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イラン核、国連付託後も課題 経済制裁に慎重論強く
【ニューヨーク=池田伸壹】イランの核問題は、国際原子力機関(IAEA)の緊急理事会で国連安全保障理事会への付託が決議されるのが確実な情勢だ。IAEAによる安保理への付託は04年のリビアのケース以来。ただ、安保理での論議の道筋は必ずしもはっきりしない。安保理常任理事国の間では3月までイランへの制裁に踏み切らないとの合意があるが、「よほどのことがない限り、3月以降も難しいだろう」というのが国連側での一致した見方だ。
2月は対イラン強硬派で知られる米国のボルトン国連大使が安保理議長を務める。そのボルトン氏は、付託で合意し、決議採択への流れを作った1月30日の常任理事国とドイツの外相会議の決定について、「戦術をめぐって米国との間に対立があった欧州や中ロと、本当の一致にこぎ着けた」と評価する。
IAEAで米国が最初に安保理への付託を求めたのが4年前。ボルトン氏は「その間、イランはウラン濃縮技術の開発を続けた」と、付託の遅れが問題を大きくしたとする。
従来から付託に慎重姿勢を示してきたロシア、中国が今回は付託決議案に賛成する見通しだ。しかし、両国ともイランに対する制裁は何とか避けたいのが本音。安保理常任理事国であるロシアのデニソフ国連大使は朝日新聞に「(今でも)我々はIAEAこそが、この問題に取り組むのにふさわしい機構だと確信している」と話した。
アフリカなど、非常任理事国の間でも制裁には慎重な声が強い。日本の国連外交筋も「イランが国際社会との対話で問題を解決するようにし向けるのが安保理の仕事。制裁はそのための担保だ」とする。
制裁には石油の禁輸など本格的なもの以外に渡航制限など限定的なものも考えられる。しかし、国連内にはそうした制裁を議長声明でちらつかせることすら難しいのでは、との見方もある。欧州国連外交筋は「3月のIAEA定例理事会までは、制裁に踏み込まないだけでなく、議長声明などの意思統一も行わないはず」と語る。
北朝鮮の核問題をめぐっては03年に安保理に付託されたが、その後に6者協議が始まり、交渉の舞台は安保理から離れた。イランをめぐっても、同国が必要とするウラン濃縮をロシアが行うとする妥協案についての交渉が継続中で、安保理外での動きが今後も大きなカギになる可能性がある。
ある国連幹部は「イランの核武装が現実味を帯びれば、米国やイスラエルから、イランへの先制攻撃論も出かねない。そんな危機感を中国やロシアを含む加盟国がどれだけ共有できるかが重要だだ」と話した。
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◆IAEAから安保理への付託例
1991 イラク 湾岸戦争後、付託。安保理は非難決議を繰り返し、03年に米などが戦争に突入
92 ルーマニア 85年に未申告で行っていた核開発について、安保理に情報として報告。制裁はなし
93 北朝鮮 未申告核施設への査察受け入れ要求し、付託
94 北朝鮮 査察拒否を受け安保理付託
03 北朝鮮 非協力を強く非難し3度目の付託。しかし議論が6者協議に移り、安保理は議論を棚上げ
04 リビア 前年に放棄宣言した過去20年以上にわたった秘密裏の核兵器開発計画について安保理に情報として報告。制裁なし
http://www.asahi.com/paper/international.html