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□イラン・イラク長期戦争の再発シナリオ/アラビア・ニュース
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/d4eb5c878a4a1fef55738751673a19b9
イラン・イラク長期戦争の再発シナリオ/アラビア・ニュース
イラクを廻るイランと米国の交渉はババ抜きゲームになるのか。(オランダ在住のイラク人愛国政治活動家、著述家で元イラク共産党員。現在はイラク愛国同盟のメンバー)のファーデル・ルベイイ氏は4日、アルジャジーラ・ネット、イラク・パトロール、バスラ・ネットなどでイラク戦争の今後を大胆に予想した。
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隣国同士で長い激戦が、特にイラク・イラン戦争のような過酷な戦争が、起こるのに最重要な要素は、一方の当事国が相手国の問題に剥き出しに介入することだ。それではイラクとイランの戦争を再発させるには何が必要であろうか?
実際のところこの戦争を再発させるのに必要な要素は今日、ほぼ揃っている。すなわちイラクに対してイランが軍事的、政治的介入していることは、既に論じ尽くされている。そこでシーア派統一同盟リスト(与党会派)の代表(イスラム革命最高評議会の党首)アブドルアジーズ・ハキームがイラク問題でイランと対話するよう米国に呼びかけた。
15世紀の中頃イランのサファヴィー朝のアッバース王(シャー)は自ら、バグダードのモスクで開かれたオスマン・トルコ帝国のトルコ人宰相との最初の協議に臨んだ。この協議にはイラク人は誰も参加していない。
トルコとイランという2占領国の間で、予想されたように権力と利権の配分を廻って下劣な駆け引きが展開されたが、結局イランは3世紀以上も続くイラクの泥沼に嵌るハメになった。それどころか、イラクの内政に干渉したためサファヴィー朝国家自体が、イラクの地で崩壊、腐敗した。
確かに米国はオスマン・トルコではないが、イラン人はイラン人だ。昨日の占領者であるトルコ人と駆け引きする変わりに、今日の占領者である米国人と駆け引きが出来るとイランは考えているようだがtでもない。
米国が欲するものは、過去トルコがイランから欲したものと全く同一ではない。今日米国は占領下のイラクに於ける権力と利権を廻ってイランと話し合いも分配する気も無い。米国が求めているのはズバリ、一銭も払わずに一度にイラクの占領を買ってくれる地域勢力なのだ。
「ここにあるあなた方が長年夢見てきたイラクを進呈するから受け取ってくれ」と米国はイランに言いたいのだ。その(美味しそうな)外観にはバザールの商人も騙されるかも知れない毒入り饅頭がここにある。新たな長期のイラク・イラン戦争に点火するには、撤退する米軍と徐々に交代するイランの軍事力のみが必要だ。
米国は、1954年に苦境に陥りディエン・ビエン・フーで大敗を喫し米国の救援を求めたベトナムで陥ったフランスの古い戦術を踏襲するだろう。その折フランスは、ベトナムの占領を買ってくれる大国を探していた。「ベトナムはいらんかね? 差し上げるから持って行ってくれ」
今日米国はフランスのペテンを再び使い、同じ毒入り饅頭をイラン人に売り付けようとしている。
イランのイラク介入が拡大すれば、それだけで両国戦争に点火する十分な理由となり、広範囲なアラブ対ペルシャ闘争を炸裂させるより複雑で新たな入り口となろう。アラブとイスラエルとの紛争に代わってイラクの地においてアラブ人が隣人たるイラン人とが合い争うことになるのだ。
イラン・イラク戦争中の1980年秋に(エジプトのアル・アフラーム紙の編集主幹であった)ハサネイン・ヘイカル氏は、「戦争は長く熾烈で、丸一世紀も続くかもしれない」と予言した。当時この予言は奇妙で信じられず、ほとんど関心を呼ばず忘れ去られた。
8年間続き、その後8年間の冷めた和平が続いているイラク・イラン戦争は現在まで終結していないのだ。1988年に戦火が収まったにもかかわらず、事実上戦争は別の形態をとって続いている。米国がイラクを占領する今日、ぼろぼろに引き裂かれたイラクにおけるイランの軍事的、政治的、宗教的影響力は増大し、この戦争は恐らく頂点に達したかも知れない。
『戦争に至るシナリオ』
数あるシナリオの中でも次のシナリオは、ブッシュ大統領のテーブルに実際に置かれたかも知れない。このシナリオは全くの空想上の産物とは言えないようだ。以下はイラクに於けるイランと米国の新たな協議の最終結果である戦争のシナリオだ。
イラク・イラン戦争の戦闘終了8年後の2006年3月16日、イラン人たちはイラクに於ける彼らの子分のアブドルアジーズ・ハキーム(イスラム革命最高評議会党首)の耳元に囁く。そこで彼は報道陣に発表する。「今日イラクに関して米国とイランの対話が強く求められる」
翌17日の夜ホワイト・ハウスは「米国はイランとの協議を考えていないが、ハリール・ザード駐イラク米大使がイランとの接触、対話の担当者だ」と回答する。同時に米大使は、シーア派統一同盟リストの代表のハキームに大っぴらに最初の連絡をとる。「テヘランに居るあなたの友人たちの準備が出来ているなら、私は直ちにあちらに出掛けよう。だが、私が提案するのは対話に理想的な場所であるバグダードだ」
米大使が交渉団のメンバーを任命する準備をする中、テヘランではイランの(聖俗)最高指導者(ハメネイ)は、米国人たちとの対話チームを自ら編成する。
バグダードで米大使は、ハキームではなく、イラン人協議団長の口から直接にイランの提案を聴く。「我々は核問題を協議しない。イラク危機の解決にイランの役割りに関しての米国の提案を聴くために我々はここに来たのだ」
数日後両国は、現在のイラク介入を容認した2003年2月のジュネーブ決議の修正版の作成に成功する。直後に米国大使は、「イラン人との真の相互理解が達成できた」との声明を出し、全世界が困惑に陥る中、イラン側が応える。「我々は新たで積極的な米国の方向性に触れることが出来た」
米大使はイラン側とどの点で相互理解できたのか?シーア派統一同盟による前例の無い柔軟な姿勢が、ジャーファリー(首相再任)問題の解決に道を開く。
その後の数ヶ月に、例の無い規模のイラン軍が「テロとの戦い」を口実にして秘密裏にイラク西部地域に殺到し、膨大な数のイラン諜報機関員や狙撃手が観察されるようになろう。その後イラク抵抗勢力を叩くため公表無しに、最大規模のイラン軍事作戦が開始される。
この段階でイラク人は、「イラクに於けるテロとの戦争でイランが協力する」と2005年夏に述べた(クルド人有力政党党首でイラク大統領)ジャラール・タラバーニの声明を思い出し、「嗚呼、タラバーニの声明はハキームの(米・イラン対話呼び掛け)発言の露払いに過ぎなかった」と嘆息することになる。
この頃シーア派統一同盟の影響力を削減したように見せ掛け、イラク政府が組閣される。一方、分派的な相互殺戮が危険水域に達し、バグダードなどにあるシーア派地域からスンナ派住民を追放する動きが拡大する。
この事態に米国人は公然と不満を表明し、イラクのスンナ派を脅かす危険に立ち向かわせるために秘密裏にアラブ・イスラム諸国と連絡を取る。
イラクに於けるイランの軍事的影響力が増大すると共に、アラブ軍を派遣するという考えが舞台裏で熟しつつあり、四方八方で分派的殺戮を止めるためにアラブの介入を求める叫びが大きくなる。
2006年末にはイラクから戦術的撤退をするとの考えが益々熟し、米中央軍司令官のアビゼイド将軍は、米軍の完全撤退を発表する準備をする。イランはイラクの泥沼に嵌り込む寸前だ。
シナリオのこの場面でイラク・イラン戦争は時間の問題となる。一方アラブ世界がこの戦争に巻き込まれる可能性は現実化する。
この時点でイランの勢力拡大に立腹するイラク人グループが出現する。その中にはサドル派内部の激しい分裂によって生まれたシーア派グループが居るかもしれない。
興奮した様子の米大使がワシントンで叫ぶ。「イランがイラクに巻き込まれている。この機会を捕らえて我々は撤退しよう」
和平と治安維持を任務とするアラブ・イスラム軍の到着と共に、米軍はイラクの泥沼から逃げ出す準備をする。その間イランはイラク西部での大戦闘の泥沼に更に深く嵌り込む準備をしている。
イランの準正規軍の大規模殺到を容易にするために、イランは元々支配しているイラクとの国境を解放する。少なくとも10万人の自爆攻撃要員と共にイランの革命防衛隊は、イランの聖戦作戦全ての調整任務を行う。
この頃、全土にアラブやイラクを志向する叫び声が聞こえるようになる。
湾岸地方では、若者の間に(イランに対する)恐怖が蔓延し、憤激の感情が爆発する。彼らはイラン人と対決するために秘密裏に或いは公然とイラクに向かうことを許される。
東アラブ圏同様、マグリブ(西アラブ圏)でも、イランの侵略に立ち向かうよう呼び掛ける怒りのストライキが湧き起こる。(エジプトの首都)カイロではアラブ連盟の事務局長がイラン大使を呼び出し連盟の怒りと不満の意を伝える。ムバーラク・エジプト大統領はイランの侵入を止めるためにブッシュ米大統領に、米国の介入を要請する書簡を送る。
このような騒ぎの中、イラン人やアラブ平和維持軍に対し、所謂テロリストと呼ばれる集団とが市街で流血の衝突をする。その後数日乃至数週間にわたりイラク西部はアラブ・ペルシャ戦争の本当の舞台となる。
第二次イラク・イラン戦争勃発8年後にしてアラブ世界は、(新戦争に)参加し支援する側に廻る。そしてアラブ・イスラエル紛争は公式に凍結される。「ある日湾岸で勃発した戦争はまさしく百年戦争だった」という恐るべき真実を世界が認める。イラクの土地での長い流血の戦争の後、イラン自身が、実際に内部腐敗していることを発見しよう。
戦争はイランの精力を消耗し、核開発プログラムを中断させ、経済を完全破壊し、イラン自身が分割に向かうようになる。
(アラブ人が多数居住するイラン南西部の)アフワーズや、(スンナ派のバルーチ族が居住する)イラン東部では革命(反政府)運動が起き、亡命先のシャー(イラン国王)の子供の支援を得て、クルド人とスンナ派住民が闘争に加わっている。
http://www.iraqpatrol.com/php/index.php?showtopic=14520
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イラク問題が米国のお荷物になっていることは確かであるが、宝の山であることは変わらないし、軍事的、政治的敗北が今後世界に与える影響は余りにも大きいから、勢いが衰えたとはいえ、ネオコンが見返りも無しに、イラクを投げ出しこうも簡単に撤退するとは考えられない。著者の希望的観測が投影されたシナリオではあるまいか?万が一、一旦撤退したにしても、必ず再侵攻を計画しよう。
現在イラクでは次の3組の主要プレーヤーが三つ巴のゲームを演じている。
1)米国(英国、韓国、イタリア、オーストラリア、日本など所謂多国籍軍やクルド人主要政党、傀儡派イラク人政治家を含む)
2)イラン(イラク国内に居る親イラン系シーア派勢力を含む)
3)イラク愛国勢力(バース党、イスラム系、民族系から成る)
各グループはそれぞれ自己以外のグループ同士が戦い疲弊、弱体化することを願っている。イランが本来敵と見なすイラク抵抗勢力に武器などを供給して支援するのは米国と戦わせるためだと考えられる。同様に米国にとっても最良のシナリオは、シーア派とスンナ派が前面衝突することで漁夫の利を得ることであることは間違いない。
【アラビア・ニュース】 齊藤力二朗 会員以外の転載希望者は個メールで受付
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