★阿修羅♪ > 戦争79 > 121.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□頑迷な国王直裁は失敗 混迷を深めるネパール国内情勢 [アルジャジーラ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1747733/detail
頑迷な国王直裁は失敗 混迷を深めるネパール国内情勢
【アルジャジーラ特約2月26日】表向きは民主主義再建ということでネパールに非常事態宣言が出されてから一年。ギャネンドラ国王(58)は内外の支持が薄れていくのを感じている。毛沢東主義者の血にまみれた反乱が始まって10年目、このヒマラヤの王国の社会・経済分野をマヒさせている中で、国王は孤立化の深まりを自覚しているのである。
ネパールにとって死活の重要性をもつ米、英、インドの同盟国が依然、同国に対する武器禁輸措置を続けているため、国王は中国、パキスタン、ロシアを新たな同盟国にしようとしている。紛争終結のために和解を呼び掛ける国際的な声を無視して、国王は「友好的な」諸国からの支援、プラス、毛沢東主義者と闘うための軍事援助を得ようと模索している。だが北京、イスラマバード、モスクワ歴訪も国王の「毛沢東主義者に対する戦争」に多くをもたらしていない。
紛争終結の試みとして、毛沢東主義反乱勢力は昨年11月、ネパールの主要7政党と同盟して12項目の合意覚書を作り上げた。また、国王に対して、新憲法のための代議制議会選挙を実施するよう呼び掛けた。代わりに武装闘争を止め、複数政党による民主主義を支持しようというもので、ネパールの一般国民や国際社会に歓迎される動きだった。
反乱勢力は4カ月間の一方的停戦すら宣言した。しかし、1月2日、停戦は破られ、反乱勢力は政府軍に対する攻撃を再開、2月中旬までに政府側に50人の死者を出した。
2月13日はネパール共産党(毛沢東主義者)が王政打倒と「人民共和国」創設を目指して軍事闘争を開始して10周年記念日だった。カトマンズ所在の人権団体インフォーマル・セクター・アービシズ・ネパール(INSEC)によると、この間のネパール人の死者は1万3000人、負傷者は数千人に及ぶ。
昨年2月の親政開始から1年目のテレビ演説で、ギャネンドラ国王は2007年4月に議会選挙を実施するという従来の計画を繰り返し、民主勢力と反乱勢力の双方をいたく失望させた。地域問題専門家は、国王は反対派と反乱勢力に対する妥協の余地を少しも残さなかったとみている。
ニューデリーのジャワハルラル・ネール大学のネパール問題専門家、ムニ博士は「今日のネパールの悲劇は、ギャネンドラ国王に明晰さがないことだ。友人としての内外の忠告に耳を貸すつもりがない。自分の墓を掘っているかのようだ」と語る。
2002年、ギャネンドラ国王は、選挙による政府を追放し、05年2月には自分の総理大臣をクビにして、親政を始めた。今年2月になって各政党は地方自治体選挙をボイコットし、投票率は有権者の20%以下だった。
対立抗争がお先真っ暗なまま、紛争に伴う損害と経済的な負荷がネパール社会に悪影響を及ぼしている。農村地域から主として流出する難民は数千人に上り、国境を超えてネパールが数千年にわたって文化的つながりを維持してきたインドに入り込んでいる。
インドでネパールの若者たちはレストランや工場、売春屈で働たり、地区の警備員になったりしている。
「反乱勢力は若い男も女もみな徴兵し、誰からも寄付金を召し上げている」。1月にラムジュン地方の村から逃げてきて、インド北部の都市ラクノウにたどり着いたハリ・ビスウォカルマ君(15)は言う。
アムネスティ・インターナショナルのアイリーン・カン事務局長は、ネパール国民は暴力をいやというほど見せつけられており、特に若者たちに影響を与えていると考えている。
「国際社会もネパールのすべての人たちも行動を急がないと、若い世代は流血と抗争のほかは何も知らずに育ってしまうでしょう」と語る。
国連人権高等弁務官事務所カトマンズ支所は昨年、開設されたが、支所長は、もし抗争が全面的に再開されると、民間人にも深刻な危険が及ぶとして、「特に毛沢東主義者共産党(CPNーM)の戦闘要員を含めて子どもたちが危険にさらされます。治安部隊の無差別の作戦行動で、空爆や場所を選ばない爆発物の敷設などが含まれます」と語った。
地域大国のインドは「情勢観望」の態度を続けているが、米国は気が短くなっているようだ。
駐ネパールのジェームズ・モリアーティ米国大使はこのほど、国王に対して政党勢力との対話を急ぐよう促し、「王宮による専制的支配の一年が成功しなかったのは明らかだ」と発言した。
同大使はまた、「私は、最近の動きとしての毛沢東主義者と諸政党との協力関係は危険を伴うものと信じます。政党自身にとっても、ネパール国民にとっても」と語った。彼が7政党に対して、毛主義者反乱勢力との「不安定な」合意から引き下がるように求めるところまで行ったのは重要である。
反乱勢力の攻撃に関連して、同大使は「毛主義者による政治的テロ、特に、地方自治体選挙での立候補者に対する残酷な仕打ちは恐るべき前兆であって、彼らのパートナーになった政党の民主的な信認を損ないかねません」と述べた。
ネパール問題専門家たちは、こうしたことを背景にして、状況はますます悪化し、さらなる流血、暴力、政治的マヒにつながっていくとみている。
政治学者でもあるロク・ラージ・バラル元駐インド大使は、どちらの側も軍事的に勝利する力を欠いているので、状況は勝負なしであることははっきりしているとし、国際社会だけがネパールの民主主義を励ますことができるが、干渉してはいけないと次のように話した。「民主主義とは内発的なものです、私たちも運動を土着化できるようにすべきです。そうして初めて持続させることができるようになるでしょう」。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)
2006年03月01日18時07分