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□イラクもブログ時代に突入 意見発表、情報収集で活躍 [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1749591/detail
イラクもブログ時代に突入 意見発表、情報収集で活躍
【アルジャジーラ特約3日】イスラム教内の抗争から内戦状態に陥っているイラクで今、個人が情報の発信源となり、幅広い情報が飛び交う「ブログ」が盛んに活用されている。「ブログ」の性格上、情報の発信・入手は国内にとどまらず、国外にも広がり、多様な意見の交換がなされている。
中でも、イスラム教のシーア派とスンニ派との対決が激化、テロ事件などが発生するたびに、「ブログ」を通じ、国内外から西側メディアなどが報じない情報も流されているという。
そうした「ブログ」を持つイラク人のサラム・アディルさん(38)は現在、英国に住み、「英BBC放送や当地の新聞が伝えるイラク情報をブログ情報と比較してみると、全く違う世界が見えてくる。西側メディアは別世界の報道機関のように思えてしまう」と話している。
特に、イスラム教シーア派の聖地サマラでアスカリ聖堂が爆破されたのを機に、イラク政府は首都バグダッドなどに外出禁止令を出したことで、西側メディアからの一般市民、その生活に関する情報は極めて少なくなった。
この情報不足を補っているのが「ブログ」で、バグダッドをはじめとする各地の「ブログ」からは「近くで衝突が起きている」などの情報が流れてくる。
バグダッド在住のスンニ派教徒のゼヤドさん(27)は自身の「ブログ」を通じ、「自宅前で今、銃撃戦が展開されている」と発信、「銃撃戦はすでに3時間にも及び、近所に伝わる情報では、黒装束の集団がこの地区への侵入を図っている。銃を手にした子どもたちがモスク(イスラム教礼拝所)に立てこもり、動くものすべてに銃弾を浴びせ、同時に、住民に彼らに協力しモスクを死守するよう呼び掛けている。外出禁止令は全く守られていない」と緊迫した状況を伝えている。
外国メディアで働くジャーナリストが持つ「ブログ、バグダッド・トレジャー」も厳しい状況を「銃撃、爆発が近所で続いている。生きた心地がしない。これは戦争だ。もう十分だ」などと現在進行形で身近に起きている出来事を発信している。
続けて、「イラクには平和も民主政治も期待できない。自由、危険よりも圧政でも安全な生活を欲しい。自由、民主政治のスローガンはもううんざりだ」と悲痛な叫びも挙げている。
イラクで「ブログ」の先駆けとなったのは、イラク戦争を直前に控えた2003年に出来た「サラム・パックス」だった。これを開いた建築家は同ブログを通して、米軍侵略前のバグダッド情勢、市民生活の「今」を伝えた。
「パックス」の運営者は「ブログを通じ情報交換が可能。今起きていることに関し、意見交換もできる」とブログの役割と重要性を強調している。
同ブログの成功に刺激されて登場したのが「リバーベンド」。26歳のイラク人女性が開いたこのブログは女性からの視点、意見などを掲載して注目を集めている。その内容は一冊の本にまとめられ、賞まで贈られた。
「シーア、スンニ両派はここ数日、大同を目指して団結しようとしている。それを成し遂げようとしているのは両派の聖職者、指導者たちではなく一般の教徒たちだ。私の近所には両派教徒が入り混じって暮らし、どの教徒も聖廟への爆破、モスクの破壊に怒りの声を上げている」と伝えている。
「自由への24歩」と名乗る「ブログ」は「暴力の嵐が吹き荒れているが、イラク国民はそれでも希望を失ってはならない」と国民を鼓舞、同時に外国メディアがイラク国民の真実を伝えていないと批判している。
1994年にイラクを出て、現在米テキサス州に住むキリスト教徒のイラク人女性もブログを開設し、在米イラク人たちとの意見交換の場として活用している。
この女性は「ブログこそがイラク人社会の現実を伝えている。さまざまな意見が寄せられている」と話す。
ブログがこうした真剣な意見交換などの場として活用されているほか、裏情報や皮肉のある話を紹介するブログもある。「ハンモラビ」がそれに当たり、「シーア派のアスカリ聖廟爆破はサウジアラビアのワッハーブ派のテロ行為」との内容を伝えた。
また、「フリー・イラク」は「現在の暴力を、自らの利益しか考えない政治家たちの責任で、民族と自宗派にこり固まっている」と痛烈に非難している。
イラクには現在、約200のブログが作られ、そのほとんどは豪州人女性が運営する「イラク・ブログ・カウント」に載っている。
こうしたブログ流行について、サラム・パックスは「ブログが世界を変えるとは思わないが、情報の発信、意見交換の場として役立つ」とし、今後もブログを通じた相互理解の促進に期待を寄せている。(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
2006年03月03日14時09分