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米兵といると殺される----この声に耳を傾ける
http://luxemburg.exblog.jp/d2006-03-10
どういう話だったか忘れたけど、昔話のひとつだろう。
確か、海辺の村に住むおばあさんが、毎日丘を登るのを日課にしていた。丘の頂上に像があって、その像が涙を流していたら大津波が来る、とおばあさんは信じており、村人にその危険を知らせるために毎日像を見に丘に登っていたのだ。ある日誰かが、いたずらでその像の目のところに血をつけて、血の涙を流しているように細工したところ、おばあさんが騒ぎ出した。「大変じゃ、大津波が来るぞ」と。しかし、もちろん村の人たちはそのおばあさんが変なことをいつも言っていると相手にしない。そして実際に大津波が来る、という話だった。
こういう話は、たいてい何らかの経験に基づいていて、人間が本当の創作をすることはまずめったにないだろう。
実際には、誰かが像に細工したからといって天災が訪れることはありえない。半分冗談で、「勇気ある」若者がふざけているうちに、人災が訪れたのだろう。
「やめろ、そんなことをしたら隣の部族だって怒る、冗談でもそういう挑発をするな」
「ふん、あいつら腰抜けなんだ、たいしたことないよ。それに何かあったって神に選ばれたわが部族が即座に勝利を収める」・・・・
日本人は戦争でも何でも避けられなかった天災のように考えたがり、悪くなかった、という話にしたがる。しかし、昔話の作者はその真実も見抜いていたのではないか。このおばあさんのように真実を語った人がて、人がそれにどう反応し、その顛末がどうだったか、それを人々は伝えたかったのではないかと思う。
その時代において、真実を語る人を探したいなら方法は簡単だ、みなが後ろ指さす人の話を聞けばよい、というのは極端だろうか。
イラクから帰還した自衛隊員が3人(註:実は5人)も自殺しているというニュースがあった。そのうちの一人は、日米軍事演習の時期に、彼ら(米兵)といると殺される、と騒ぎ出したことがあるという。自殺した自衛隊員の知人は「イラクでテロの巻き添えを避けるため、『米軍に近づくな』と言われていたのがトラウマになったのかもしれない」と話す。
派遣隊員の中で自殺未遂で入院したり、不眠症などで職場に復帰できなかったりするケースも報告され、帰国隊員を抱えるある師団では「数十人が似た症状を訴え、2人が職場復帰できていない」(幹部)という(3/10のasahi.comより)。
トラウマ、ノイローゼ、いろいろ言われるだろう、というか、そう片付けられるだろう。
米兵といると殺される・・・考えてみたら、イラクでなくなった香田さん、最終的に助かってよかったが、3人の人質、そして日本の外交官たち。この騒いだという自衛隊員が本当のことを言っているだけではないのか。
どんな組織でもそうだが自衛隊の人たちもある程度情報が遮断された中ですごしていることだろう。しかし、おばあさんが像の目という一点から村の将来を見通したように、イラクの空気を肌で感じるという小さな窓から真実を垣間見ることがあるのではないか、なんだかそう思えて仕方がない。
憲法改正をすれば、自衛隊は「日本は9条があるから非戦闘地域に」という壁すらなくなる。この自殺した自衛隊員たちの訴えに耳を傾けなければ村全体が水没する、私たちはいま血の涙を見ているのではないのか。おばあちゃんっ子であった私にはそう思えてならない。