★阿修羅♪ > 戦争78 > 683.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
「夫の死解明を」伊総選挙、米軍誤射被害者の妻出馬へ
【トリノ=藤原善晴】4月に行われるイタリア総選挙で政権交代を目指すプローディ元首相率いる中道左派勢力が、昨年3月にイラクで米軍兵士の誤射により民間人をかばって死亡した情報局幹部ニコラ・カリパリ氏のローザ夫人(47)を上院議員候補として擁立することが確定した。
ローザ夫人自身が23日、本紙に出馬の意向を明らかにした。対イラク、中東政策が大きな争点となっているだけに、「国民的英雄」の夫人の出馬は、ベルルスコーニ首相の再選戦略に大きな影響を与えそうだ。
ローマ市内の知人宅でインタビューに応じたローザ夫人は、出馬を決めた最大の理由に、最愛の夫を失った米軍誤射事件の真相解明が「現政権下で進まないことへの怒り」を挙げた。野党第1党の左翼民主党からクリスマスの直前に出馬を打診され、最近、受諾したという。イタリア人が犠牲となった事件の解明は国民的な関心事で、夫人の「怒り」を共有する有権者も多い。
事件は昨年3月4日に発生した。バグダッドで武装集団に拉致された後に解放されたイタリア人女性記者を伊情報当局が車で移送中、米軍の発砲を受け、カリパリ氏が記者をかばって死亡したもので、米軍側は「車にライトをあて、威嚇射撃で警告した」と主張したのに対し、記者は「いきなり銃撃された」と証言。米軍側に問題があったのではないかとの疑念がイタリア国内でくすぶっている。
米伊両国の合同調査は4月29日、「最終結論を共有できなかった」との声明を発表して終了。米側は「銃撃した兵士らは規則通りに行動しており、処分しない」との姿勢を一貫して変えず、車の速度や、現場の状況など両国の調査結果は食い違ったままだ。事件直後から「殺人事件」として捜査を開始したローマ地検の協力要請にも米側は応じていない。
こうした中、ローザ夫人らは真相究明を訴えて全国を行脚。その結果、チャンピ伊大統領のもとに「真相解明」を請願する手紙がこれまでに15万通以上届くなど、世論を動かすほどの動きとなってきた。
ローザ夫人は「政治的な努力があれば、真相解明は進展していたはず」と、ベルルスコーニ首相の強い親米姿勢が障害となっているとの見方を示す。ベルルスコーニ政権の閣僚がイスラム教預言者ムハンマドの風刺漫画Tシャツを着て批判を浴び、18日に辞任したが、夫人は「地中海の真ん中に位置するイタリアは本来もっと中東諸国と近い関係にあった」と指摘、中東外交の全面的見直しも主張している。
与野党各党の上下両院立候補者名簿の提出は3月5日に締め切られ、選挙戦が本格化する。
(2006年2月26日11時24分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060226i102.htm