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◇イラク自衛隊:3月撤退開始 日本政府、米英と最終調整へ
政府は15日、イラク南部サマワに派遣している陸上自衛隊について、3月中に撤退を開始し5月末までに完了させる方針を固め、米英など関係国と最終調整に入った。イラク新憲法に基づく本格政府の発足は4月以降にずれ込む見通しとなっているが、サマワの治安維持を担当する英軍と豪州軍がイラク南部の治安安定を理由に新政府の発足前でも撤退する方針を示し、陸自も足並みをそろえることにした。クウェート−イラク南部間で空輸業務に当たっている航空自衛隊は6月以降も多国籍軍に残すことで、米国の理解を得たい考えだ。
政府は昨年12月、イラク復興特別措置法に基づく自衛隊派遣の基本計画を変更し、派遣期間を今年12月まで1年間延長した。その際、「英豪軍をはじめとする多国籍軍の活動状況、構成の変化を見極める」との記述を基本計画に追加しており、英豪軍との同時撤退は既定路線となっていた。先月23日にロンドンで開かれた日米英豪4カ国の事務レベル協議で、英国が5月までにイラク駐留部隊を縮小しアフガニスタンに増派する方針を表明。これを受け日本政府は陸自も5月末までに撤退させる方針を固め、外務省と防衛庁の担当者を15日、米英などとの最終調整に派遣した。
サマワの陸自部隊は2年前に派遣が始まり、現在は約600人が道路補修などの人道復興支援活動を行っている。米側は自衛隊のイラク派遣継続を期待しており、サマワからの陸自撤退後も軍と文民で構成する「地方復興チーム(PRT)」に陸自が参加するよう打診した。しかし、PRTでは文民要員の警護など治安維持業務を担当する可能性があるため、額賀福志郎防衛庁長官は先月訪米した際、「法的に困難」と拒否する考えを伝えている。
空自の輸送部隊約200人はクウェートを拠点に陸自や米軍の物資をサマワ近郊のタリル空港に輸送している。陸自撤退後も活動を継続する場合、米側はほかの空港への輸送を要求する構えで、米軍を中心とした多国籍軍支援の性格が鮮明になる。【古本陽荘】
◇新政府の発足待たず、“見切り”撤退
イラク南部サマワに派遣した陸上自衛隊の撤退時期を探ってきた政府は15日、イラク新政府の発足を待たずに見切り発車の形で撤退を始める方針を固めた。昨年12月に自衛隊派遣の1年延長を決定した際には新政府が今年2月までに発足すると見込んで「新政権発足後の3月撤退開始−夏前に撤退完了」のシナリオを描いていた。新政権の発足が大幅にずれ込む中、「英豪軍の撤退に乗り遅れるとタイミングを逸する」(外務省幹部)との焦りも強まり、撤退先行やむなしと判断した。
昨年12月に閣議決定した自衛隊派遣の基本計画は撤退時期の判断材料として(1)新政府樹立など政治プロセスの進展状況(2)多国籍軍からイラク治安部隊への治安権限移譲(3)英豪軍など多国籍軍の活動状況や構成の変化−−などを列挙。新政府発足後に治安権限を移譲する英豪軍と同時撤退する手順が想定されていた。しかし、昨年12月15日に実施されたイラク国民議会選挙の結果発表まで2カ月近くを要し、新政府の発足が5月にずれ込む可能性も出てきたことで日本政府の思惑が狂った。
政府が英豪軍との同時撤退にこだわるのは、小泉純一郎首相が9月に退陣する前に、一人の犠牲者も出さずに陸自を撤退させることが政権の最重要課題となっているからだ。英豪軍の撤退後は治安の空白が生じる恐れがあるだけでなく、多国籍軍の一員として一緒に撤退しなければズルズルと駐留を続けることになりかねないとの危機感もある。
今月12日、第1党「統一イラク同盟」の首相候補に現在のジャファリ移行政府首相が選ばれたことで、外務省は「移行政府との撤退協議は可能」(幹部)とみているが、新政府の組閣が混乱した場合、撤退時期に影響を与える可能性もある。さらに「サマワの人々を見捨てて撤退するのではないことを理解してもらう必要がある」(同)ため、政府開発援助(ODA)による復興支援を強化する方針だ。【平田崇浩】
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060216k0000m010174000c.html