★阿修羅♪ > 戦争77 > 976.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: イスラエルが育てたハマス [非公式情報 第190号] 投稿者 white 日時 2006 年 1 月 29 日 18:04:07)
1月29日(日)
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
パレスチナの国会に当たる評議会選挙でハマスが躍進して、世界の注目を集めています。ハマスは過激派でイスラエルに対する武力抵抗を繰り返してきたからです。
新聞論調では、パレスチナ和平が頓挫するというような観測が流れています。ハマス新政権が樹立され、一方での援助停止、他方でのパレスチナ正規軍の新設ということになれば、イスラエルとパレスチナの全面戦争が始まるかもしれません。それを防ぎ、和平を実現するためにどうするのかが、今、国際社会に問われています。
25日に実施されたパレスチナ自治評議会(定数132)選挙で、イスラム過激派ハマスが単独過半数の76議席を獲得する地すべり的勝利を得ました。選挙結果を受けて、自治政府のアッバス議長は声明を発表し、和平交渉を通じたイスラエルとの紛争解決に取り組む方針を強調し、武装闘争を主張して交渉を拒否してきたハマスに対して路線の転換を事実上迫っています。
これまで、パレスチナで中東和平を担ってきたのは、アラファト議長に率いられたファタハでした。アラファトの死と選挙での敗北によって、ファタハの時代は終わったと言えるでしょう。
代わって登場したハマスは、武装闘争方針を転換し、イスラエルとの和平を主導する責任があります。イスラエルやアメリカも、ハマスとの対話を拒否してはなりません。
昨年12月に行われたエジプトの議会選挙では、ムスリム同胞団が15議席を6倍近く伸ばして大躍進しました。レバノンでも、昨年の総選挙でシーア派の民兵組織ヒズボラが躍進し、初めて入閣しました。
このような情勢に危機感を強めたから、シャロン首相は強硬路線を転換して対話路線を打ち出したのだと思われます。しかし、そのような転換も、反イスラエルの流れを止めることはできませんでした。
イラクでの選挙でもシーア派が多数を占め、イランとの「反米同盟」形成の動きがあります。将来、アメリカがイラクから撤退すれば、新生イラク政権は「反米政権」に変質し、イスラム教シーア派の媒介によって、フセイン政権であればあり得なかったはずのイラクとイランとの連携が生ずるかもしれません。
このようにして、パレスチナ評議会でのハマスの過半数獲得、エジプト議会選挙でのムスリム同胞団の大躍進、レバノンでのヒズボラの躍進、イラクでのシーア派の伸張、イランの強硬姿勢などの背景には、中東全域での「反米」気運の高まりがあります。このような「反米」の大波を作り出した最大の“功労者”は、いうまでもなくブッシュ大統領です。
ブッシュ大統領はアフガン攻撃とイラク戦争によって中東地域に民主主義を押しつける「中東民主化政策」を実行しようとしました。「民主化」を「反米化」という言葉で置き換えれば、ブッシュ大統領の政策は“成功”しつつあるように見えます。「中東反米化政策」の具体化として……。
共和党の有力者であれば、「一体、何をやっているのだ」と言いたくなるような展開でしょう。この間の政策が、完全な裏目となって出てきているのですから……。
ブッシュ大統領の過ちは、ウソをつきデタラメな理由でイラクに戦争を仕掛けたということだけではありません。力ずくでフセイン政権を倒し、中東全域での反米・反イスラエルの火に油を注ぎ、「中東民主化政策」を「中東反米化政策」に変質させてしまったことにもあります。
しかも、その結果、石油と天然ガスの価格高騰が生じ、ロシア経済を生き返らせ、独立国家共同体や中東など周辺諸国に対するプーチン政権の影響力を増大させるという結果を招きました。ロシアと協調する中国も、ユーラシア大陸や東南アジアへの影響力を強めています。
中国の影響力を弱めたいアメリカは、日本を通じてこれら地域に対する影響力を行使しようとしていますが、愚かな小泉首相は自ら進んで孤立化への道を歩んでいます。日米両国の影響力を遮断するために、靖国神社参拝問題は「外交カード」として中国にうまく利用されているということになるでしょう。このことに気づかない小泉首相に、ブッシュ政権は苛立ちを隠していません。
それでも、小泉首相は「靖国参拝は心の問題だ」と言い続けるのでしょうか。そう言っている間に、アメリカと日本だけが、世界の孤児となってしまうかもしれないというのに……。