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陸上自衛隊:米海兵隊から暴動鎮圧訓練研修 基地警護狙う
陸上自衛隊が昨年3月、沖縄県金武(きん)町など4市町村にまたがる米軍実弾演習場「キャンプ・ハンセン」で、米海兵隊から暴徒鎮圧など部隊防護の訓練研修を受けていたことが7日分かった。毎日新聞が入手した報告書には「暴徒(化)する、群集に対する制圧・鎮圧」などの記述があるが、陸上幕僚監部は取材に対し「部隊防護の研修だ」とだけ説明。詳しい内容につては言及していない。米軍の協力による暴徒鎮圧などの訓練研修が明らかになったのは初めて。【サイバーテロ取材班】
報告書は、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を介して流出した陸自の内部データに含まれていた。「国内隊付訓練『部隊防護』成果報告」と題され、昨年3月21〜25日にキャンプ・ハンセンで実施した研修を詳細に報告する内容だった。
研修は「基地(駐屯地)警備にあたる隊員が暴徒等を排除する場合」などの状況を想定。海兵隊の教官から、人の急所を素手や警棒で攻撃して行動を抑える訓練や、致命傷を与えない弾を使った射撃訓練などの指導を受けた。陸自隊員とみられる戦闘服姿の男性の首付近を、海兵隊員が絞めて制圧する写真などもある。さらに暴徒鎮圧のための海兵隊独自の隊形も図解入りで報告している。
今後の訓練に反映すべき事項などとして、「テレビの視聴者に悪い印象を与えない」「シビリアン(文民)への過剰な攻撃の禁止」など、マスコミ対策の重要性を指摘している。
9・11米同時テロ後の自衛隊法改正で、自衛隊による在日米軍基地の警護が可能になり、自衛隊と米軍が連携を強める動きにあるとされる。専門家からは、こうした流れの中で実施された研修との見方が出ている。
一方、「治安出動に通じる研修」という指摘もある。治安出動訓練については、昨年10月に陸自北部方面隊(札幌市)が道警と、外国からの武装ゲリラを想定して実動訓練を初めて実施。暴徒鎮圧などを想定した治安出動訓練は70年安保闘争のころまで実施されたが、国民の反発を危惧(きぐ)して長年行われていない。
軍事アナリストの小川和久さんの話 米軍の協力による自衛隊の暴徒鎮圧訓練研修は初めて聞いた。治安出動訓練にも通じる。「テロとの戦い」を背景に、これまで最も遅れていた治安出動の分野にも、自衛隊は本格的に取り組み始めているのだろう。法で認められた活動であり、自衛隊は隠さず説明すべきだ。
軍事評論家の前田哲男さんの話 研修は、自衛隊法改正で自衛隊が在日米軍基地を警護することが可能になった流れの中にあるのではないか。米軍再編問題にも見られるように、米軍と自衛隊の一体化が進み、議論もないまま自衛隊の活動が米軍基地警護や、治安出動のような訓練に広がるのは問題だ。
◇01年10月の自衛隊法改正が背景に
今回流出した陸上自衛隊の訓練報告書を読むと、相手を殺害せずに警棒などで制圧する「ノン・リーサル・ウエポン(殺傷兵器を使用しない)」と呼ばれる制圧手法や効果的なマスコミ対応を、自衛隊が在日米海兵隊から学んでいたことがうかがえる。
なぜ、こうした訓練が自衛隊に必要なのか。その背景には、01年10月の自衛隊法改正がある。99年の北朝鮮工作船の日本領海侵犯事件、01年の米同時多発テロを受け、同法は改正された。これによって、在日米軍基地の自衛隊による警護が可能になった。
海外での有事が国内に波及し、テロリストらが米軍基地や自衛隊駐屯地を襲撃した場合、銃器を用いずにどのように制圧するか。殺害せずに、制圧するという現実味のある具体的な訓練を、自衛隊は対策の一つとして学ぶ必要に迫られた。また、米軍側も基地防衛の一端を自衛隊に任せる可能性があり、より実戦的な手段を教える必要があった。流出資料は、テロ後の自衛隊の現状と、米軍と自衛隊の緊密化を浮き彫りにしたといえる。【反田昌平】
毎日新聞 2006年5月8日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060508k0000m040127000c.html