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2006-05-11
〔コラム 机の上の空〕 ムサオイ被告の「改心」
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2006/05/post_6bf9.html
本ブログ既報の通り、アメリカ人の陪審によって死刑を免れ、終身刑に減刑されたテロ容疑者のムサオイ被告(37歳、フランス国籍)が5月8日、一転して無実を訴え、再審を求めたことを、仏紙、ルモンド(9日付け、電子版)が報じた。
公判で自らの罪を認め、「9・11実行犯」との「共犯」であるとしていた被告が、実は「アタ容疑者などと会ったこともない」と、法廷での証言を翻し、なぜ「再審」を申し出たのか?
その「豹変」について、再審の申立書のなかでムサオイ被告は、陪審が検察(ブッシュ政権)による「死刑」の求刑を却下したことで「(このアメリカで)公正な裁判が可能である」ことがわかったから、と、その動機を述べた。
実際、ムサオイ被告は裁判を通じ、国選の弁護団とも衝突を繰り返し、「イスラム信者の弁護士」を要求したりもした。
アメリカの司法に強い不信感を抱き、死刑を覚悟で挑発的な言辞を繰り返していた。
そのムサオイ被告の再審申し立ては、裁判所によって却下された。
法廷で行った有罪を認める証言を、判決が出たあと覆すことはできない、とする連邦刑法第11条の規定に基づく決定だった。
それはある意味で、当然過ぎる決定で、被告の弁護団も却下されることを見越して、再審の申し立てをした。
このルモンド紙の記事を読んで、ちょっと嬉しくなった。
ムサオイ被告が、アメリカ人の心の底流にある「正義」というものに対して、信頼を取り戻した、ということを知って、少しばかり胸が熱くなった。
ムサオイ被告自身、たぶん「却下」されることを知りながら、敢えて弁護団に再審の手続きをとるよう求めたのではないか?
わたし(大沼)の「直感」でひとこと言わせてもらえれば、おそらく、ムサオイ被告は、再審申立書にあるとおり、「9・11」実行犯の「共犯」ではなかった。
被告はその「真実」を、再審を通じて、最後に訴えておきたかったような気がする。
被告はコロラド州の刑務所に収監され、「余生」を送ることになるが、反省の日々のなかで体験を昇華させ、苛酷な幼少期の記憶を含め、ぜひともメモワールを書いてもらいたいものだ。
それが「死刑」を減刑してくれた、フツーのアメリカ人陪審たちへの、ひいては、アメリカの「法と正義」への、被告個人としての応答責任であろう。
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Posted by 大沼安史 at 11:27 午前