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営利誘拐が頻発 警官すら脅えるイラクの治安 [アルジャジーラ]
http://www.asyura2.com/0601/war78/msg/482.html
投稿者 white 日時 2006 年 2 月 16 日 20:43:43: QYBiAyr6jr5Ac
 

□営利誘拐が頻発 警官すら脅えるイラクの治安 [アルジャジーラ]

 http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1715848/detail

営利誘拐が頻発 警官すら脅えるイラクの治安

【アルジャジーラ特約12日】世界はイラクの派手な誘拐事件に目を奪われているが、イラクの国民は営利誘拐事件に日々脅かされている。

 イラクでの誘拐身代金は、誘拐犯とその犠牲者の階級によって、500ドルから100万ドルの間に広がっている。そして最も狙われているのは富裕な家庭の十代である。

 バグダッドに住むマルワン・アル=ヒリ君(18)はサリハ区にある自分のアパート近くに車を止めようとしていた時、二人の武装した男が頭に銃を突き付けられ、誘拐するぞと言われた。バグダッド東部の荒れ家に捕らわれていたが、犯人に母親がバグダッド陥落後の無法状態にあった2003年4月、銀行を略奪したから、身代金を払えるはずだと言われた。

 マルワン君は、母親は2001年に死亡していると説明したが、犯人たちは近所の人間の話が根拠だと自説を曲げなかった。

 姉のフィダー(30)が交渉して、身代金1万ドルを支払った。

 フィダーさんはアルジャジーラに対して、「あの化け物たちは弟をひどく殴り付け、弟は後で何ヶ月も苦しみました。私が電話であいつらと話している時、弟が拷問されて何度も叫び声をあげたので、要求をのんだんです」と語った。フィダーさんは身代金を払う一方でイラク警察に訴えたが、誘拐事件ではあまり例のないことだ。

 10日後、誘拐犯人は拘束されてマルワン君が解放された。しかし、間もなく犯人の一人が警察官であることが判明した。その家族は、警官が職を追われるのを恐れてアル=ヒリ家に対して圧力をかけてきた。

 アーダミヤ市に住むラヤ・アルオバイディさん(10)のケースは違った。誘拐犯人たちは、被害者が女性の場合によくあるのだが、彼女に危害を加えたり、性的に虐待したりしなかった。父親に身代金1万ドルを要求し、カネを持ってくるまでよく世話をすると約束した。

 父親は「一族の名誉を守るため」一刻も早く身代金を払うよう、警察に助言された。父親は妻の宝石を売り払い、四人の兄弟から借金をした。数日後、ラヤさんは無事に帰宅し、家族に「あの人たちはとてもよくしてくれたから、悪く言ってほしくない」と語った。彼女は、犯人は家族ぐるみで、その住んでいる家を突き止めることができると言ったが、父親はそのことを当局に報告しないことに決めた。

 これらのケースでは、被害者にも家族にも何事もなかったが、子どもの遺体が溝の中や自宅の前に捨てられていることもしばしばである。

 国立教育・社会開発機構の社会学者、マート・アハマド・ハッサンさんは、失業した男たちが不安定な治安状況を利用して、ギャング団を形成することがよくあると考えている。一家を支える手段がない場合、営利誘拐は魅力のあるもうけの手段である。

 ジャワド(26)にとって、自分の大家族を養う唯一の方法が誘拐だった。アルジャジーラに対して、「われわれの血と汗からカネを搾り取った連中の一人以上を誘拐したが、宗教上の理由でやめた。今はやめて、あんたより善良な市民さ」と語った。

 彼の犠牲者は国の不安定を利用し、国庫から千金を横領して財産を作った金持ちの一家だったという。その中には前政権の人間も含んでいたのかと聞くと、ジャワドは、もし連中の名前を明かしたら自分は悪く言われないだろうとして「連中は全く悪い奴で、非道徳なんだ。信じてくれ」と言った。

 自分の名をアハマドとだけ明かしたルサファ警察本部の一警部は、警察は誘拐事件の全部を処理できないとし、「時々、誘拐された人を何とか解放しているが、街で自分たちが脅威にさらされているのに、仕事なんかできるかね」と語った。彼によれば、警官も一般市民と変わりなく誘拐される恐れがあるし、イラクの治安上の真空状態にあって武器も訓練も装備も不十分だと非難した。

 イラクに関する米ブルッキングス研究所の報告によると、毎日、誘拐時間は10件も発生している。あるイラク人の治安幹部は匿名と断って米国の下手なやり方をなじって、「1990年代の終わりに、富裕な商人のハッサン・ブンニヤの息子が誘拐された時、イラクの情報部は24時間かからずに解放をかちとった」と語った。彼によると、戦争前は治安部隊は民間の協力を得られたと説明し、「今じゃ一般市民は自分が殺されたくないので、警察をちょっと助けようにもおびえすぎているよ」と語った。

 暴力のエスカレートを恐れて、多くのイラク人が国を離れつつある。財産を持ち出して、シリアやヨルダン、さらにはエジプトまで逃げ出している。

 今は自動車のディラーとして働いているジャワドは、自分が誘拐犯としてもうけられた混乱状況をひどすぎると言い、自分もヨルダンに行くつもりだと語った。

 国を離れられないイラク人たちは祈り、かつ耐えるほかはない。安定が戻ってくることを望みながら。(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)


2006年02月16日17時06分


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