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(回答先: メキシコシティの世界水フォーラム 【北沢洋子の国際情報】 投稿者 World Watcher 日時 2006 年 4 月 02 日 13:35:44)
以下、AMネットのメルマガより。
第4回世界水フォーラムからの最終報告<vol.7>
堀内葵 AMネット
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2003年3月に京都・大阪・滋賀で開催された第3回世界水フォーラム
を受け、2006年3月メキシコシティで第4回目のフォーラムが開かれました。
そもそも、この世界水フォーラムとは、世界中の水問題を研究する
シンクタンクである「世界水会議」が、各国政府や国際機関の協力のもと、
3年に一度開催している国際会議のことで、第1回目は1997年にモロッコ
・マラケシュで開かれました(第2回は2000年オランダ・ハーグ)。
水問題と一口に言っても、その内実は幅広く、
地震・津波・火災・干ばつ・飢饉などの天災による水不足や、戦争・紛争・
経済制裁など人為的理由によって水サービスが供給されていない問題、
都市開発や経済発展などが引き起こす海洋汚染・水質汚濁・地下水の
枯渇などの環境問題、交通や物流・リクリエーションなど水の文化の保護と
推進、そして上下水道の民営化をどうするのか(推進するのか、それとも、
その悪影響を理由に反対するのか)と、様々です。
1万2千人を超えるほどの参加者だそうです。
今回の世界水フォーラムは、3月16日から22日までの7日間にわた
って開催され、毎日異なったテーマに沿って分科会が11の部屋に分か
れて企画されます。2時間の分科会が午前2本、午後2本です。
フォーラムの会期中、最後の2日間は閣僚たちによる会議が開かれ、
最終日の閉会式前には閣僚宣言が出されました。
分科会と並行して、世界各地から政府機関や企業、NGOらがブースを
設置してそれぞれのパンフレットを置いたり、パネル掲示をしたり、担当者と
話ができたりするエキスポも開かれています。
3月22日に発表された閣僚宣言では、国連ミレニアム目標を達成する
ために安全な水供給や環境問題に対して各国政府や国際機関が努力
すること、政府だけではなく民間企業やNGOなど各セクターの意見も取り
入れること、水サービスに関しては政府が主要な役割を担うことなどが
確認されました。
この世界水フォーラムに参加するためには事前登録が必要で、参加
費用を支払って写真付きのIDを受け取らなければなりません。
この参加費が高額であることが発展途上国の人々の参加を妨げている
と、京都でのフォーラムで問題になりました。今回は、やはり参加費は
高いものの、発展途上国からの参加者は割引があったり、NGOとしての
参加には割引が適用されました。広い会場を歩いていると、メキシコに
近い中南米からの参加者が多くいたような気がします。
メキシコ行きの目的はもう一つあり、それはNGOや農民団体、労働者
たちによる「もうひとつの水フォーラム」である「水を守るための国際フォ
ーラム(IFDW)」に参加することでした。
「世界水フォーラムは世界銀行や大規模な多国籍企業が仕切っており、
市民社会の声を反映していない。地域・現場で起こっている問題を表明
し共有していこう」というのがIFDWの趣旨です。
こちらのフォーラムは当日でもすぐに登録でき、誰もが参加できる場でした。
中南米の農民や、フィリピン・カンボジアなどアジア諸国からの参加者、
イギリス・カナダ・ドイツなどのNGO関係者らがいました。IFDWは3月17日
から3日間開催され、それぞれの分科会では水の民営化の問題やボトル
詰めの水を売る企業が地元民や土地に引き起こす問題など、多様なテーマ
が設けられました。
このフォーラムの主導的役割を果たしたNGOのカナダ人評議会やブルー
プラネットプロジェクトの人々は、世界水フォーラムでも分科会を開催し、
「すべての人に安全な水を!水の民営化に反対、公営水道を整備する
必要性」などを訴えました。この分科会の前には世界水フォーラムの会場内
でIFDWの参加者たちとともに、デモ行進を繰り広げました。
このように市民社会からの発言が相次いでいますが、その声は時には衝突
も引き起こします。3月16日にはメキシコ市内をデモ行進していた人々と警察・
セキュリティーが衝突し、パトカーの破壊に対抗して警察がホースで圧力水を
まくなど騒ぎが起こりました。
全体を通して感じたことは、世界各地の事例をもっと詳しく知る必要性と、
それらは同じ問題であると認識すること、それによって連帯が可能であり、
異議申し立ての機会も生まれるということです。
ここには書きませんでしたが、「多国籍企業」と漠然と言うのではなく、具体
的な企業名や国際組織名を挙げて問題提起をする人々がほとんどでした。
これに対し、世界水フォーラムの政府関係者や国際組織の発表では「危機
管理が必要だ。ハリケーンや津波でこれだけ(何億ドル)の被害が出た。
対策を練る必要がある」といったようにかなり抽象的な話ばかりでした。
そこには利害を数字で計ろうとする思考があり、日々の生活が脅かされて
いる人々の方向を向いていないのではないか、と思いました。
具体性を持って問題に迫ることの重要さを感じました。
これでメールマガジンでの報告を終わります。より詳しい報告書を現在執筆中です。
最後になりましたが、世界水フォーラム市民ネットワークのおかげで、メキシコ
にまで行き調査をすることができました。関係者のみなさまに深くお礼を申し
上げます。
第4回世界水フォーラム閣僚宣言(仮訳)はこちらでご覧になれます。
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=7886&hou_id=6981
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<編集後記>第3回WWFでは、民営化推進の思惑が見える閣僚宣言
だったが、今回は政府の責任でとされた。効率がよくなるとされる民営化に、
それと相反する世界中の事例から、AMネットだけでなく、多くのNGOが
民営化に反対していた。それがどこまで功を奏したのか、どこまで守られる
かは分からないが、とりあえず嬉しい、と喜んでおこう♪(た)
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AMネット通信は、
経済のグローバリゼーションが引き起こす問題に取り組むNGO、
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を目指しています。
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http://www1.mesh.ne.jp/~apec-ngo
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第4回世界水フォーラムが、メキシコで22日で閉幕しました。
最後まで、日本のメディアでは皇太子さま関連のニュースくらいしか
報道されずじまいでしたが、22日閣僚宣言が採択され、水の民営化
については、今回は慎重な方向に向かったといわれています。
第3回の水の民営化問題については、こちらをご覧ください☆
http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/water/water-pr.htm
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