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□ベルギー人活動家が語る「イラク分割は内戦から始まる」/アラビア・ニュース
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ベルギー人活動家が語る「イラク分割は内戦から始まる」/アラビア・ニュース
イラク・パトロールが2003年12月21日以来3回も掲載した重要論文がある。ベルギーの反米国・反イスラエル活動家ミッシェル・コロン(後述)が「分派的内戦無くして国土の分割は不可能」と題したもので、ユーゴスラビアでの体験に照らして、イラクで内戦が起きると2年4ヶ月前に鋭く分析、予測している。
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2003年11月25日付のニューヨーク・タイムズ紙は、米中央情報局(CIA)と米国務省の高官や米国多国籍企業の実力者により構成され、理論や戦略を構築するシンク・タンク、外交関係評議会(CFR)の代表を最近まで勤めていたレズリー・ゲルブの署名入り論文を掲載した。
ゲルブの計画は、イラクを3つの州(クルド人に北部、スンナ派に中部、シーア派に南部)に分割するもので、資金と兵員を最も効果があり安全な場所に配置するのが目的だ。それによりクルド人とシーア派と共に米軍は、バグダードから北方及び西方の所謂スンナ派三角地域から撤退できることになる。また米国は、スンナ派に石油も歳入も無い状態を押し付けるのだ。要するに、スンナ派は常に米帝国主義に対する抵抗運動の先兵であったから、バグダード周辺の中部州を締め上げるのだ。
実際のところイラクの分割は古くからイスラエルの夢であった。1982年イスラエル外務省の高官であったオーディード・ヤーヌーンは「我々にとって近いうちにイラクを粉砕することはシリアの粉砕よりも重要だ。イラクの力こそがイスラエルにとって最大の脅威となっており、イラン・イラク戦争はイラクを粉砕し、その崩壊を早めた。アラブのどんな内部闘争も我々にとって有効で、イラクを相互に争う細片に分裂させるという我々の目的達成を早める」と述べた。
再び民族浄化が行われるのか? ゲルプはイラクを粉砕し、同時にクルド人が大多数の北部と、シーア派が優勢な南部を自治領域に変えようとしている。しかし、この計画がユーゴスラビアで実行に移された時、内戦と流血の事態を引き起こしたのではなかったか? その理由は、あの国の各紛争地域には、それぞれ重要な少数民族が居住しており、一部の居住民を強制追放せずに、国を分割するのは到底無理だったからだ。
このことこそが、ドイツ政府が、次に米国政府が過激な人種差別主義者たちに陰で資金や武器をを出した理由だ。ベルリンの壁崩壊後に新自由政策に従わせるために、国際通貨基金と世銀がユーゴスラビアを破産状態にさせることに貢献したことに加えて、このことが内戦へ向かわせる地ならしをしたのだ。
丁度ユーゴスラビアを構成していた全民族は現在、以前には見られなかった災難と失業に苦しんでいるという事実が隠されたように、多国籍企業が国富の略奪に狂奔する中、これらの事実は全て大衆からは隠蔽された。
イラクでも、3大グループはそれぞれの専用地域にのみ居住しているのではなく、全土に重なり合って混住している。ゲルプが熟知しているように、イラクで再度このような戦略を始めると、深刻な人種紛争、いや分派間の戦争をも引き起こす可能性が最も高い。
従って、イラク中部州は、特にバグダードのクルド人やシーア派など、恐らく中部に居住する(スンナ派以外の)少数派を処罰しよう。従って彼らにはこのような事態に対処するか南北に移住するために十分な猶予が与えられる必要がある。この手法は、数百万人のイラク人を生まれ住んだ土地から強制的に追放することを意味するが、米国に植民地主義的な覇権を保障する限り、ゲルプは問題視していない。
ゲルプは「ユーゴスラビアでの内戦は自由市場政策に反対する国の分裂への道を開いたから、米国の大成功」と見ているというのが真実だ。
「民族別の州」(同一民族同士で構成される州の集合体)理論、、、、。それどころかゲルプは明確に、ユーゴスラビアは希望の見本だと指摘するのだ。不思議ではないか? 米国があの国に介入する理由は人種浄化を止めるためだと、彼らは主張したのではなかったか? とんでもない。ワシントンの利益に貢献するなら「民族別の州」政策は悪くは無い、とゲルプは認めているのだ。
ゲルプが「本来の州」と呼ぶこれらの民族別の州を賞賛しながら、ユーゴスラビアを再統一したという理由でチトー元大統領を彼は非難する。彼は同じ理由でイラクが人口国家だと主張し、過激派右派が採用した古い理論を持ち出すのだ。民族別の州に関する彼の理論は、「一つの民族、一つの帝国、一人の総統」というヒットラーの理論と相似している。
これはアラブ民族を一掃したイスラエルを夢見るシオニストたちが構築した理論だ。ユーゴスラビアではこれこそが、米国政策の支持者が固執した理論である。奇妙なのは、米国が過去に反対してきた理論を現在、賞賛していることだ。
事実は、他の全ての植民地国家と同様に米国は、どちらが自国の戦略的利益と一致するようかで、「民族別の州」政策に賛成するか、反対するかを決めるのだ。米国にとって重要なのは、諸民族を統治するために、抵抗勢力の活力を奪い分割することだ。
米国に先立ち英国は、アイルランドやインド、パキスタンなどの分割を注意深く手掛けてきた。戦略家のブレジェンスキーは、モスクワを産油地帯から切り裂くためにロシアの3分割を提唱している。また米中央情報局(CIA)は、サウジアラビアを分割するための特殊計画を持っている。
欧州連合(EU)と米国の巨大な経済・政治機構が統合・吸収されつつあるこの時代に、同じスーパー・パワーが、西側の植民地的覇権に反抗する他国をバルカン化(分割)しようと動いているのだ。
米国の外交政策を引導する基本原理は無い。米国は民族浄化に反対だとある日言い張るかも知れないが、別の日には完璧な口実を用意して民族浄化を立案、実行するのだ。
過去において米国は、トルコのクルド人にファシストのトルコ将軍たちが率いるトルコ国家領内に留まるよう強制した。現在、民族自決原則という口実の元に、クルド人に国家(事実は実権を持たない傀儡国家)を与えようとしている。米国は、世界中に民主主義を普及させると主張するが、このような例では、米国の利益になる限り「民族別の」小国家群設立のためにはファシズム的理論を採用するのだ。
『この理論が世界中に輸出される危険性』
この嘘っぱちの理論の危険性はイラクやユーゴスラビアだけではない。今日地球上の大部分の国は、多民族国家である。諸民族の賢者たちは、この文化的、文明的多様性を富と見なすが、「民族別の領土」理論を適用するなら、米国は自国の覇権に反抗するいかなる多民族国家をも細分化しようとするだろう。
そのために米国は何度も、国際法や国家の主権を無視するのだ。不運なことに西側諸国の左派勢力の多くが支持した、米国がユーゴスラビアやアフガニスタンで犯したことを再度実行する準備を米国はしている。ユーゴスラビアやアフガニスタン問題で、左派勢力と米国の利害が一致したことを認識し、暴露する時が来た。
『結論:内戦無くして分割は不可能』
イラクの人口:2300万人(米国がイラクの全戸籍を焼却した現在、公式統計は無い)【訳注:2700万人説もある】 以下の3大分派で構成される。
シーア派:55-65% 大部分は南部に居住
スンナ派:20-25% 大部分は(バグダードからモスルの間の)中部に居住
クルド人:20% 大部分はスンナ派で北部に居住
他の少数民族:5% トルクメン、キリスト教徒など
【訳注:スンナ派は自分たちが最大宗派だと遠慮がちに主張している】
しかし、一つの集団だけが特定地域に居住しているわけではない。少なくとも百万人のクルド人がバグダードやバスラなど、クルディスタン以外に居住している。百万人以上のシーア派がバグダードに住んでいる。一部のスンナ派がな南部に生活している。一部のアラブ人(スンナ派)がクルディスタンに住んでいる。
よって、分派間の内戦と民族浄化無しには、イラクの細分化は不可能である。特に米国は過去20年間に渡り闘争を扇動し、一部の少数派指導者たちに細分化を支持させるために、あらゆる努力を払ってきたのだ。正に、これこそユーゴスラビアで起きたことだ。
結論。米国にイラク分割が許されたら、上記3地域の少数派住民が民族浄化の標的になろう。あらゆる方法で内紛を扇動した後、米国が基地を建設したコソボで起きたように、その後ブッシュは、「少数派住民を保護するために米軍の駐留を継続せざるを得ない」と言い出すだろう。民族浄化を実行する犯罪集団を護るために米国はイラクに居座るだろう。【イラク・パトロールの補足:米国の巨大企業がイラクの資源を食い尽くすまで居座る】
http://www.iraqpatrol.com/php/index.php?showtopic=14276
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著者のベルギー人著述家ミッシェル・コロンは、米国やシオニストの覇権に反対する活動家で、1991年の第一次湾岸戦争に「おける報道誤導を扱った「報道に注意!」や2001年出版の「ユーゴスラビアと未来戦争」など重要著作多数。著書や論文のほかに記録映画も製作している。
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