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□インタビュー:リバーベンドさん(バグダッド在住の人気ブロッガー)|アルジャジーラ
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1834486/detail
インタビュー:リバーベンドさん(バグダッド在住の人気ブロッガー)
【アルジャジーラ特約6日】2003年3月の戦争開始以来、現在もなお混乱が続くイラク。その中、同国の厳しい現状を時にはユーモアを交えて伝え、感銘を与えているのが、首都バグダッドから発信されるブログ「バグダッド・バーニング」だ。発信しているのは26歳になるイラク人女性リバーベンドさん(ペンネーム)。掲載されたブログがこのほど、ノンフィクションに与えられる英国のサミュエル・ジョンソン賞で最終候補リスト(受賞発表・6月14日にロンドンで)に残ったのを機に、喜ぶリバーベンドさんにブログ執筆の動機、ブログの役割などについて聞いた。(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)
主な一問一答は次の通り。
―サミュエル・ジョンソン賞で最終候補リストに残ったことへの感想を聞かせてください。
「停電などでパソコンが2日間ほど使えず、先月28日にようやくメールの受信欄を開いたら、800件以上の祝電が送られていました。初めは何の祝電なのかが分かりませんでした。同リストに残ったことを祝ったくれたのだと分かり、驚きと感激に襲われています」
「実は、メール欄を開く前に、英BBC放送で『イラクのブロッガーがサミュエル・ジョンソン賞にノミネート』と聞いたのですが、他人事だと思っていました。その直後にメール欄を開いたら、多くの祝電が届いていたのです。雲の上を歩いているような気持ちになりました」
―同賞候補となったのは、あなたのブログを基に出版された本です。ブログを始めた動機は何でしたか。グログ掲載分を本の形で出版するのはあなたの考えですか。
「イラクで”ブログの父”とされるサラム・パックスさんに励まされて、ブログを始めました。パックスさんが企画したインターネット上のフォーラムに何度か参加したことが縁で、ブログ掲載を勧められました」
「ブログ掲載から数カ月後に、本として出版してはどうかという申し出はいくつか受けました。でも、ブログを本にしようとは全く考えていませんでした。というのも、出版社側がブログ掲載の中止を条件にしていたからです。フェミニスト・プレスだけがその条件を付けなかったため、出版に応じました」
「イラクの現状がブログ掲載の原動力です。ブログの執筆・掲載で、私は募ったイライラや恐怖感を紛らわそうとしたのです。メディアがこの国について報じるのは表面的な出来事で、イラクとその国民が直面している日々の現実は報じていません。身近な話、出来事などをこれからも伝えていきます」
―伝えられていない現実はどのようなものでしょうか。
「メディアが報じているのは、いつまでたっても日の目を見ない新政権樹立の問題であり、治安の悪化、停電、水不足などで苦しんでいるイラク国民の現状はないがしろにされています」
―あなたのブログを『歴史の記録者』で、その存在は貴重と評価する声がありますが、これをどう思いますか。
「ほめすぎのようで、怖い気もします。長く続けようとして始めたわけではなく、読んでもらえるとも思いませんでした。『歴史の記録者』などとは思ってもみませんでした。ブログはどれにしても、歴史の証人的な存在だと思います」
―その半面で、あなたを偏見に満ちた反米主義者で、フセイン前政権の崩壊を悲しんでいるだけ、との批判もあります。
「何に対して偏見を持っているというのでしょうか。困るのは、多くの人たちが『占領反対』を『反米』と同じようにとらえていることです。私は反米主義者ではありません。占領されることに反対なのです」
「フセイン時代の再来など望んでいませんが、このイラクの地に外国の軍隊がいることには何としても反対します」
―英語を話すことと書くことをどこで勉強したのですか。
「子ども時代を外国で過ごし、帰国後も両親は英語の勉強を続けるのを許してくれました」
―どんな本を読みますか。
「手に入る英語の本なら、どんな本でも読みます。ディッケンズ、ジェーン・オースチン、ウィリアム・サッカリー、ジョージ・オーウェルなどの古典です。米国人作家のフォークナーの作品も好きです。フランス語、ロシア語など作品で英語に翻訳された作品も読みます。中でもブロンテ姉妹の作品には大きな影響を受けました。書くことを教えてくれたからです」
―匿名の理由はなんですか。
「身の安全のためであり、自由に書き、自由に論じるためです。政治、宗教、民族など多くの問題を論じるのに本名を出すことはできません。拘束される危険、そしてそれ以上の事態があり得るからです」
―あなたのブログは既に3年間も続いていますが、終わりにしようと思ったことはありますか。
「私の『バグダッド・バーニンング』を含めイラクには6、7のブログしかありません。伝えるべきことがある以上、ブログを続けようと思っています」
―ブロッガーは新しい形のジャーナリストなのでしょうか。
「ブロッガーは決してジャーナリストではありません。多くの人たちは、占領や戦争に関して公平無私かつ感情移入なしに書くよう望んでいます。でも、ブログ自体が抑えきれない感情の発露であり、そうした姿勢をとることは困難です。コンピューター向かい、背をかがめてキーボードをたたき、自身の考え、恐怖そしていら立ちを発信しているのですから」
―イラクの将来をどう思いますか。
「混乱はまだ数年続くでしょう。この国に外国の軍隊が駐留している限り、暴力と流血がやむことはありません。でも、イラクは立ち直ります。イラクは偉大な歴史を持っているからです」
2006年04月09日00時07分