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米の利益前面に
在日米軍再編最終報告
日米両政府が正式決定した在日米軍再編の最終報告は、「新たな段階」に入る日米同盟の「設計図」になる。日本政府は再編協議で(1)在日米軍の抑止力の維持(2)沖縄を中心とする基地負担の軽減−の両立を主張してきたが、はたして最終報告に反映されたのだろうか。
(ワシントンで、政治部・梶雅一)
■安保逸脱も
再編協議で米側が最も重視したのは、陸軍新司令部のキャンプ座間(神奈川県)への配置だった。
ワシントン州に司令部がある陸軍第一軍団を、機動力を強化して再編し、司令部は太平洋エリアを管轄する。座間には、陸上自衛隊の精鋭部隊・中央即応集団の司令部も同居し、日米の一大司令拠点とする−というのが米軍のシナリオだ。
新司令部が中東などの部隊を指揮する場合、日米安保条約の「極東条項」に抵触する恐れがあるため、当初は外務省が座間への配置に難色を示した。だが、極東以外の部隊を指揮する場合は、現地に別の司令部をつくることにし、外務省も座間配置を受け入れた。
ただ、最終報告が仕上がった今も、新司令部が配下に収める実戦部隊の性格や規模は不明だ。将来、在韓米軍が縮小され、朝鮮半島有事で座間が司令塔になる可能性もあるのに、日米両政府は口をつぐんだままだ。
抑止力維持と負担軽減を両立させる「妙案」が、米軍と自衛隊の共同訓練や基地の共同使用だ。
将来の対テロ作戦や周辺事態をにらんで連携行動の練度を上げる一方、沖縄に集中する米軍の訓練を本土に分散させる一石二鳥の狙いもある。「陸」は自衛隊がキャンプ・ハンセンで訓練を行い、「空」は嘉手納の米軍戦闘機訓練を本土の空自基地に分散することが最終報告に盛り込まれた。こうした訓練の使用武器なども含めた実施計画がどこまで公開されるかは未知数だ。
国民があずかり知らぬところで、日米両軍の一体化が進んでいく。
■「米の都合」
負担軽減策の目玉は、在沖縄海兵隊のグアム移転だ。司令部や管理部門など兵員八千人、家族を含めて一万七千人が移ることで、沖縄での駐留規模は現在の半分以下になる。
日本の要請に米側が折れたかのように見えるが、沖縄県が要望してきた実戦部隊の新兵が移転するわけではない。逆に、米側からすると、実戦部隊の東アジアへの展開はこれまで通りで問題はない。
一方で、グアムは海、空軍ともに一大戦略拠点化が進むことになる。北朝鮮のミサイルや戦闘機の届かぬ距離に加え、共同訓練を行うオーストラリアにも近く、戦略拠点として立地は抜群だ。
「日本への譲歩というより、米側の都合で移転するだけ」(自民党幹部)と見るのが自然。最終報告は、米側の利益の方が前面に出ている。
しかも、最終報告は「全体的なパッケージの中で、沖縄に関連する再編案は、相互に結びついている」と指摘。そのうえで、海兵隊のグアム移転の実現は、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設となるキャンプ・シュワブ(同県名護市)の沿岸部の新基地建設とともに、移転経費をめぐる「日本の資金的貢献に懸かっている」とくぎを刺している。
その普天間移設先の新基地は、ほかの再編と同じく八年後の二〇一四年が完成目標。しかし、基地反対派の海上抗議運動にさらされ、工事が遅れることも想定される。
「資金的貢献」でも、米側が暴露した三兆円という日本側負担の「途方もない金額」(安倍晋三官房長官)は、国民一人当たり約二万三千円の負担に相当する。
このほかに、日本は年間六千億円の米軍駐留経費も負担している。同盟の代償としてのしかかる重荷に、国民の理解は得られるのだろうか。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060502/mng_____kakushin000.shtml