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2006年5月2日(火) 夕刊 1・5面
知事、2本案を拒否/米軍再編最終報告
在日米軍再編の最終報告を受け、稲嶺恵一知事は二日午前、県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場の移設先として名護市キャンプ・シュワブ沿岸部にV字形の滑走路二本を建設する案について「従来の県のスタンスを大事にしたい」と述べ、拒否の意向を表明した。その上で、普天間飛行場のヘリの危険性除去については「原点の問題として常に頭から離れたことはない」と強調。四日に予定される北原巌男防衛施設庁長官との面談後、具体的な考えを表明する考えを示した。
従来の県のスタンスを大事にしたいとの発言は「堅持」から変化したのか、との質問に、稲嶺知事は「変化はないが、いろいろな状況によって、どうするかは四日に対応したい」と述べた。
その上で「これまでの経緯と(最終報告という)新たな状況の中で整合性のある対応をとるということだ」と説明。「いろいろな状況を加味しながら進める」と述べ、滑走路二本案に対し、普天間飛行場の危険性除去の観点から政府に提言する考えを示唆した。
普天間飛行場のヘリの危険性除去の緊急的措置のため、キャンプ・シュワブ陸上部に暫定的にヘリパッドを整備する案については「四日に政府の説明を受けてから考えを示す」とし、明言を避けた。
一方、グアムへの在沖海兵隊司令部移転などについては「県が米軍再編に対して要望していたことが、形として現れたものについては評価したいと思っている」と歓迎の意向をにじませた。
稲嶺知事は会見に先立ち、県庁内で臨時の三役会議を開き、対応を協議した。
◇ ◇ ◇
知事会見わずか8分
「細かく話ができる段階ではない」。米軍再編最終報告への対応が注目される稲嶺恵一知事は、五十人以上の報道陣の質問を振り切って退席した。二日午前、わずか八分半で打ち切られた会見で、「(最終的な評価は)四日に」と八回、繰り返した。
「政府から正式に説明を受けて」と、あくまで手順にこだわる稲嶺知事。言葉を選ぶようにゆっくりと話した。「従来の県のスタンスを大事にしたい」とも。「『スタンスの堅持』から(柔軟な姿勢に)変化したのではないか」と質問が飛ぶと、「いや別に」とやや憮然とした表情になった。
稲嶺知事はこの日、午前十時前に登庁。記者会見に臨む気持ちを問われ、「まだきょうは正式なコメントではないから」と冷静に答えた。
「負担増」県民反発/「米追従」政府を批判
基地の国外移転求める
「本当に負担軽減ができるのか」「日本政府は米国の言いなりだ」「県民にとっては新たな負担でしかない」。日米両政府が合意した在日米軍再編に、県民からは「負担軽減」の実現性に対する疑問、地元の頭越しに協議を進めた日本政府への不信、自衛隊の共同使用への不安などの声が相次いだ。
宜野湾市の会社員、前田光さん(28)は「普天間飛行場の名護移設や、嘉手納基地の戦闘機分散移転は結局、国内でのたらい回しだ」と反発。「グアムに旅行した時、現地の人は大歓迎していて驚いた。狭い日本に基地を押し込めるより、歓迎される外国に移設するべきだ」と国外移設を求める。
同市の会社員、新城康邦さん(33)も「基地が残ることには反対。やるならば県外移転や一部返還ではなく、全面的に国外に移転すべきだ。土地が返還されれば、那覇の新都心のように活性化させ、雇用も増やせると思う」と要望した。
ゼロ歳の乳児を持つ名護市の主婦照屋理恵さん(28)は普天間代替施設について、「嘉手納や普天間の現状を聞くと、騒音が心配。子どもの成長に悪い影響を与えるのではないか。できれば米国に引き揚げてほしい」と表情を曇らせた。
民意を置き去りにしたこれまでの協議経緯から、日本政府に対して厳しい意見が相次いだ。
八重瀬町の自営業、浦崎利弘さん(64)は「辺野古の普天間代替施設は県民の多くが反対しているのに、米軍再編に盛り込まれ、日本政府は米国の言いなりになっているようなもんだ」と批判した。
那覇市の会社員、金城博明さん(34)も「今回の再編協議はすべて米国の望むままに決められ、それに日本政府が追従しただけのような気がする」と指摘、「自衛隊も基地を共同で使用できるようになるなど、県民にとっては新たな負担でしかない。稲嶺知事は、新沿岸案に最後まで反対してほしい」と話した。
巨額の移転費の日本負担にはさまざまな見方。那覇市の主婦、儀間清子さん(55)は「平和で、二度と戦争を起こさないためには、全面返還がいい。グアムへの移転費を負担するのは仕方ないと思う」。一方で、読谷村の会社員、池原美架子さん(33)は「庶民への増税という形ではね返ってこないか気になる」と懸念した。
首相と会談調整/大型連休明けにも
訪米中の額賀福志郎防衛庁長官は一日深夜(日本時間二日)、同行記者団と懇談し、米軍再編をめぐり大型連休明けにも稲嶺恵一知事と会談、その際に知事と小泉純一郎首相の会談も調整する考えを示した。
額賀長官は「連休明け早々に稲嶺知事とお会いしたい。その後に小泉純一郎首相とも会っていただきたい」と述べ、稲嶺知事との会談で米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設を含めた最終報告に理解を求める意欲を強調した。
1800メートル滑走路「極めて遺憾」/名護市長
政府に短縮求める
島袋吉和名護市長は二日午前、市役所で記者会見し、米軍再編最終報告で普天間飛行場代替施設の滑走路二本をそれぞれ千六百メートル、オーバーラン(緩衝地帯)を含め千八百メートルとすることで日米が合意したことに「極めて遺憾だ」と批判した。
島袋市長は「軍専用施設ということであればSACO(日米特別行動委員会)最終報告の範囲とすることを強く要望してきた。今回の合意は極めて遺憾だ」と反発。滑走路千三百メートル(全長千五百メートル)への短縮を、今後政府との協議の中で求める考えを示した。
キャンプ・ハンセンの米軍と自衛隊との共同使用について「これ以上の基地負担の増大は容認できない」と強調した。
「普天間の危険放置」/宜野湾市長
伊波洋一宜野湾市長は二日午前、市役所で記者会見し、日米が合意した米軍再編の最終報告について「騒音や墜落の危険除去に何一つ触れず、返還時期を明示しなかったことは、市民が日常的に受けている危険性を放置するものだ」と批判。県内移設ではなく、普天間飛行場の海外分散による二〇〇八年までの閉鎖・返還を日米両政府に強く求めた。
伊波市長は普天間における四月の訓練の激しさに言及。「普天間の危険性は極限状態に達している」と指摘。その上で「現状では、墜落事故が再現される可能性が大きい。墜落の危険や恐怖から、一日も早く市民を解放するべきだ」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200605021700_01.html