマ教会が弾圧できなくなったのである。
(ここまでで前半部の終わりとする。「私の『ダヴィンチ・コード』論」の後半部は、会員ページに載せます。 )
副島隆彦記
2006/05/18(Thu) No.01
http://www.snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi