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(回答先: 日経【ハマス、国内穏健派が主導権】 投稿者 木村愛二 日時 2006 年 1 月 28 日 08:10:55)
【ハマスの衝撃 06パレスチナ選挙】(中)ファタハ、国際的孤立を危惧【産経】
http://www.sankei.co.jp/news/060128/kok027.htm
「機能不全に陥る」
「ハマスへの支持は一時的なものだ。ハマスが政権を取っても何もできないだろう」
ヨルダン川西岸ラマラの中心部にあるマナーラ広場。パレスチナ評議会選挙で「ハマス大躍進」のニュースが伝わった二十六日午後、敗北を喫したパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハを支持してきたファヘド・ダウードさん(20)は、勝利に酔いしれて緑のハマス旗を振って騒ぐ群衆を呆然(ぼうぜん)と見つめていた。
ファタハ支持者の敗北感は大きい。だが、彼らは口々に「政権は続いても一年。長続きはしない」とも話す。
ハマスは二〇〇四年十二月、自治区の地方選挙に初参加し、政治組織へと転換を図ってきた。しかし、自治政府の議会に相当する評議会選挙参加は今回が初めて。行政手腕は未知数であり、ファタハ支持者たちは、責任政党としてのハマスの能力を疑っている。
自治政府の前外務次官で、ファタハから立候補したアブドラ・アブドラ氏(66)は、「ハマス主導の新政府は内外での摩擦を強め、機能不全に陥るだろう」と危機感を抱く。
特に懸念されるのが外交面だ。ハマスは、現在のイスラエルを含む「パレスチナ全土の解放」を原則に掲げ、イスラエルの占領が続く限り武装解除しない方針だ。一方、米国やイスラエルは、武装解除しないハマスの政権とは交渉しないとの姿勢を示している。「ハマス政権」が成立すれば、ファタハのアッバス自治政府議長が進めてきた対話路線が一気に停滞し、国際的に孤立する可能性がある。
「議長は今後、自身の政策を実現するため、ハマス主導の自治政府と緊張関係を保ちながら、困難な政治運営を迫られることになる」とアブドラ氏はいう。
今回の選挙では、民意を反映してハマスが議席の過半数を握ったものの、アッバス氏も昨年一月の議長選で選出されている。これまで議長職、行政府、評議会のすべてをファタハが握ってきた構造が、今後はファタハの議長、ハマスの行政府、ハマスが過半数を占めるものの両者が議席を持つ評議会の三極構造の中でパレスチナの将来が決まることになる。
力関係の変化はすでに始まっている。アッバス議長は開票結果が発表された後の二十六日夜(日本時間二十七日未明)、テレビで演説し、「PLOの役割を再活性化させるつもりだ」と強調。イスラエルとの交渉をハマス主導の自治政府に担わせるのではなく、パレスチナの民族解放運動の連合体であるPLOを通して行いたいとの姿勢を示唆した。
アッバス氏は自治政府の議長であると同時に、PLO議長も兼ねる。自治政府のハマス政権では国際社会から交渉当事者として認知されないため、一九九三年のオスロ合意を締結するなど、パレスチナを代表して和平交渉を担当してきたPLOを使って対話路線を継続しようというのだ。
しかし、こうした“苦肉の策”に、イスラエル外交筋は「すでに形骸(けいがい)化したPLOが機能するかどうか」と懐疑的だ。
内政面では、ハマスはファタハの腐敗に対して批判を展開し、教育や福祉、医療などの草の根活動を長年、続けてきただけに、その手腕に期待を寄せる声もある。
だが、米国などは、ハマス政権に資金援助をしない方針であり、国際社会からの支援が滞れば、内政は立ち行かなくなる。選挙敗北で利権を失うファタハ支配層の反発が強まるのも必至だ。ラマラに住む女性(38)は「将来、両者の対立が深まり、武力衝突が発生しなければよいのだが」と不安げに話した。
(ラマラ 加納洋人)
【2006/01/28 東京朝刊から】
(01/28 08:50)