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(回答先: フランシス=フクヤマが講演会で「最近のネオコン」や「現ブッシュ政権」を批判、今後の米国を予測-地政学を英国で学ぶ- 投稿者 愛国心を主張する者ほど売国奴 日時 2006 年 3 月 26 日 10:13:25)
フクヤマの質疑応答
今日のイギリス南西部は一日中曇り空で、午後には小雨が。なんともさびしい一日でした。気温が上がり始めているのが唯一の救いです。
さて、昨日のフクヤマの講演の続きを。
質疑応答の時間になると、司会者がさっそく希望者を募り始めました。フクヤマの講義は20分きっかりに終わりましたので、質問時間はたっぷりあります。
私が記録している限りでは八つほど質問がでまして、フクヤマはそれぞれ的確な答えをしておりました。個人的には講演よりも質疑応答のほうが面白かったです。
この中でもまず注目だったのは「イラン問題」について。
フクヤマにとってイラン問題の解決法は三つあり、それぞれ挙げると、
1、軍事力による強制的政権交代
2、国連安保理による制裁
3、ライスの提唱するような平和的な政権交代
ということになります。もちろんフクヤマは1の軍事力によるのはもう無理だと判断しており、やはりライスのような(リアリスト的な)和平的なプロセスがよいと考えているらしいです。
次に面白かった質問は、年をとったおばさんがした「ネオコン=ユダヤ人・イスラエル問題」
フクヤマはこれについて本の中でも一章使って書くつもりだったらしいのですが、結局はやめたといっておりました。
まず彼はクラウトハマーの例を出して、「ネオコンはたしかにイスラエル右派の外交政策を自分の中で思想化してしまっている」という指摘。
その他にもイスラエルロビーの弊害などをさらっと触れておりましたが、どうも歯切れの悪い印象。今回のミアシャイマー・ウォルトみたいな直接的な批判は行っておりません。
アメリカがイラク侵攻をしたのはイラクのオイルを狙っていたからではないか?という質問には、たしかにそれもあるかも知れないが、それよりも9・11のミスのおかげでインテリジェンスに関してブッシュ政権が必要以上に敏感になっており、そこで脅威を感じすぎてしまって侵攻した、という独自の分析を披露。
そのほかにはラテンアメリカが今回のテロさわぎで一番の政治的な犠牲者であることや、クリストルに誘われてPNACの定義書にサインしたことを後悔していること、また前著の関係から「民主制が根付く前に、まずはステートビルディングのほうが重要だ」ということなどを強調しておりました。
また、私が面白いと思ったのは、まさに上映中の映画『シリアナ』を思わせるような、「中東には石油を抜いたらリー・クワンユーがいない」という発言や、「歴史の終わりの新版を出す」という話、また「ナショナル・インタレスト誌よりもアメリカン・インタレスト誌のほうがはるかによい!」、「アメリカ軍は国連軍の青いヘルメットを、あと何万年たってもかぶらない」などという発言でした。
この講演を聞いての私の感想ですが、フクヤマの強みはフランス語の文献が読めること(デリダとクラスメート)、核戦略から哲学まで、かなり広範囲な知識を持っていることでしょうか。事実、フランス語で書かれた書物からの引用をかなり出しておりました。
結局のところ、フクヤマがこの講演で言いたかったのは、だいたい以下のようになります。
1、民主化は軍事力でムリヤリ押し付けちゃだめ!
2、まず国家を建設することのほうが民主化よりも大切。
3、民主化には時間がかかる。
4、ネオコンじゃなくて、ネオリベラルでいけ。
以上です。
http://geopoli.exblog.jp/d2006-03-27