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【東京大空襲】 われわれはアメリカ人を一人でも多く殺さねばならない(山田風太郎『戦中派不戦日記』より)
http://www.asyura2.com/0601/war79/msg/293.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 3 月 11 日 11:46:55: KbIx4LOvH6Ccw
 

「反米嫌日戦線」3月10日はhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480034331/249-1669821-2949136">戦中派天才老人・山田風太郎を引用して「東京大空襲」をとりあげている。

以下 http://anarchist.seesaa.net/article/14594852.html">http://anarchist.seesaa.net/article/14594852.html からの転載。

http://anarchist.up.seesaa.net/image/a1.jpg">

見よ この凄まじい光景を


三月十日(土)晴

○午前零時ごろより三時にかけ、B29約百五十機、夜間爆撃。東方の空血の如く燃え、凄惨言語に絶す。
 爆撃は下町なるに、目黒にて新聞の読めるほどなり。
山田風太郎『戦中派不戦日記』によれば、空襲された下町の生き地獄のようすは次のようであったようだ。

炎に照らされ、半狂乱で日本刀をふりまわし、B29を斬ろうとしていた青年がいた。

消防隊の人々は、炎の方へホースをむけたまま、全員不動のように燃えていた。

疎開の空き地には、何万人という避難民がのたうち回って、火の海の熱気に泣き叫んでいた。多くの人は熱気で眼を潰され、さらに多くの人は煙で窒息死した。水はどこにもなかった。運び出してきた荷物に火がついて、そばの人に燃え移った。人々はその人をつかまえて、炎の中へ突き飛ばした。そうせずにはいられなかった。

黒焦げになった屍体が、いたるところに夏の日のトカゲみたいに転がっていた。真っ黒に焼けた母親のからだの下で、赤ん坊も真っ黒に焼けていた。

火の海に追われて、人々は隅田川に飛び込んだ。しかし隅田川も燃えていた。吹き付ける炎で川の水は煮えていた。屍体はマグロのように積み重なり、川を漂っていた。

空襲の恐ろしい夜があけた午後、山田は友人の松葉と本郷に向かった。


風はまだ冷たい季節のはずなのに、むうっとするような熱風が吹いてくる。黄色い硫黄のような毒煙のたちゆらめく空に 碧い深い空に、ひょうひょうと風がうなって、まだ火のついた布や紙片がひらひらと飛んでいる。自分は歯ぎしりをするような怒りを感じた。

「こうまでしたか、奴ら!」

と思ったのである。

昨晩目黒で、この下町の炎の上を悠々と旋回しては、雨のように焼夷弾を撒いているB29の姿を自分は見ていた。おそらくきゃつらは、この下界に住んでいる者を人間仲間とは認めない、小さい黄色い猿の群とでも考えているのであろう。勿論、戦争である。敵の無差別爆撃を、天人ともに許さざるとか何とか、野暮な恨みはのべはしない。敵としては、日本人を何万人殺戮しようと、それは極めて当然である。
さらばわれわれもまたアメリカ人を幾十万人殺戮しようと、もとより当然以上である。いや、殺さねばならない。一人でも多く。
われわれは冷静になろう。冷血動物のようになって、眼には眼、歯には歯を以ってしよう。この血と涙を凍りつかせて、きゃつらを一人でも多く殺す研究をしよう。
日本人が一人死ぬのに、アメリカ人を一人地獄へひっぱっていては引き合わない。一人は三人を殺そう。二人は七人殺そう。三人は十三人殺そう。こうして全日本人が復讐の陰鬼となってこそ、この戦争に生き残り得るのだ。自分は歯を食いしばって碧空を見た。日は白く、虚しく、じっとかがやいていた。

怒りで破裂しそうな心は、国鉄水道橋駅で我に返る。


焦げた手拭を頬かむりした中年の女が二人、ぼんやりと路傍に腰を下ろしていた。風が吹いて、しょんぼりとした二人に、白い砂塵を吐きかけた。そのとき、女の一人がふと蒼空を仰いで
「ねえ……また、きっといいこともあるよ。……」
と囁いたのが聞えた。
自分の心をその一瞬、電流のようなものが流れ過ぎた。
数十年の生活を一夜に失った女ではあるまいか。子供でさえ炎に落としてきた女ではあるまいか。あの地獄のような阿鼻叫喚を十二時間前に聞いた女ではあるまいか。
それでも彼女は生きている。また、きっと、いいことがあると、もう信じようとしている。人間は生きてゆく。命の絶えるまで、望みの灯を見つめている。……この細々とした女の声は、人間なるものの「人間の讃歌」であった。


「ねえ……また、きっといいこともあるよ。……」
これこそ、すべてを失った者の邪念のない素直な本音だったのだろう。だから、殺伐とした気持ちに支配されていた山田の心に「電流のようなものが流れ過ぎた」のだ。

そして、「電流のようなものが流れ過ぎた」あの日から61年たった。

「私は日本の民間人を殺したのではない。日本の軍需工場を破壊していたのだ。日本の都市の民家は全て軍需工場だった。ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、向かいの家がワッシャを作っていた。木と紙でできた民家の一軒一軒が、全て我々を攻撃する武器の工場になっていたのだ。これをやっつけて何が悪いのか…」
第21爆撃兵団司令官 カーティス・E・ルメイ将軍

日本はこう嘯く男に勲章を与えhttp://ch.kitaguni.tv/u/5028/%C0%A4%B3%A6%B0%EC%A4%CE%A5%C6%A5%ED%B9%F1%B2%C8%A1%A1%CA%C6%C4%EB/0000149428.html">http://ch.kitaguni.tv/u/5028/%C0%A4%B3%A6%B0%EC%A4%CE%A5%C6%A5%ED%B9%F1%B2%C8%A1%A1%CA%C6%C4%EB/0000149428.html、首相は堂々と靖国神社を参拝するまでになっちまった。

あれだけ、米軍から酷い目にあっても

「ねえ……また、きっといいこともあるよ。……」

こんな言葉が繰り返され、日本人は怒りを忘れていったのだ。

愚かな国民は、いまだ、騙され続けていることに気づいてはいない。

【関連リンク】
東京大空襲http://www.ne.jp/asahi/k/m/kusyu/kuusyu.html">http://www.ne.jp/asahi/k/m/kusyu/kuusyu.html

posted by 死ぬのはやつらだ at 22:17| 東京

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